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日本郵便とアフラックが、がん保険の販売継続に固執する理由

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郵便局における保険販売を巡って、日本郵政傘下の日本郵便と、親会社が資本提携しているアフラック生命保険に自粛を迫る包囲網が敷かれ、販売継続の説明が付かない苦しい立場に置かれ始めている
郵便局における保険販売を巡って、日本郵政傘下の日本郵便と、親会社が資本提携しているアフラック生命保険に自粛を迫る包囲網が敷かれ、販売継続の説明が付かない苦しい立場に置かれ始めた Photo:JIJI

販売継続の説得力失った
日本郵便とアフラック

 郵便局での保険販売を巡って、日本郵政傘下の日本郵便とアフラック生命保険に対する「自粛」包囲網がいよいよ狭まってきた。

 日本郵便はこれまで、郵便局員による不適切販売を受けて、かんぽ生命保険の積極的な販売(募集)を自粛する一方で、アフラックのがん保険については、従来通りの募集を継続するというスタンスを一貫してとっている。

 7月26日の機関投資家向け説明会でも、アフラックの米持ち株会社は郵便局での募集継続を明言している状況だ。

 かんぽ商品のように、新規契約と解約の時期をうまく調整することによって、郵便局員の実績評価が大きく変わるような仕組みにはなっておらず、募集における構造上の問題は見当たらない、というのがアフラックとしての言い分だ。日本郵政の社外取締役を務めているアフラックのチャールズ・レイク会長の意向も、募集継続に大きく作用しているとみられる。

 しかしながら、郵便局という一代理店で二重払い契約といった問題が発覚し、その全容は郵政グループとしていまだにつかめていないのが現状だ。

 加えてアフラックとしても、不適切な募集事例がなかったか改めて独自に調査をするとしているにもかかわらず、なぜ足元では積極的な募集を続けて問題がないのかは、いまだまともに説明できていない。

導入が遅れた「条件付き解約制度」

 そうした状況で、日本郵便の幹部は「うちとしては(アフラックのがん保険は)自粛したいのが本音」と25日前後から、周囲に盛んに漏らし始めている。それまで同幹部は、業績への影響が大きい募集の自粛を「なぜする必要があるのか」と言い放っていたが、募集を続けることの説明が日に日に苦しくなり、このままでは持たないと考えたようだ。

 そこには、アフラック側の圧力が強いという構図にできればという意図が見え隠れするが、となると、積極募集の自粛を日本郵便に申し入れていた日本生命などの商品は、当然ながら自粛しないと支離滅裂な状況になる。

 「かんぽ商品以外も自粛」という記事が、週末の27日から相次いだのはそうした背景がある。さらに、日本郵便として批判の矛先を何とかアフラックに向けたいという事情もあった。その一つが「条件付き解約」の導入が遅れてしまったことだ。

 そもそも、アフラックのがん保険には、悪用などを防ぐために、契約日から保障開始までに3カ月間の免責期間(待機期間)がある。そのため旧契約から新契約に切り替える際には、保障が途切れないよう3カ月月間は新旧両方の保険料を払うことになるが、条件付き解約制度を利用すれば、保障の空白期間をつくらずに、新契約分の保険料だけを払えば済む仕組みになっている。

 アフラックは条件付き解約制度を2014年に導入し、当時から日本郵便に導入を提案してきたようだが、日本郵便は「システム対応の問題もあり、当時は必要性を認識できなかった」という。

 18年4月にアフラックのがん保険が改定(保険料免除条項を追加)になり、解約と新規契約のボリュームが膨らんだ昨年末になって、ようやく条件付き解約制度の導入を決めており、今年10月から適用する予定だったのだ。

 そうして、顧客の負担軽減につながる制度の導入は後回しにする一方で、かんぽ商品については不適切な募集を放置していたことになり、経営陣が謳っていた「顧客本位」がいかに口だけだったかがよく分かる。

郵政グループと保険会社のいびつな上下関係

 また、今回の問題を通じて一段と明確になったのが、日本郵便と保険会社のいびつな上下関係だ。販売自粛か継続かを巡って、日本郵便はアフラックの顔色を常にうかがってきた一方で、日生などに対しては売るか、売らないかの最終決定権は日本郵便側にあるかのような態度をとってきたからだ。

 本来、商品を供給する保険会社は、代理店に対し教育、指導、監督する義務があり、一代理店である日本郵便に対しても強い立場にある。そのため、保険会社として募集自粛を日本郵便に一方的に通告することも可能だ。

 実際、今年2月に日生などが節税保険(法人定期)を自主的に販売停止にした際は、委託していた日本郵便にも停止を通告している。

 商品性自体に問題があったからという側面はあるものの、政治が絡む郵政グループの強大さを前にして、今回の問題では日生などは自粛に向けて協議の申し入れというかたちにとどめ、日本郵便は協議ぐらいは受けてあげましょうという姿勢で対応してきた。

 そうこうするうちに、事態は郵便局でアフラックだけが今後も募集継続、という方向に傾き始めた。

 日本郵便をはじめ郵政グループは、7月31日の定例会見に向けて、辞書のような分厚い想定問答集を目下作成しているというが、説明のあまりの苦しさに、「かんぽ以外は従来通り募集継続」と書いては消す姿が目に浮かぶようだ。

(ダイヤモンド編集部 中村正毅)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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