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STARTUP×知財戦略第22回

「スタートアップ×知財コミュニティイベント by IP BASE」詳細レポート

弁理士によるスタートアップ支援、そのメリットと課題

2019年07月16日 12時00分更新

文● 貝塚/ASCII.jp

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「下田先生は、ゴールを見せてくれた」
支援を受けたスタートアップ代表が話す

 下田氏は、「線維芽細胞」と呼ばれる細胞を用いて、新しい心不全の治療法を開発しているスタートアップ企業、株式会社メトセラの権利化業務にかかわっている。

 第二部では、弁理士の2人に加えて、メトセラの代表取締役 Co-Founder、Co-CEO 岩宮 貴紘氏と、代表取締役 Co-Founder、Co-CEO 野上 健一氏が登壇。弁理士、スタートアップ担当者双方の立場で、知財管理について話すセッションが披露された。

メトセラ 代表取締役 Co-Founder、Co-CEO 岩宮 貴紘氏メトセラ 代表取締役 Co-Founder、Co-CEO 野上 健一氏

 最初のテーマは「スタートアップ支援のきっかけ」。岩宮氏は、下田氏に支援を受けたときの話として、「下田先生は、知財戦略や知財の専門用語がわからない僕らに対して、優しく噛み砕いて教えてくれました」と話す。

 岩宮氏は大学院に在学中に現在のビジネスの中核となる技術を開発した。しかしながら大学はいい論文を書くやめのトレーニングは行なうが、いい特許を取るためのトレーニングは行わない。そのため、知財戦略や特許に関する専門用語がわからず、初めのうちはとても困ったのだと述べた。

 また、弁理士を探す中で、下田氏に依頼をするきっかけとして、「下田先生は、大きなフレームワークを提示してくれて、どういうゴールを叶える必要があるのかという目線を与えてくださいました。研究プランの相談にも乗ってくれて、具体的な研究戦略を構築できたのが、先生にお願いしてよかったと感じる点です」とも述べた。

 野上氏からは、「初回のミーティングで色々アドバイスをいただけたのが明細書の作成やクレーム立てはもちろんですが、今後の知財戦略の立案や契約面の手当など、当初からさまざまな観点でアドバイスをいただけたのが、下田先生にお願いした大きな理由です。知財部門を会社の中に作れれば理想ですが、恒常的にそこまでの作業量があるベンチャーは少ない。

 会社についての深い理解をもとに、知財戦略面を継続的に検討してもらえる方がうまく見つかるかで、事業の進み方も変わって戦略面で協力して動いてもらえる人がうまく見つかるかで、事業の進み方も変わってきます。資金面が潤沢とは言えないなかでも、一つの顧問契約の中で幅広くアドバイスいただけそうと感じました」とのコメントもあった。

特許業務法人 秀和特許事務所 弁理士 下田 俊明氏

 一方の下田氏は、「弁理士になって5年くらい経った頃、ひと通り仕事を回せるようになったんです。権利化業務のルーティンにも慣れ、『ほかに面白いことはないかな』と思っていた頃にメトセラさんにお話をいただいたのが、スタートアップ支援を始めたきっかけです」と、現在の活動を始めた経緯を話した。

 また、主に個人事業主や法人の代表を務める弁理士向けには「資金調達をする前のステージのスタートアップ企業は、代表者が貯金を切り崩したりしていて、お金はないですし、弁理士にとっては『ペイできるのか?』という考えもあると思います。でも、長いスパンでのペイを考えて動くこともできます」と報酬の設定方法もアドバイスし、「ミニマムな料金でスタートして『5年会社が回ったら、顧問にしてもらう約束をしておく』とか、スタートアップ向けの料金体系を新たに設置するのもいいかもしれません」とも加えた。

社外だけど、社内のような感覚
大企業との仕事にはない喜び

 続いてのテーマは「スタートアップ支援をして、よかったこと」というもの。

 中畑氏は「中(社内)にいるかのような外(社外)の感覚が味わえるのは大きいかな。ホバーバイクを作ってる会社の初めての浮上試験に立ち会ったことがあるんです。何度やっても失敗して、2時間以上かかってもうまくいかない。エンジントラブルまで起きて、どうしようか……ということがあったんです。でも『最後に一回だけやってみよう』というタイミングで、すごい音を立ててホバーバイクが浮いた。ああいう瞬間に立ち会える喜びは、これでしか感じられないと思います」と過去の思い出を振り返る。

 下田氏も、「一緒になって、会社が育つところを見てみたいっていう気持ちが満たされたり、飲み会に参加して『今年はこういうことやりたい』とか熱い気持ちを共有してもらえたり。そういう一体感や高揚感は、大企業との仕事にはない喜びですよね」とほぼ同意見。

 中畑氏の話す「中にいるかのような外」という感覚は、スタートアップ支援の醍醐味と言えるのだろう。まさに担当するスタートアップ企業に属しているかのような一体感が得られ、ビジネスを、高いモチベーションを持って進められるのは、大きなメリットになるのかもしれない。


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