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パートナーシップを強化、Dell EMCがハードとソフトをワンストップで販売/サービス/サポート

Dell EMCがBig SwitchのSDN製品をOEM提供、日本語サポートなど充実

2019年06月24日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 デルとEMCジャパン(Dell EMC)は2019年6月20日、SDN(Software-Defined Network)ファブリックベンダーであるBig Switch Networksとのパートナーシップ強化に関する記者説明会を開催した。今後はBig SwitchがDell EMCにネットワークOS/コントローラーなどのソフトウェアをOEM供給し、Dell EMCが一元的に販売からサポート、サービスまで提供できるようになる。

 説明会には両社代表が出席し、パートナーシップ強化により生まれる顧客メリット、今後の国内ビジネスに対するインパクトなどについて説明した。

Dell EMCとBig Switch Networksが戦略的なパートナーシップ強化を発表した

(左から)Dell Technologies APACJ ネットワーキング事業担当GMのシャンカー・スブラマニアン(Shankar Subramanian)氏、米Big Switch Networks VPのスシール・チトレ(Susheel Chitre)氏、デル ネットワーク事業部 事業部長の西澤均氏

「実績のあるSDN製品に品質の高いサポート、サービスを付加して提供」

 Dell EMCでは従来から、データセンターからエッジにまで及ぶネットワーク製品のビジネスにおいて「オープンネットワーキング戦略」を取ってきた。これは、Dell EMC製のネットワークスイッチ(ハードウェア)「PowerSwitch」シリーズにおいて、顧客の用途に応じて最適なネットワークOS(ソフトウェア)を選択可能にするというものだ。Dell EMC自身の「Dell Networking OS」だけでなく、Big Switch、Cumulus Networks、IP Infusion、Pluribus Networksといったパートナーのソフトウェアにも対応している。

Dell EMCの「PowerSwitch」シリーズは、導入用途に応じてネットワークOSを選択できる「オープンネットワーキング戦略」をとっている

 Big Switchとは2014年からパートナーシップを組んできた。ただしこれまでの顧客企業やSIベンダーは、ハードウェアはDell EMCから、ソフトウェアはBig Switchから購入し、サポートやサービスもそれぞれの窓口から受ける形となっていた。Big SwitchのVPであるスシール・チトレ氏は「Big SwitchはこれまでDell EMCの複数あるパートナーの1社だったが、今回のパートナーシップ強化によって、ネットワーク分野における唯一のOEMパートナーになった」と説明する。

 今回のパートナーシップ強化では、Dell EMCがBig SwitchからソフトウェアのOEM供給を受け、Dell EMCの製品として販売を開始し、サポートやサービスの窓口についてもDell EMCに一元化される。これにより、調達業務の簡素化が図られるほか、日本市場では特に日本語によるサポート、サービスが受けられるメリットがあると、デル ネットワーク事業部 事業部長の西澤均氏は説明する。サポートについてはレベル1、2からすべてDell EMCが担当する。

 「Big SwitchとDell EMCの組み合わせによるSDNソリューションはすでに海外、日本で実績のあるものだが、日本市場ではサポートやサービスに対する要求品質も高い。窓口を一元化することで、サポートやサービスのレベルをさらに高められると考えている」(西澤氏)

 またDell EMCでは、川崎事業所内に「Open Networking Center of Excellence(Open Networking CoE)」もオープンした。ここではBig SwitchやCumulusを組み込んだネットワーク製品の検証テストのほか、パートナーや顧客企業に対するトレーニング、デモ、ハンズオンセミナーなどを開催していくとしている。

Dell EMCではオープンネットワーキング製品の検証やデモ、トレーニングを行う「Open Networking CoE」を開設

「Global 2000のうち200社超で導入」Dell EMC+Big Switchの枠組みをより強固に

 Big Switchのチトレ氏は、同社のSDNファブリックソリューションについて概要を紹介した。同社では、グーグルやアマゾンといったハイパースケーラーがデータセンターネットワークの構築に使うSDNテクノロジーを、一般企業でも導入できる形にすることを目標としてきた。

 Big Switchの主要製品は、SDN技術でネットワークファブリックを構成する「Big Cloud Fabric(BCF)」、ソフトウェアベースでトラフィックのモニタリングを可能にする「Big Monitoring Fabric(BMF)」の2つだ。それぞれオンプレミス環境向け、パブリッククラウド向けの製品を提供しており、最近になってこれらの環境をオーケストレーション/統合監視できる「Multi-Cloud Director」もリリースしている。

 またBCFはVMwareやOpenStackなどのオーケストレーターとも連携するほか、AWSやAzure、GCPといったパブリッククラウドのネットワーキング機能を統合管理可能にする。

Big Switch Networksでは、SDNファブリックの「Big Cloud Fabric」とモニタリングの「Big Monitoring Fabric」を提供する。それぞれオンプレミス/パブリッククラウドに対応

 前述したとおりDell EMCとBig Switchは2014年からパートナー関係にあるが、チトレ氏によると、両社の共同提案を通じてこれまで「Global 2000」エンタープライズのうち200社超が顧客になったという。「POCまでこぎ着けた案件は、BCFが72%、BMFが85%で成約している」(チトレ氏)。

 BCFによるネットワークファブリックは、小規模から柔軟かつ段階的にスケールアウトしていくことができる強みを持つ。ハードウェアで構成するよりも初期投資を抑えられるため、大規模データセンターを持つエンタープライズだけでなく、より規模の小さい企業でも導入が可能だ。今回のDell EMCによる販売、日本語サポートの開始によって導入のハードルが下がり、顧客層の広がりが期待できる。

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