Windows 10では、USB Type-Cに対応
Windows 10の新しい機能としてUSB Type-Cに対応したことがある。USB Type-Cは、それだけではUSBの新しいコネクタのようにしか見えないが、実際にはUSBという仕様の「再スタート」版といえる。
つまり、今後のUSBは、USB Type-Cを前提にして発展するものであり、その意味では従来のUSBコネクタ(Type-A、Type-Bなどと呼ばれる)は、「レガシーなUSB」になる。
従来のUSBでは、OTGデバイス以外はホストと周辺デバイスの役割は固定されていたが、USB Type-Cでは、ホストと周辺機器という立場を入れ替えることもできるし、電源供給の方向も、ホストから周辺機器という方向だけでなく、逆に周辺機器側からホストへ、も可能だ。最近の多くのノートPCが対応しはじめたUSB Type-Cによる電源供給もUSB Type-Cだからこそできるものだ。
こうした利便性が高い反面、USB Type-Cの制御は、簡単ではない。Windows 10では、このために、USB Role Switch(URS)やUSB Type-C Connector System Software Interface(UCSI)ドライバー、UCSIクラス拡張などを取り込んでいる。
Role(ロール)とは役割のことで、USB Type-Cでは、ホスト/周辺という役割がある。USB Type-C以前は、この役割は固定で、PC側はホストと決まっていたが、USB Type-Cは、双方のネゴシェーションで、これを入れ替えることも可能になる。
ただし、役割を入れ替えるには双方がUSB-PDに対応している必要がある。これは、USB-PDがネゴシェーション機能を含むからだ。USB Type-Cでは、ホストも周辺もコネクタは1種類だけであるため、逆にいうと、ホスト同士が接続されてしまう可能性もある。
もちろん、これでPCが炎上するなんてことはない(USB-PDを実装していなくても、Type-Cでは相手の初期状態を取得できる)。双方のUSBコントローラーの実装にもよるが、USB Type-Cでは、ホスト同士の接続で、片方がイーサーネットデバイスをエミュレーションしてネットワーク接続を行うなんてことも可能である。
あるいは、USB-PDにより、相手から電力の供給を受けることも不可能ではない。どうなるかは、コントローラーやOSの実装次第なのだが、従来のUSBでは御法度だった、ホスト同士の接続であっても使い道があるというのがUSB Type-Cの「新しい」ところだ。
次回は、このあたりの話もう少し掘り下げることにする。
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