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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第523回

第2世代EPYCは性能/消費電力比が大幅に改善 AMD CPUロードマップ

2019年08月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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第2世代EPYCでは
レイテンシー削減を実現

 話をI/Oチップレット周りに戻すと、この結果としてNUMAのドメインが従来の8つから今回は大きく2つになった形である。

右のRome側で、果たして1つのNUMAドメインの中をさらに細分化できるのか? はうっかり確認し忘れた。いずれ機会があれば確認したい

 NUMAのドメインが減り、かつ帯域向上とレイテンシー削減が施された結果として、レイテンシーそのものも確実に減っているとする。

 余談であるが、Ryzen 3000シリーズでもこのインフィニティー・ファブリックのレイテンシー削減は非常に効果がある。筆者の検証結果では、CCX間を跨いでの通信に要する時間が、Ryzen 7 2700X(DDR4-2666)では118ナノ秒前後だったのが、Ryzen 9 3900X(DDR4-2666)では86ナノ秒前後、Ryzen 9 3900X(DDR4-3200)では76ns前後に短縮されている。

 Ryzen 7 2700Xの場合は、同じダイの中にある2つのCCX間を、やはり同じダイ上にあるデータ・ファブリック経由で接続、Ryzen 9 3900Xの場合は異なるダイに跨ったCCX間を別のダイ上にあるデータ・ファブリック経由で接続なので、普通に考えればRyzen 7 2700Xの方がレイテンシーが少なくなりそうなものだが、第2世代のインフィニティー・ファブリックでは帯域強化とレイテンシー削減が本当に実現できた模様で、このあたりもRyzen 3000シリーズの高速化に一役買っている。

 第2世代EPYCでもこの効用が発揮されているようで、第2世代EPYCでは実効でも200GB/秒を超える帯域でSocket間の通信が可能としている。

これはインフィニティー・ファブリックの速度(Raw Link BW)と、その際の実効帯域(Data BW)を示したもの。4リンクが前提の構成である

 なおこの性能が得られるのは、当たり前であるが第2世代EPYC向けのRomeプラットフォームを利用した場合で、第1世代EPYC向けのNaplesプラットフォームを利用した場合の速度は10.7GT/秒に抑えられる。

 このあたりは、プロセッサーだけをアップグレードするか、それともプラットフォーム(=マザーボード)ごと入れ替えるか、という話になるわけだ。プレットフォームごと入れ替えるとそれなりに費用は高くつくが、その分性能が大きく改善するというわけだ。

PCI Expressの帯域が倍増

 続いてI/O回り。第2世代EPYCでは128レーン(8x16)のPCI Express Gen4レーンが1つのSocketから出せる。初代EPYCでもやはり8x16レーンのPCI Expressを引っ張りだせたので変わらないと言えば変わらないのだが、帯域は倍増した。

実装の問題はあるにしても、PCI Express Switchを挟めば、従来のPCI Express Gen3相当なら256レーン(16x16)を利用できる計算になる。それこそPCI Express Gen3のアクセラレーターを大量につなぎたい、というケースでは非常に効果的だろう

 そのPCI Expressだが、いろいろと機能強化がなされている。帯域以外にもP2Pサポート(CPUを介さずに、たとえばPCI Expressのアクセラレーター同士で通信する技法)が公式にサポートされたほか、1つのPCI Express x16レーンに最大8つまでデバイスを接続できる(8x2構成にして、その先にPCIe Switchを挟めばPCIe Gen3x4のNVMe SSDを8つぶら下げられる)など、柔軟性が大幅に増している。

機能が強化されたPCI Express。81というのは5×16+1で、この+1は管理用デバイスの接続などを想定しているものと思われる

 おもしろいのが2 Socket構成である。初代EPYCの場合、PCIeレーンと(Socket間接続の)インフィニティー・ファブリックが共用だった関係で、2 Socketの場合はそれぞれのSocketから64レーンずつPCIeが出て、残りはSocket間接続に利用されており、結局2 Socketでも合計では128レーンでしかなかった。

 ところが第2世代EPYCではSocket間の通信には18GT/秒の専用ポートを利用する関係で、それぞれのSocketから81レーンずつ、合計で162レーンが利用可能となっている。1 Socketならx16レーンを利用するアクセラレーターを8本接続できるのが、2 Socketではこれを10本に増やせる形だ。もちろんこれもNaplesプラットフォームをそのまま利用する場合は引き続き合計で128レーンに制限されることになる。

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