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マツダ「MAZDA3」試乗レポート

MAZDA3は情熱を奥に秘め、人の力を引き出すクルマだ!

2019年06月26日 15時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII編集部

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 マツダの次世代商品群の最初のモデルとなるのが、5月24日から発売となった「MAZDA3」だ。従来の「アクセラ」から、グローバル市場と同様の「MAZDA3」への名称変更も、その区切りをアピールするのには効果的だろう。そんな「MAZDA3」のクローズドコースでの試乗会に参加する機会を得た。「MAZDA3」の走りは、どのようなものであったのだろうか?

“肩すかし”と思うほどの
あまりにも自然な走り

 「MAZDA3」は、マツダが満を持して投入する次世代モデルだ。個人的には、昨年のLAショーでのワールドプレミアも取材している。当然、普通のモデル以上の興味と期待を抱いていた。そして、ようやくハンドルを握れたのだ。

MAZDA3 FASTBACK XD L Package

 ところが、走ってみて最初に思ったのは「あれ、普通すぎるんじゃないの」ということ。驚くほどパワフルなわけでもないし、クイックに動くわけでもない。ごく普通に加速&減速し、曲がってゆく。「このクラスのクルマとしては、ロードノイズやエンジン音が静かだな」と思ったけれど、他は特筆すべきところは? と戸惑ったのだ。

 しかし、走っているうちにジワジワと「そういえば、加減速も曲がりも、狙ったとおりにピタリと決まるなあ。ゆっくりと走っても、ちょっとクイックに走っても、どちらも思うとおりに動いて気分がいい。この“自然さ”が特徴なのでは」との思いに至る。きついコーナーが続くハンドリング路を、ペースを上げれば、これも思い通りにコーナリングが決まる。当然、走っていて楽しい。情熱的に走ることもできるけれど、その熱は“ごく普通に走る”という自然さの奥に隠されてあった。“走る楽しさ”を前面に押し出すロードスターとは違っているが、「MAZDA3」の走りも、ある意味“人馬一体”と言っていいだろう。

1.8リッター直列4気筒ターボのディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」

 また、じっくりと乗っていると、前後のピッチングの動きが非常に少ないことに気づく。そのためか、きついコーナーでも後輪の接地感が十分にあって安心感がある。やや重めのステアリングの手ごたえは、全体として一定で、微小なところから、しっかりと舵が効く。また、路面のうねりや段差を超えるときのショックの入力は、角が丸められていて不快感が少ない。荒れた路面に入っても、ロードノイズの音量変化が少ない。こうした、細かな特性を積み重ねた先に、できあがった走りが、“驚くほどの自然さ”だと言えよう。

 ちなみに、試乗は最高出力85kW(116馬力)・最大トルク270Nmの1.8リッターのディーゼル・エンジンを搭載したファストバックと、最高出力115kW(156馬力)・最大トルク199Nmの2リッターのガソリン・エンジンを搭載するセダンの2モデルだ。

MAZDA3 SEDAN 20S L Package

 走りの印象はどちらもほとんど同じであったが、ハンドルを切ったときの最初の動きの軽快感は、60㎏ほど車重の軽いガソリン・エンジン車のセダンが勝っていた。逆に加速の力強さは、ディーゼルのファストバックがセダンを上回る。ただし、ガソリン・エンジンでも力不足は感じなかったし、逆に高回転域の伸びの良さがあるということで、個人的に2リッターのガソリン・エンジン車のセダンに好感が持てた。ディーゼルのガラガラとした音は、非常に低く抑えられていたことも報告しておきたい。

人の力を引き出すのが開発の狙い

 試乗の後に、マツダの開発陣の話を聞くことができた。そこで説明されたのは「人間中心の発想」で開発されたということ。人間には、誰もが優れたバランス保持能力が備わっている。大きな球体のバランスボールの上にも人間は上手に座ることができる。歩行するときも、足や腰は大きく上下左右に動いているが、最終的に頭は、ほとんど動かない。そうした人本来の能力を最大限に発揮できるようにクルマを作ったというのだ。

マツダ 商品本部 MAZDA3主査 別府耕太氏

 具体的には「シートとクルマのバネ上が一体で動く」「力の伝達を遅れないボディー」「クルマのバネ下からの入力を滑らかに」という方法を取った。しかも、個々のシステムよりも“クルマ全体のコーディネイト”を重視したという。これにより、人に伝わるクルマの動きは、連続的で予測しやすいものになる。その結果、人がバランスボールに上手に座っているかのように、「MAZDA3」に乗ることができるようになる。まるで、自分が歩いているかのような自然な運転感覚を狙ったというのだ。

 そうした狙いが、試乗での“自然に、ごく普通の走る”という印象になったのだろう。ちなみに、帰りがけに、旧型の「アクセラ」を走らせてみると、その進化が明確に理解できた。「アクセラ」も軽快に走るのだが、やはりどこかドライバーの意思とクルマの動きに乖離があったのだ。

2リッター直列4気筒のガソリンエンジン「SKYACTIV-G」

 「MAZDA3」の走りは、非常に質感の高いものであった。また、静粛性の高さも秀逸。エクステリア同様に、無駄なものを廃してスッキリしたインテリアはシックな印象だ。目立たないがオーディオの音もなかなか。高額! というプレミアム感ではなく、練りに練った逸品という雰囲気だ。外連味なく、理想を追求したクルマと言えよう。違いのわかる、こだわり派におすすめしたい、そんなクルマであった。

  MAZDA3 FASTBACK MAZDA3 SEDAN
グレード XD L Package 20S L Package
エンジン SKYACTIV-D(ディーゼル)
直列4気筒
SKYACTIV-G(ガソリン)
直列4気筒
排気量 1756cc 1997cc
最大出力 116PS/4000rpm 156PS/6000rpm
最大トルク 270N・m/1600-2600rpm 199N・m/4000rpm
トランスミッション 6EC-AT 6EC-AT
サイズ 全長4460×全幅1795×
全高1440mm
全長4660×全幅1795×
全高1445mm
車両重量 1410kg 1350kg
駆動形式 2WD(FF) 2WD(FF)
タイヤ(フロント/リア) 215/45 R18/215/45 R18 215/45 R18/215/45 R18
カラー ソウルレッド
クリスタルメタリック
ソウルレッド
クリスタルメタリック
車両価格 291万9000円(税込) 264万9000円(税込)

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筆者紹介:鈴木ケンイチ


 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。



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