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ヤフーが子会社アスクル社長の退陣要求、アスクル側猛反発の深層

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親会社のヤフーに社長交代を迫られたアスクル。大株主相手に打つ手はあるのか
親会社のヤフーに社長交代を迫られたアスクル。大株主相手に打つ手はあるのか Photo:Diamond

ヤフー川邊社長が退陣するよう通告

 「8月2日の株主総会で、取締役選任議案に反対する。ご自身で身を引かれたらどうですか」――。

 6月27日、東京都江東区の通販大手アスクル本社。アスクルの岩田彰一郎社長は、親会社であるIT大手ヤフーの川邊健太郎社長から、退陣を突き付けられていた。数日以内に回答することをその場で求められた岩田社長は7月1日、要求を拒否する意向をヤフーに伝えた。

 ソフトバンクグループ傘下のヤフーとアスクルの対立が表面化した。両社は2012年に資本業務提携を締結。現在ヤフーはアスクルの株式の約45%を握る筆頭株主だ。
 
 ヤフーは7月17日、アスクルの株主総会で岩田社長の再任に反対することを公式に表明。低迷するアスクルの業績の早期回復や、経営体制の若返りなどを理由に挙げている。

 一方、アスクルは猛反発。イコールパートナーシップの喪失や独立性の侵害が顕著になったことを理由に、資本業務提携の解消をヤフーに申し入れた。

 ただ、ヤフーは17日、解消の協議に応じない意向をアスクルに伝え、「引き続き資本業務提携関係を継続させていただければと考えている」とコメントしている。

 対立のきっかけの一つは、アスクルの個人向けの通販「LOHACO(ロハコ)」事業だ。

 提携を機に12年10月から始めたが、19年5月期は92億円の赤字。事業開始以降、一度も黒字化できておらず、累計で300億円以上の赤字を積み上げている。

 今年1月15日、ヤフーはアスクルに対して、ロハコ事業の譲渡の可否や、譲渡する場合の条件について検討するよう要請。アスクルは18年12月にロハコの事業戦略を見直したばかりであることなどを理由に、事業譲渡しない方針を2月下旬にヤフーに伝えた。

 このアスクルの回答に対し、当時のヤフーは、「真摯かつ誠実な対応に感謝する」と返答。両社の幹部が集い、ロハコ事業の方針などを協議する月に1度の定例会議も引き続き開催され、事業譲渡などの話題は出なかったという。

 ただ、岩田社長が6月下旬にオフィス用品大手プラスの今泉公二社長と面談した際に、「ヤフーから『ロハコ事業をアスクルから切り離すためには岩田社長の退任が必要。事業切り離しは年内だ』という話があった」と告げられたという。

 プラスはヤフーに次ぐ大株主で、11.6%の株を持つ。プラスも株主総会で岩田社長の再任に反対する意向を17日に表明し、岩田社長の退任は避けられない見込みだ。

ソフトバンクが狙うアスクルの物流

 こうした中で、「ガバナンスの観点から看過しがたい支配株主による強引な株主権の行使だ」と批判し、一連の経緯の暴露に踏み切ってまでアスクルが大株主に反旗を翻したのは、ヤフーへの不信感が大きい。

 昨年見直したロハコの事業戦略は、ヤフー側の幹部も参加する定例会議で議論を続けて立案したものだ。

 また、株主総会に上程する取締役候補者を説明した6月5日の取締役会でも、ヤフーから送り込まれた役員は異論を述べなかった。

 あるアスクルの幹部は、「株主総会の決議を考えると詰んでいる。だが、気持ち悪さがあって受け入れられない。二転三転する支配株主の考えでさまざまなことが決まっていく会社の株を、証券市場で取引してもらえるのか」と訴える。

 また別のアスクル幹部は、今回のヤフーの動きを、「孫(正義)さんが物流をやりたがっているからだ」と指摘。「ロハコを譲渡した時に、こうなればアスクルもヤフーもハッピーだという具体的な説明がヤフーからはない」と打ち明ける。

 親会社であるソフトバンクの意向を受け、物流という武器を持つアスクルを、意のままに操れる経営体制に塗り替えるべくヤフーが動いているとアスクル側には映る。
 
 岩田社長は18日午後1時半から都内で記者会見を開く予定だ。株主総会での敗北はほぼ確定しており、退任が避けられない状況で何を語るのか。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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