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懐かしの森永ラムネが大人や受験生に売れまくる理由

2019年08月14日 06時00分更新

文● 真島加代(ダイヤモンド・オンライン

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水色のボトルが目印の森永製菓「森永ラムネ」。子どもたちから長年愛されてきた超定番商品だが、この数年、大人のファンが急増しているという。2018年に大人に向けて発売した「大粒ラムネ」は、一時は販売休止になったほど大きな話題を呼んだ。昔懐かしい森永ラムネが、なぜいま大人たちの注目を浴びているのだろうか。(清談社 真島加代)

ビジネスパーソンが
ラムネを買っていく

森永製菓マーケティング本部菓子第二マーケティング部・江原敦子氏
「大人向けラムネ」の商品開発はなかなかうまくいかず、苦難の末、ようやくヒット作が誕生した

 森永製菓の「森永ラムネ」といえば、1973年に“食べるラムネ”として登場して以来、いまも愛される身近なお菓子のひとつ。

「おなじみのラムネボトルを模した『森永ラムネ』のメインターゲットは、小さなお子さんがいるお母さんです。子どものおやつとして購入する“買い与えニーズ”は、いまも大きな市場でもあります。その一方で、5年ほど前から受験生やビジネスパーソンなどが自分用にラムネを購入する、というケースが増えていきました」

 森永製菓マーケティング本部菓子第二マーケティング部・江原敦子氏は、森永ラムネの購入層が広がった理由について「SNSを中心とした口コミがきっかけ」と明かす。

「2014年ごろに『二日酔いのときに森永ラムネを食べるとスッキリする』という内容の口コミが、インターネットを中心に拡散されたのがはじまりだったようです。また、森永ラムネにはぶどう糖が90%含まれているのですが、メディアを通してぶどう糖に期待されるさまざまな効果に注目が集まったことも、ラムネブームを後押ししました」

 ぶどう糖は脳のエネルギー源でもあり、SNSの口コミやぶどう糖ブームが到来。2015年度にはラムネの売り上げが前年比の120%の伸びを記録した。子ども向けの商品棚にあるボトル入りの森永ラムネをビジネスパーソンが買っていく、という現象が起きたという。

ラムネブームに乗って
開発した新商品は売れなかった…

1973年に登場した森永ラムネ。森永製菓でも屈指のロングセラー商品だ

「また、ぶどう糖を使用しているラムネ菓子は珍しかったことも、森永ラムネが注目された理由のひとつ。ぶどう糖を口に含むと、だ液などの水分に反応して吸熱作用が働き、シュワっとした爽快感と、ひんやり感を楽しむことができます。そのため、森永ラムネは『ラムネ飲料の清涼感』を再現するために、以前からぶどう糖を使用していたんです」

 ラムネ飲料を再現したい、というこだわりから生まれた森永ラムネは、46年がたった現在も、ほとんど変わらない量のぶどう糖を配合しているという。

「ほかのラムネ菓子にはない口溶けのよさと清涼感を追求した結果、いまの品質にたどり着いたと聞いています。当時の開発者は、40年後にぶどう糖が注目されるなんて、考えてもいなかったと思います」

 森永ラムネの人気を受けて、2014年ごろから新たなラムネ菓子の開発がスタートした。しかし”大人向けラムネ”という視点での商品開発は一筋縄ではいかなかった。

「2015年にウコンエキスとビタミンB1を配合した『ラムネのチカラ』という商品を販売したのですが、売り上げが伸びず販売終了。その後、2017年には20~40代の女性に向けてレモンやオレンジなどの果汁炭酸飲料味の『スパークリングラムネ』を発売しました。しかし、こちらも売り上げが振るわず、1年で販売が終了してしまいました」

苦難の末に生まれた
「大人向けラムネ」が大ヒット!

 大人向けラムネの苦戦が続く一方、ボトル入りの“元祖”森永ラムネの売り上げは右肩上がり。

発売から1ヵ月足らずで販売休止になった「大粒ラムネ」。パッケージに大きく書かれた「ぶどう糖でスッキリ!! 90%配合」の文字がとても印象的だ

「そこで「『森永ラムネ』について調査をしたところ、認知度は85%と高く、味わいについても高評価が得られました。なじみのないパッケージデザインの大人向けラムネは、手に取りにくかったようです」

 森永製菓は、多くの人が親しみを感じている森永ラムネのブランドを生かしつつ、大人向け商品の開発をすることに。そして、2018年に販売されたのが「大粒ラムネ」だった。

「パッケージカラーは、森永ラムネと同じ水色とロゴの赤色。ひと目見れば『あのラムネと同じだ!』とわかるデザインにしました。味わいは同じですが、ボトル入りのラムネとの最大の違いは粒の大きさです。森永ラムネよりも、粒を1.5倍大きくして、食べごたえが増したことで“大人向けの商品”だと認識してもらえるようにしました」

 子どもの目線に合わせたお菓子棚とは異なり、パウチ入りの商品は、コンビニなどで大人の目につきやすい場所に陳列されることが多い。すると、子ども向けのお菓子というイメージを抱いていた人も「森永ラムネの大人向け商品が出たんだ!」と感じ、目につきやすくなるのだという。

 そして、苦難の末に誕生した「大粒ラムネ」は、2018年3月の発売と同時に大きな反響を呼んだ。

「発売から1ヵ月足らずで年間販売計画数量を売り切り、販売休止になってしまったんです。正直、ここまで売れることは予想しておらず、小売店さんやお客さまには大変ご迷惑をお掛けしました。その後、同年7月に西日本で再販、10月には全国と順次再販を開始し、現在も売れ行きは好調です」

ビジネスパーソンや
東大生にも大人気

 再販時には、SNSで「箱買いした」という写真付きの投稿をする消費者もおり、大粒ラムネを“大人買い”する人が続出。「一度購入した消費者がリピーターとなってまた手に取ってくれていることが、数字にも表れていてうれしい」と、江原さんは話す。

 仕事中にラムネを食べるビジネスパーソンをターゲットに据えていた大粒ラムネは、狙いどおり20~40代のビジネスパーソンから多くの支持を集めている。しかし、大粒ラムネの人気は、働く社会人だけにとどまらなかった。

「ビジネスマンだけでなく、ボトルの森永ラムネや大粒ラムネは10代の愛好者がとても多く存在します。10代の購入層は受験生が中心で『試験勉強のお供にしている』『塾仲間が買っていたから』『塾の先生が教えてくれた』など、受験が契機になり口コミで広がっていったようです」

 近年では、受験期の子どもを持つ母親が、子どものためにラムネを購入するというケースも増えているそう。大粒ラムネのヒットは新たな市場開拓につながっているのだ。

「東京大学の生協で森永ラムネが売れているという情報を聞き、2018年には『東京大学新聞』とのタイアップが実現しました。勉強とラムネの可能性をアピールでき、注目度がさらに上がりましたね。まだ詳細はお伝えできませんが、秋頃にも新たなラムネの楽しみ方を提案する企画を進行中です」

 文字どおり“子どもから大人まで魅了する”森永ラムネシリーズ。46年間変わらぬ味と思いを貫く、森永製菓の新たな挑戦から目が離せない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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