“違約金1000円”で格安SIMへの影響は
さて冒頭の内容に戻り、2年契約の途中解約での違約金を上限1000円までとする施策が総務省によって推進されている。ドコモ、au、ソフトバンクなどの大手キャリアを想定した変更案だ。ただし、100万契約以上の事業者やMNOの関連会社にも適用されるので、楽天モバイルやIIJmio、OCN、mineo、LINEモバイル、BIGLOBEなども対象となる。
違約金が問題となるのは1年を超える契約の場合なので、MVNOの格安SIMの場合はそのままになるかもしれないが、いずれにせよ、もし実施されれば、短期利用の違約金の逆転現象が起こってしまう。音声通話付きの場合、前述した違約金なしのサービス以外では、約1万円の違約金が残ってしまうため、短期利用なら3大キャリアのほうが安価になる可能性もある。
短期利用では2年契約なしでも
約1万円の違約金がかかるキャリアがある
どうしても短期利用のための回線が必要な場合、一部を除いた格安SIMでは違約金がかかるため、3大キャリアの2年契約なしで加入する方法を検討している人には注意がある。
2年契約なしであっても解約すれば高額な違約金がかかることがある。たとえばソフトバンクでは2年契約が前提ではないプランでも、契約1ヵ月目に解約すると9500円、2ヵ月目なら7200円、3カ月目は5000円の解除料がかかり、実質的な3ヵ月縛りとなっている。ソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」は大量通信には便利なプランで、SIMだけの契約では2年縛りなしの契約が優遇される制度があるが、ごく短期間だけ利用するには注意が必要だ。
また、短期間でMNP転出をした場合の費用増額もある。たとえばドコモのMNP転出料は通常2000円だが、機種購入なしの新規契約については契約日から90日間は転出料が5000円に増額される。ソフトバンクも同様で、機種購入なしの新規契約、つまりSIMだけの契約では契約後翌々請求月末までのMNP転出には転出料が5000円と通常の3000円よりも増額となる。
結局、今後の違約金はどうなる
3大キャリアの2年契約の違約金は、政府の意向もあって、報道されている案どおりに違約金の上限1000円となることは考えられる。端末購入と通信料金を完全分離すれば2年契約自体の意味も薄れているほか、加入時に契約事務手数料を徴収している以上、短期で解約されても実際にはキャリアへの損害は大きくないはずだからだ。また、携帯電話事業は公共の電波を使う許認可事業であり、ユーザーに不利な状況なら国が是正措置を検討するのは理解できる。
しかし、MVNOの格安SIMについてはどうなるわからない。携帯電話事業者の乗り換えを推進することが目的であることからすると、格安SIMも違約金を含めた制度を変更したうえで自社サービスをアピールする可能性も考えられる。
ただし、2年契約に限って違約金を1000円にするということになった場合、ソフトバンクのように2年契約ではないプランでも、短期解約の違約金を制度に盛り込む可能性がある。こういうことが許されるかどうは政府の制度設計にかかっており、抜け道的な縛りが施されるかどうかはユーザーの監視と声を上げていく姿勢が重要となる。
また、これまでの通信料金の変遷からすれば、政府介入による制度変更は混乱が生じるもの。損をしないためにも携帯電話をとりまく動きにはしばらくは十分注意したほうがよいだろう。
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