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吉本騒動の会見を徹底採点!有名人「謝罪」の重要ポイントとは

2019年08月20日 06時00分更新

文● 岡田 光雄(ダイヤモンド・オンライン

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世間を騒がせた「闇営業」では、関係者の謝罪ラッシュが続いている。これまで芸能人たちは不祥事やスキャンダルを起こしては謝罪を繰り返してきたが、謝罪の仕方を誤り、その後のキャリアを台無しにしたケースも多い。ワケあり芸能人の事例を振り返りながら、正しい謝罪の在り方について、「謝罪のプロ」である増沢隆太・東北大学特任教授に聞いた。(清談社 岡田光雄)

闇営業問題から
雇用契約問題に

謝罪会見を開いた宮迫博之さん(左)と田村亮さん
泣きながらの会見は本来ならNGだが、増沢教授は、この2人はかろうじて合格点と言える「60点」だと評価した Photo:JIJI

 まず、話題の吉本「闇営業」騒動についての謝罪を見ていこう。端的に経緯を説明すると、吉本芸人だった入江慎也(現在は契約解除)の仲介で、宮迫博之、田村亮、レイザーラモンHGといった芸人らが、吉本興業を通さずにギャラを受け取って反社会的勢力の宴会に出席したことが騒動の発端だった。

 当初、金銭を受け取っていなかったと嘘をついた宮迫と亮は謝罪会見を開くことになったが、そこでなぜか2人は「吉本の岡本昭彦社長に“謝罪会見開いたら連帯責任で事件に関係した芸人全員をクビにする”と言われた」「反社会的勢力が吉本のスポンサーだった」などと暴露。それにより、沈黙を守っていた岡本社長も謝罪に追い込まれた。

 吉本芸人、岡本社長らは、相手が反社会的勢力だったことは知らなかったと釈明しているが、そもそもの闇営業の問題から、その後は岡本社長のパワハラ問題や吉本興業と芸人の雇用契約の問題などへと発展してきている。

 ここからが本題で、今回の闇営業騒動における吉本関係者の謝罪会見に点数を付けるとどうなるか。評価基準は、60点以上が合格、以下が落第だ。

宮迫&亮はギリギリ合格
金髪会見が「OK」な理由とは?

 まずは宮迫の謝罪の評価について、増沢氏は「60点」と採点した。

「謝罪会見では泣いたりすると演技くさく見えてしまうため、冷静に話す必要がありますが、宮迫さんはある程度できていました。吉本を直接的にけなす言葉を使わなかったことも評価できます。もっとも、使わずとも吉本にはかなりのダメージを与えたのではないでしょうか。また、これは火消しの原則ですが、会見時間を設けず、一方的な打ち切りをしなかった点もよかったといえます」

 ただし、減点ポイントもある。

「できることなら、会見時にもう少し感情を抑えて、アナウンサーのように淡々と説明できればよかったかと思います。まるで俳優のような会見でしたからね。また、2時間という長時間の会見で疲れていたのかもしれませんが、会見終了間際に週刊誌に対して『事実関係をしっかり調べてほしい』と批判を展開しました。主張自体は正しいのですが、あの場ではふさわしくなかった印象です」

 続いて、亮の謝罪評価も「60点」。気になることの1つが、謝罪会見なのに金髪でよかったのかという点だが、増沢氏は「OK」との見解を示す。

「今回の会見は事件発覚からだいぶ時間がたっており、一挙手一投足、一言もらさず全ての言辞が注目されるというタイミングでした。そんな中で、もし2人が黒髪や坊主頭にしてしまえば、そちらに注目が集まってしまい、話の内容(情報)と印象が分散してしまいます。泣きながらの会見は本来ならNGですが、亮さんの人柄がよく出ていて、好意的に受け止めた人が多かったようです」

 増沢氏によれば、この会見では宮迫が進行係で亮が謝罪係と、役割分担がしっかりなされていたことが功を奏した。当初、この問題に関わった芸人は完全に悪人の立場だったが、この会見をキッカケに一部の視聴者には被害者のイメージに転じたという側面もある。こうした理由により、2人は何とか落第点は免れたという。

元KAT-TUN・田口の
土下座はなぜ「NG」なのか

 一方、岡本社長の謝罪については「40点」と辛口だ。

「会見が時間無制限だったのはよかったと思いますが、説明下手で話が回りくどく、ごまかしている印象を視聴者に与えてしまいました。簡潔に結論から話して明快な回答ができていれば、評価や結果はだいぶ違ったと思います」

「謝罪会見を開いたらクビにする」発言の釈明も、マイナスポイントだった。

「岡本社長は、芸人さんたちとの話し合いが膠着していたところで、場を和ませようとして『クビだ』と言ったと説明しました。それは事実なのかもしれませんが、この回答はNG。コンプライアンス的に許されるはずがありません。あの場面では『自分がアホでした』と言うべきだったんです。謝罪会見の場では“正直さ”ではなく、事態を収拾できるかどうかが重要。結果的に事態は全く収束されていないので不合格です」

 このように謝罪の仕方ひとつで、世間の印象はガラッと変わってしまうのだ。最近では、大麻取締法違反の罪に問われた「KAT-TUN」の元メンバー田口淳之介が、今年6月に行った土下座謝罪も話題になったが、評価は「59点」とギリギリ落第点だ。

「田口さんの謝罪の言葉自体は、大変素晴らしいものでした。言い訳や余計なことは何も言わず、全部自分が至らなかったと簡潔に言いました。しかし、その後の土下座で大きく評価を落としましたね。おそらく田口さんは芸能界に戻りたいと思っている。そう考えたときに、ああいった変なイメージを残してしまうのはものすごくマイナス。今後は事あるごとに、テレビは面白がってあの映像を流すでしょう」

 増沢氏によれば、芸能人にとってベストな謝罪とは、「イメージが残らず、世間から忘れられてしまう謝罪」なのだ。

ベッキーと円楽の
その後を分けた理由

 謝罪の仕方を間違えたばかりに芸能界に完全復帰できていない芸能人もいる。その最たる例がベッキーだ。2016年、ベッキーは、バンド「ゲスの極み乙女。」のボーカルで妻帯者の川谷絵音と不倫騒動を起こし、謝罪会見に至った。ベッキーの謝罪は「0点」だったという。

「ベッキーさんの場合、騒動の間ずっと雲隠れし、うやむやにして逃げようとしました。初めて記者会見を開いたときも、『誤解』だと言い訳をしてしまった。しかも、その会見の形式は質疑応答の時間はなく、一方的にベッキーさんが話し続けるというものでした。後に不倫の事実を認めるも時すでに遅し…。それ以来、芸能界のトップにいたベッキーさんですが火種が残ってしまい、騒動前と比べるとテレビなどへの露出はかなり減った印象です」

 一方で、謝罪会見が「100点」だった芸能人もいる。落語家の三遊亭円楽だ。2016年、円楽は週刊誌『FRIDAY』で、一般女性との不倫が報じられ、雑誌の発売当日午後に記者会見を行った。

「円楽さんは、『私は浮気をしました。時間無制限で最後の1人まで記者の質問に全部答えます』という姿勢で会見に臨みました。言い訳を一切せず、自分の非を全面的に認め、さすが落語家というユーモアあふれる質疑応答を行い、会場にいた記者たちからは拍手と爆笑が起こるという異例の会見でした。世間の多くはもう円楽さんが浮気したことなど覚えていないでしょうし、浮気騒動後も円楽さんは普通に芸能活動を続けています」

 増沢氏は、謝罪会見の成功・失敗を判断する一番の指標は、当事者がその後も業界で活動できているかどうかだという。その点でいえば、円楽とベッキーの差は大きいと言わざるを得ない。

芸能人の謝罪の極意は
「いけにえになる覚悟」

 ただ、そもそも芸能人の謝罪には根本的な疑問がある。いったい誰に謝っているのか、という点だ。田口のように犯罪で逮捕された場合ならまだしも、不倫や浮気などは、当事者間あるいは家族の問題であり、世間の誰に迷惑をかけたという話ではない。

「よく芸能人が世間に対して『お騒がせしました』と謝罪することがあります。もちろんスポンサーへの謝罪という意味もあるのでしょうが、正直騒いでいるのはマスコミであって世間ではありません。少なくとも、海外の著名人が不倫や浮気をしたからといって、会見を開くなんてことは聞いたことがありません」

 中には、芸能人のスキャンダルに対して裏切られたという思いからバッシングに転じるファン、あるいは他人の不貞に目くじらを立てる高尚な人間もいるだろうが、そこまで憤慨する人間は“稀”である。つまり、芸能人の謝罪会見の際、視聴者が求めているのは謝罪ではないのだ。

「謝罪会見というのは、『私は薄汚い、ダメな人間なんです』というのをさらけ出す場所です。騒動や不祥事は、当事者である人物がバッシングの場に立たされることで、初めて収束します。とはいえ、円楽さんのように覚悟を決めて会見に臨めるような人は少なく、多くの人は批判の的にされるのが怖くてついつい余計な言い訳をしたり、会見から逃げてしまいます。そうすると、いつまでも火種が残り続けてしまうのです」

 かつては、芸能人がスキャンダルや不祥事を起こしても、マスコミと芸能界の関係だけで情報をある程度コントロールできていた時代もあった。だが、SNSが普及したことにより、ネット上には延々とネガティブな情報や意見が残り続けてしまう。だからこそ、当事者がみそぎを済ませる必要があるのだ。

 いずれにせよ、群衆の集団ヒステリーは、芸能人の「恥」をさらし上げることでしか鎮まらないのだとすれば、何とも救いようのない話だ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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