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夏の甲子園の見どころ!優勝候補の初戦激突、サイン盗み因縁の対決に注目

2019年08月06日 06時00分更新

文● 小林信也(ダイヤモンド・オンライン

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甲子園
今年の甲子園ではどんなドラマが見られるのでしょうか? Photo:PIXTA

 全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)が6日に開幕する。高校野球に関するさまざまな批判は一旦、脇に置き、今大会の見どころをお伝えしよう。

 高校ビッグ4と呼ばれた好投手のうち、今回の甲子園に登場するのは星稜の奥川恭伸投手ただ1人。他の3人、佐々木朗希(大船渡)、西純矢(創志学園)、及川雅貴(横浜)はいずれも地方大会で敗れた。だが、ほかにも楽しみな選手は目白押し。この大会で一気にスターダムにのしあがる選手もいるだろう。

 夏の甲子園の見どころは多々あるが、本稿では3つの観点から注目ポイントを紹介したい。

1)優勝を争う強豪校
2)活躍が期待される選手
3)ちょっと気になる「裏側」的な関心事

優勝争いの本命は4つの強豪校
東海大相模は神奈川大会で圧勝!

 優勝を争う強豪と目されるのは、東海大相模(神奈川)、星稜(石川)、近江(滋賀)、智弁和歌山(和歌山)あたりか。

 東海大相模は強豪ひしめく神奈川県大会を圧勝して甲子園出場を決めた。準決勝(対相模原)は11対2、決勝戦(対日大藤沢)は24対1。その隙のない攻撃力は、甲子園でも脅威になるだろう。

 星稜は、奥川という絶対的な存在を中心に据えながら、準々決勝、準決勝は厳しい接戦の末に勝ちあがった。それだけにチーム力はいっそう磨かれたかもしれない。準決勝ではリードした場面で奥川がリリーフに立ち、逆転された。するとすぐ奥川がホームランを打ち、同点に追いつく。さらには次の打席で2ランを打ち、逃げ切った。打者・奥川も相手チームには怖い存在だ。優勝すれば石川県勢としては初となる。

 近江もまた滋賀県勢として初の優勝を狙う。昨年の経験者を多く残し、総合的なチーム力で勝ちあがる可能性は十分。昨夏は準々決勝で金足農に惜敗(3対2)したが、そのときのバッテリーが今年も健在。投手・林優樹、捕手・有馬諒という3年生になった2人を中心にレベルの高い野球を展開するだろう。

 林は滋賀大会で26イニング無失点。ダルビッシュ有投手もツイッターで絶賛する好投手だ。有馬の頭脳的リードは高校生離れしていると評価が高い。ショートの2年・土田龍空は昨夏も1年生ながら活躍。バネのある奔放なプレーでチームを活気付ける存在。

 智弁和歌山は、なんと5季連続出場。1年夏から甲子園の土を踏んでいる黒川史陽、東妻順平、西川晋太郎は、高校在学中、一度も逃すことなく甲子園に出続けている。和歌山県大会の決勝でも黒川は初回先頭打者ホームランを打ってムードを引き寄せた。甲子園ではまだ満足のいく活躍ができていないと感じているだけに、最後の夏、優勝旗への思いは強いだろう。

 経験豊富な3年生を押しのけて主砲に抜擢されたのは1年生の徳丸天晴。打席での威圧感が抜群だと評判の徳丸がどんな打撃を見せるか。監督は高嶋仁前監督から元阪神でOBの中谷仁監督に引き継がれている。

 さらには、春のベスト4・明石商(兵庫)、激戦区を勝ち抜いてきた履正社(大阪)、実力校の明徳義塾(高知)、智弁学園(奈良)、花咲徳栄(埼玉)、神村学園(鹿児島)など、どこが勝ってもおかしくない。

優勝候補の東海大相模と近江が
まさかの初戦で激突!

 さて、このように書いてはみたが、3日の組み合わせ抽選結果を見て、思わず溜息が出た。例年になく、一回戦から強豪同士の対戦が多い。初戦から上に挙げた優勝候補がぶつかり合い、2校に1つは早々に甲子園から姿を消すことになる。

 東海大相模と近江がいきなり当たった。6日目の第2試合。同じ日の第4試合は、花咲徳栄と明石商。準決勝でもおかしくない2試合。言い方を変えれば、優勝候補の2校が、間違いなく初戦で姿を消す。

 ほかにも、佐賀北対神村学園、履正社対霞ヶ浦、花巻東対鳴門、習志野対沖縄尚学など、旋風を巻き起こしても不思議ではないチーム同士の対戦が目立つ。これらチームも必ずどちらかが敗退すると思うと、厳しさと同時に、もったいない気さえする。

 そのほか、個人的には、初出場校の活躍にも期待がふくらむ。今回の初出場校は飯山(長野)、誉(愛知)、富島(宮崎)の三校。いずれも強豪校がひしめく地域を勝ち上がった。とくに飯山は、私がリトルシニアの監督時代、新潟の親善大会決勝で対戦した飯山シニアの本拠と同じ。中学時代、あのチームで切磋琢磨した野球少年たちが、豪雪地帯から夢をかなえたのかと思うと感慨深い。初戦は対仙台育英、相手に不足はない。

150キロ投手、HR量産型打者も
甲子園のヒーロー候補の選手たち

 注目の投手は、奥川恭伸のほか、霞ヶ浦の鈴木寛人は、185センチの右腕投手。手足の長さを生かした角度のある投球が持ち味だ。

 春のセンバツで準優勝した習志野のエース飯塚脩人も150キロを越える速球が健在。三重大会決勝で最速152キロを記録した津田学園の前祐囲斗投手も楽しみだ。182センチの右腕。センバツでは延長10回まで龍谷大平安を無失点に抑えながら、11回に死球をきっかけに2点を失って敗れた。フォームは一見オーソドックスに見えるが、左足を踏み出したあと、右手が出てくるタイミングが不思議なリズムで遅れる感じがあり、打者としたら打ちにくいのではないだろうか。

 明石商をセンバツでベスト4に押し上げた立役者と言われた2年生投手・中森俊介にも注目だ。4試合で493球を投げ、敗れた準決勝(対東邦戦)でも8回4安打、9奪三振の好投を見せた。

 打者では、八戸学院光星(青森)の遊撃手・武岡龍世(3年)。巨人で活躍する先輩・坂本勇人にちなんで「坂本二世」と呼ばれる。右投左打だから、坂本とは違うが、それだけの守備力と打力だという高評価。すでに広島東洋カープで活躍中の守備力と打力に定評のある「小園海斗二世」と呼ぶべきか。

 チームもこの夏、チーム打率4割2分5厘、ホームラン15本で勝ち上がった。長打力では6本塁打の近藤遼一、5本塁打の原瑞都が注目。甲子園でもホームランを量産できるか。八戸学院光星も優勝候補の一角といってもいいだろう。

 智弁学園の坂下翔馬主将にも注目だ。身長165センチ(もう少し低いともいわれる)と小柄。だが、地方大会で5本塁打と奈良県大会新をマークした。智弁には、1年生左腕・西村王雅、同じく1年生で右腕の小畠一心がいる。展開次第では甲子園でヒーローになる可能性も大きい。

 優勝候補の最初に挙げた東海大相模の驚異的な攻撃力の中心にいるのは、2年生の3人。山村崇嘉、西川僚祐、1番を打つ鵜沼魁斗の3人で、すでに通算100本のホームランを打っているという。

 大阪を代表して甲子園に出場する履正社には、通算46本塁打、夏の大会でも4本塁打を放った井上広大もいる。

夏の甲子園“裏の見どころ”は
「サイン盗み」因縁の対決

 さて、今大会は、球数制限、連投の是非などの議論が渦巻く中で行われる。各監督が、一体どのような采配をするのか。その指導姿勢や哲学が問われる、これまでにない大会になるだろう。

 抽選結果を見て、ファンが内心ドキドキしているのは、大会4日目(9日)に行われる鳴門対花巻東の対戦。これを「因縁の対決」と呼ぶ声もある。今春のセンバツでも騒ぎが起こった「サイン盗み」が疑われ、後味の悪い勝負になったのが6年前の夏、この両校の対戦だった。勝ったのは花巻東。2塁走者が打者に球種を教えているのではないか、と指摘したのが鳴門だった。指摘した捕手が最後の打者になったのも皮肉だった。それだけに、今回の対決を雪辱戦ととらえるファンも少なくない。

 この春、サイン盗みを指摘したのは、星稜。対戦相手は旭川大附だ。

 明徳義塾の馬渕史郎監督は、かつて星稜の松井秀喜選手を5打席連続して敬遠するよう投手に指示し、非難の的となった。勝利のためなら当然だ、仕方がないとの擁護もあった。勝利を優先し、明徳義塾を全国の強豪の一角に押し上げてきた。

 だが一方、1年生ながらマウンドを任せるなど、甲子園のヒーローと呼ばれた選手が、怪我もあり、その後、大学野球でもあまり活躍できず苦悩している現実もある。今年はどんな采配をするだろう。

 春ベスト4に勝ち上がった明石商は、初戦の花咲徳栄に勝利できればまた上位進出の可能性を秘めている。センバツで中森投手が4試合493球を投げた。今大会、狭間善徳監督は、やはり中森中心に連投でいくだろうか。

 今夏の甲子園は、8月6日に開幕し、21日が決勝の予定だ。準々決勝と準決勝の間、準決勝と決勝の間、それぞれ1日ずつ休養日が設けられている。

(作家・スポーツライター 小林信也)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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