このページの本文へ

日本郵政が「強気の謝罪会見」、首脳陣続投の背景に政治の影

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
記者会見で辞任をきっぱり否定した日本郵政の首脳陣
記者会見で辞任をきっぱり否定した日本郵政の首脳陣 Photo by Masaki Nakamura

終始強気だった日本郵政の長門社長

 この程度か――。日本郵政が31日に開いた定例の記者会見で、長門正貢社長はそう言いたげな表情を、時折見せた。

 2時間以上にわたる記者との質疑では余裕すら感じられ、用意していた想定問答が吹き飛び、言葉に詰まるような場面はほとんどなかったといえる。

 最大で18万件超にも及ぶ保険の不適切販売を巡り、経営責任を問われた場面では「陣頭指揮をとって改善策を講じることが経営者としての責任」と言い切り、辞任を否定。また、問題を見過ごしてきた経営者としての資質とそれに伴う責任を聞かれたときは、一瞬困惑しながらも「論理が飛躍している」と何とかかわしてみせた。

 不適切販売で、郵便局への信頼を失墜させたことへの謝罪会見だったにもかかわらず、そこまで強気の姿勢でいられたのは、前日にあった会合の影響が大きい。

 その会合とは、郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟(郵活連)の幹部会だ。

 会長の野田毅氏をはじめ大物議員12人を前に、長門社長など日本郵政の首脳陣は、不適切販売の一連の経緯を説明。幹部議員から「今のような説明だけでは世間は納得しない」などと、厳しい言葉が飛んだものの、会合全体の雰囲気から、自らの首を差し出すほどの事態にはなっていないという感触をつかんだようだ。

郵政首脳陣を激励した議員たちの本音

 「おい、がんばれよ!」。会合が終わり、幹部議員からそう言われ背中を叩かれた日本郵便の横山邦男社長は、それまで見せたこともないような恐縮ぶりで、深く何度も頭を下げていたが、議員が去った後に見せたほっとしたような表情は、「なんとか辞めずにすみそうだ」という胸のうちを語っているかのようだった。

 「明日(の会見)は、報道の人たちはどんなことを当ててくるんだろうね」。30日夜、長門社長は周囲にそう尋ね、新たな不適切販売の事例などを材料にして、メディアが責任を追求してくることを警戒していたという。

 しかし、ふたを開けてみれば会見で想定外の事例をメディアから突き付けられるようなことはなく、政治の後ろ盾を再び得たという自信が、強気の姿勢を徐々に後押ししていった。

 今後郵政グループは、顧客調査を本格化させ、問題の早期の幕引きを図る考えだが、首脳陣が描く「楽観シナリオ」通りに、果たして事が進んでいくのかどうか。

 郵活連の会合後、にこやかに話していた幹部議員は「明日に会見あるんでしょ。まあそれ次第だけど、生ぬるい内容で世間の反感を買ったりしたら、俺が経営責任追及の急先鋒になるよ」と語ったその目は、全く笑っていなかった。

(ダイヤモンド編集部 中村正毅)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ