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「03」が使える音声通話サービス「UniTalk」をマイクロソフトとソフトバンクが提供

2019年06月17日 21時00分更新

文● 小山安博 編集●ASCII

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日本初の音声通話サービス「UniTalk」

 マイクロソフトとソフトバンクは17日、「Microsoft Teams」向け音声通話サービス「UniTalk」の提供を8月1日から開始すると発表した。Office 365向けコラボレーションツールのMicrosoft Teamsのユーザーが、スマートフォンなどで固定電話番号(0AB-J番号)を使った発着信ができるようになる。同様のサービスの提供は、日本で初めてだという。

協業を発表した日本マイクロソフトの平野拓也社長(左)とソフトバンクの今井康之副社長

 Microsoft TeamsはOffice 365でチームでの仕事をサポートするアプリケーション。チャットでの会話、資料の共有・同時編集、ビデオ会議、企業向け電話機能、各種アプリケーションとの連携が可能だ。海外ではすでにMicrosoft Teams向け音声通話サービスが提供されているが、今回、国内においてソフトバンクがUniTalkとしてサービスを提供することになった。

月額800円で国内音声通話が定額のUniTalk

スマホやタブレット、PCで固定電話番号が使える

 UniTalkは、ユーザーに割り当てられる固定番号を使って発着信が行なわれる。0AB-J番号は、いわゆる固定電話向けの電話番号で、東京であれば「03」の市外局番で始まる番号が当てはまる。

UniTalkの特徴

 この番号が各ユーザーに割り当てられるため、スマートフォンやタブレット、PCを使って固定電話番号を使った発着信が可能になる。インターネット網にも繋がるIP電話ではあるが、「マイクロソフトのクラウドとソフトバンクの携帯網で密接な接続を行なった」としており、総務省が「高い品質基準」を求める「Aクラス」の品質を実現したという。

 今回のUniTalkについては総務省にも1年以上にわたって説明し、省令改正も経ての提供になっている、とソフトバンク常務執行役員の佐藤貞弘氏。高品質の音声通話を定額で提供できる点をアピールする。

 さらにMicrosoft Teamsが動作する環境であれば、Windows、Mac、スマートフォン、タブレットを問わず音声通話ができ、どの環境でも0AB-J番号での発着信が可能。従業員がたとえBYODで個人のスマートフォンを使っていても、会社の固定電話番号を使って通話できるので通話料をまとめることもできる。従業員にとっても、名刺に記載した固定電話の番号で発着信できる点がメリットだ。

 マイクロソフトはクラウド側に「企業が最低限必要なPBXの機能」(佐藤氏)を実装したとしており、転送や保留、ダイヤルインなどが利用できる。導入する場合、従来のPBXのように機材、回線、運用保守などは不要になり、企業のコストを削減できるのもメリット。佐藤氏は、減価償却期間やリース期間が残るPBXがあった場合でも、接続して利用できるように国内PBXメーカーと相互接続の検証をしていく考えを示している。

UniTalkのメリット

グローバルでマイクロソフトと協業しているのは
ソフトバンクが2社目

 企業の音声通話はキャリアの収益源でもあり、ソフトバンクも今回のサービス提供で法人向けの音声ARPUの減少を想定しているが、もともとソフトバンクは企業向け音声通話が大きな割合を占めてはいないため、Office 365の販売やパケット通信利用の拡大など、他の収益増でカバーできると判断。今後の成長を見越して導入した。

今後、国際通話、ナンバーポータビリティの機能も提供

 マイクソフトはグローバルでMicrosoft Teamsを提供し、Fortune 100のうち91社が採用し、全世界で50万人以上のユーザーを抱えるチームコラボレーションのハブとなるツールだとアピール。Skype for Businessからパートナーになっているソフトバンクとは、本社同士で密接に協業して開発したとのことで、Microsoft Teamsの中でシームレスに音声通話を利用できる音声サービスは、日本ではソフトバンクだけの提供になるという。

 グローバルでも同様に協業しているのはオーストラリアのキャリアであるTelstraだけで、世界でも2例目。密接な協業が必要なために次の事例の計画もないとのことで、先進的な取り組みであることがアピールされた。

 マイクロソフトの平野拓也代表取締役社長は、日本のイノベーションを阻害する要因として企業内のコミニュケーションの課題、変化への対応、継続的な改善の3つを挙げる。その対策として、コミニュケーションの質を上げ、組織や働き方の変化に対応できるビジネス基盤を構築し、AIによって企業の活動内容を分析することを実現するのがMicrosoft Teamsだと紹介。

企業が抱える課題のうち、3つを解決できるソリューションとしてMicrosoft Teamsを提供

 チャットやビデオ通話によるコミニュケーション、ファイルの共有、Officeファイルをはじめとしたブラウザ内での閲覧・編集など、各種機能を統合したMicrosoft Teamsは、「マイクロソフトのビジネスアプリケーションでは最高、最速のスピードでユーザー数を増やしている」(平野社長)という。

Microsoft Teamsの画面

スマートフォンでも同じ機能を利用できる

Microsoft Teamsの機能の一つ、ビデオ通話。AIが人物を認識して、それ以外の背景をぼかす機能を搭載

ビデオ通話では音声をテキスト化する機能も備えるため、多言語での対話などで効果を発揮する

PowerPointやExcelをそのままMicrosoft Teams内で表示、編集できる

 これに高音質の0AB-J番号による音声通話が可能になることで、さらに魅力を高めて、販売に繋げる。さらに音声通話に加え、マイクロソフトのAIを使うことで音声をテキスト化する機能を提供。たとえばコールセンターでの会話内容をテキスト化し、AIによる分析を加えることで記録やその後の対応といった後処理を効率化する。

Microsoft TeamsからUniTalkでの発信の様子。PCからの発信だが、着信側には03番号が表示されている

そのまま折り返した場合、Microsoft Teams内で受信することができる

 すでにMicrosoft Teamsを使う企業11社にUniTalkを事前提供したところ、ニトリホールディングスからは音声もクリアでMicrosoft Teamsとの連携も優れていてコラボレーションツールとして最高という評価を得た、としている。こうした評価に自信を深めた両社は、UniTalkで早期に100万契約を獲得したい考えを示しており、それも「かなり早く達成できると考えている」(ソフトバンク代表取締役副社長執行役員兼COOの今井康之氏)そうだ。

今後の機能追加。コールセンターのような業種での音声とAIの組み合わせによるサービスや音声API基盤の提供、5Gと連携したサービスなどを検討しているという

Microsoft Teamsを導入している企業の一部。ちなみにソフトバンクは導入していないが、今後本社移転にともなって導入するかどうかを検討している

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