ファーウェイにとって最重要な
ネットワーク機器事業では厳しい状況が続く
スマートフォンはファーウェイにとって売上の35%を占める2番目の事業部だ。最大の事業は、半分以上を占めるネットワーク機器だ。ここでは相変わらず見通しが良くない。
先に”Five Eyes”こと米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5ヵ国はロンドンで会合を開いた。大きなテーマは児童ポルノなどオンラインでの児童の性的悪用だったようだが、会合の後に出したレポートでは、「外部からの干渉に戦うためのアプローチを共有するメカニズムを構築する」という点について、5ヵ国は民主的なプロセスなどを外部の干渉やその他の敵対的な国の活動から保護する、共通の戦略があると記すにとどめている。
この5ヵ国の中で明確にファーウェイを締め出している米国とオーストラリア、その両国に比較的近い立場のニュージーランド、カナダに対し、英国はファーウェイとの関係は親密だ。大きな要因として、人材がある。
ファーウェイのセキュリティトップのJohn Suffolk氏は英政府でCIOとCISOを兼務していた人物だし、BTやVodafoneなど英国のテレコム企業出身者がファーウェイには少なからずいる。ファーウェイは現地にラボを作って貢献しているほか、セキュリティセンターを開設するなどの取り組みを見せており、先に仏政府が2018年に開始したサイバーセキュリティのイニシアティブ「Paris Call」にも参加した。
一方で、保守的なボリス・ジョンソン氏が首相になったことでファーウェイに対する態度が一変するようなこともあるのかもしれない。ジョンソン首相はトランプ大統領と就任後電話で会談し、5Gをはじめとしたセキュリティについて話をしたとも伝えられている。
現在の米中貿易戦争状態が続けば、ファーウェイはさらに国内市場にフォーカスを強めるだろう。一部市場ではすでに人員削減が始まっているとも聞くが、中国では人員削減はない様子だ。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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