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大西洋のホンダワラ大繁殖、人工衛星データで規模が判明

2019年07月08日 10時00分更新

文● Charlotte Jee

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昨年7月、大西洋に広がったホンダワラ属海藻の広大な群生は、幅8850キロメートル、2000万トンにおよんだことが分かった。

7月5日付けでサイエンスに掲載された論文によれば、2011年以降、毎年夏に海中のサルガッサム(浮遊性のホンダワラ属の海藻)の量が増え続けており、2018年には最大の繁殖量が観測された。海藻の浮遊群は海洋生物にとって重要な生態系を提供するが、繁殖しすぎると珊瑚を窒息死させ、海岸線沿いに大きな被害をもたらす。たとえば、観光に依存しているメキシコの地域では、浜に打ち上げられたサルガッサムが大問題となっている。

 南フロリダ大学の研究チームは、人工衛星から可視光線や赤外線で海洋をスキャンしたデータを使用した。サルガッサムはクロロフィル(葉緑素)aを多く含んでおり、その下にある水と対照的に、赤外波長においてはっきりと際立つ。

サルガッサムが大繁殖している理由は完全にはわかっていない。だが、この大繁殖は主な2つの栄養によってもたらされているようだ。アマゾン川からの流出、そして西アフリカの海岸沿いの湧昇(強い風のせいで表面の海水がより深いところの栄養豊かな水と入れ替わる現象)だ。論文の共著者である南フロリダ大学のチュアンミン・フー教授によれば、元をただせばこうした傾向は、降水量と海洋循環に影響を与えている気候変動によって起こっているという。「こうした現象はおそらく、ずっとこのまましょう」。

だが、何がサルガッサムの爆発的な繁殖を引き起こしているのかもっと解明するためには、さらに解像度の高い人工衛星データを集める必要があるだろうと、海洋学者のジェームス・ガウワーはサイエンス ・ニュースで語っている。

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