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ソフトバンクG10兆円ファンド「第2弾」が始動、アリババの夢よ再び

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ビジョン・ファンドのAI投資で次のアリババは見つかるか 写真:つのだよしお/アフロ 拡大画像表示

ソフトバンクグループが10兆円規模の「ビジョン・ファンド」の第2号を立ち上げる。合わせて20兆円超の資金で、AIのユニコーン投資にまい進する巨大な投資会社が誕生する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

「AI(人工知能)の投資機会を総取りする」──。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が情熱の97%を注ぐというソフトバンク・ビジョン・ファンドの狙いは、巨額資金を駆使して、AIで広がる全てのチャンスを独占することだ。

 インターネットの世界では、グーグルやアマゾン・ドット・コム、フェイスブックが生まれたが、孫社長はこれら巨大企業に創業期から目を付けながら「資金不足で投資機会を逸した」ことを悔やむ。

 片や、2000年にアリババ集団の創業者ジャック・マー氏と出会って20億円を出資した株式の価値は今や13兆円に膨らんだ。孫社長の究極の狙いは、AIの世界に潜む「第2のアリババ」探しに他ならない。

 ファンド第1号は17年5月から運用を開始した。運用規模は1030億ドル(約11兆円)で、すでに80社以上のAI関連企業に投資している。ライドシェアやeコマース、金融、ホテルチェーンなどの分野で、株式上場が近いユニコーン(評価額が10億ドル以上の未上場企業)の株を保有している。特に、ライドシェア分野では、米国のウーバー・テクノロジーズをはじめ、中国、インド、シンガポールの各国の同業に出資して配車サービスの覇権を狙う構えが鮮明だ。

 当初は5年かけて投資する予定だったが、あまりに速いペースで投資が進み、今期か来期にも11兆円の投資資金を使い切ってしまうため追加の出資者を探していたが、7月26日、第2号の出資予定額が1080億ドル(約11.7兆円)に達したと発表した。

 1号ファンドの出資者は、サウジアラビアの450億ドル(約4.8兆円)やアブダビの150億ドル(約1.6兆円)など中東勢が目立ち、ソフトバンクグループの出資分は325億ドル(約3.5兆円)。

 対して2号ファンドでは、ソフトバンクグループが最大出資者として380億ドル(約4.1兆円)を拠出する。前回に続いて米アップル、台湾・鴻海精密工業が出資するほか、米マイクロソフトが初めて参加する。また、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行の3メガバンク、第一生命保険、三井住友信託銀行、SMBC日興証券、大和証券グループ本社など国内有力金融機関がそろった。

 中東マネーに依存した1号ファンドよりも「質の高い資金」が集まったのは、1号ファンドの投資リターンが年間45%にも達したのが大きいようだ。ソフトバンクとの取引強化と投資成果を狙う金融機関が「オールジャパン」でソフトバンクのAI投資を支援する。

米スプリントの巨額有利子負債 
ついに切り離しへ

 孫社長にはもう一つの追い風が吹く。傘下の米携帯電話4位スプリントが同3位のTモバイルUSと合併する計画が司法省から条件付きで認められたのだ。

 スプリントは、経営陣が自ら「単独での生き残りは難しい」と当局に訴えたほど行き詰まっていたが、年内には関係当局の承認が全て下りる見込みとなった。

 これによりソフトバンクグループはスプリントの出資比率を84%から27%に引き下げて持分法適用会社にし、スプリントが抱える4.4兆円の有利子負債を切り離す。

 経営権もTモバイルに譲り渡すことで、今後は株式投資先の一つとして、エグジット(投資回収)を模索することになりそうだ。

 すでに通信子会社のソフトバンク株は昨年12月の新規上場で36%を売却して2兆6000億円を調達した。また、連結子会社だったヤフーの保有株を手放して5262億円を調達した。ヤフーはソフトバンクの子会社となり、ソフトバンクグループの孫会社となった。

 いずれもファンドの投資資金に充てられたが、保有価値が3兆円に上るスプリント株も、ビジョン・ファンド2の出資分を賄うための重要な資金源になり得る。

 26%を保有するアリババ株も大きな資金源だ。16年には一部を売却して約1兆円を調達したが、今や保有株を売らなくても、アリババ株の巨額の含み益が信用を創造し、担保として借り入れが可能だ。当面、ビジョン・ファンド2の出資資金の調達で、ソフトバンクが窮することはないだろう。

 すでに第1号ファンドの中には上場する投資先も出て、ファンドの評価益も膨らんでいる。19年3月期に、インターネット医療サービスの中国・平安健康医療科技と、血液の遺伝子検査サービスの米ガーダント・ヘルスの2社が上場。さらに、5月にはライドシェア大手の米ウーバー、6月にはビジネス対話アプリの米スラック・テクノロジーズが上場し、シェアオフィス「We Work」を運営する米ウィー・カンパニーは9月にも上場する見通しだ。

 AI時代が到来するタイミングで、20兆円もの投資資金を得た孫社長は、ビジョン・ファンドを通じて次の中核事業を見つけ出すことができるのか。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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