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なぜソニー損保のCMに現代人は惹きつけられるのか

2019年06月07日 06時00分更新

文● 岩波貴士(ダイヤモンド・オンライン

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ソニー損保のお客様の心をつかむ「たった1つの言葉の発見」とは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

今の時代は働き方改革が提唱される一方、「今後AIに仕事が奪われる時代」ともいわれています。このように、ビジネスの在り方が変化していくであろう令和の新時代では、みずから進んで何かを仕掛けていこうとする姿勢のある人が活躍できる時代になるでしょう。そこで今回は、『1秒でつかむ儲けのツボ』(青春出版社)から、現在注目を集めている“儲けのアイデア”を一部紹介します。

現代人を惹きつける、ソニー損保CM内の“ひと言”とは

 お客様の心をつかむ「たった1つの言葉の発見」が、企業の業績アップに大きく貢献した例として、ソニー損保がテレビCMで採用したフレーズが参考になりますのでご紹介いたします。

 CMでは、事故現場で困っているお客様から、保険会社のオペレーターが電話を受け取ったというシチュエーションで、オペレーターが放った「お客様を安心させる言葉」が、顧客獲得に大貢献したのです。そのオペレーターが放ったお客様を安心させる言葉とは…「私が相手の方と、直接お話しましょうか」というフレーズ。この「事故現場で相手と代わりに話をしてくれるありがたさ」を伝えるフレーズが、CMを見ているドライバーの心をつかむ「キラーフレーズ」になることを、ソニー損保は気づいたのです。

 つまり、このCMは事故現場の臨場感とその場における大きな安心を見事なまでに伝える構成だったのです。特に現代人の多くは、コミュニケーション下手を過剰なまでに自覚しています。そこに、事故現場での相手とのやりとりという、なおさらの難題が重なった場面を考えさせられれば、このCMが提案している「代わりに話をしてくれるサービス」には心が惹きつけられるのです。

 同様の心理を応用したビジネスの例としては「家賃の値下げ交渉代行サービス」や「不動産の耐震強度査定のセカンドオピニオンサービス」などがあります。不動産の耐震強度査定のセカンドオピニオンサービスとは、他の業者が「補強の必要あり」とした不動産に、あたかも病院で医師の診断に不安を持つ患者さんが、別の病院で再度検査をしてもらう「セカンドオピニオン」の考えのように、もう一度査定をしてもらうサービスです。2度目の査定の結果「補強の必要なし」となった場合、依頼者としては高額な補強工事をしなくてすみ、無理やり補強をさせる詐欺まがいの業者の被害にあうこともありません。

 これらのような、消費者が「言いにくいことを代わりに」式のサービスは、コミュニケーション下手を自覚する現代人の心をつかむサービスの例といえるでしょう。

いま“代行ビジネス”に注文が殺到している理由

 現在、世の中にはさまざまな「代行ビジネス」が存在しています。たとえば、「焼き肉の網のレンタル」ビジネス。焼き肉店の業務の中で、時間のかかる大変な作業が「網洗い」です。網の細い隙間にこびりついた汚れを、閉店後タワシで掃除する作業が嫌で、退職する従業員も多いのです。今日では多くの焼き肉店が網のレンタル業者を利用し、従業員の離職率を下げられるよう工夫しています。

 このように、人手不足の今日、各業種における「面倒な業務」や「時間のかかる作業」をスムーズに代行するビジネスを考え出せば、離職を防ぐ意味合いもあり、ヒットしやすいビジネスになります。

 他にも、経理の煩わしさを解消するための「経理代行」はすでにメジャーな代行業務となりましたが、登場した当時は「経理をアウトソーシングする発想」は画期的と絶賛されていました。

 さらに、従業員にとって「非日常の業務」や「本来的には業務外」の仕事に特化する代行の中にも、喜ばれるビジネスのヒントが隠されています。代表的な例としては「飲み会の予約代行」や、大企業で重宝されている「運動会代行」などがそれです。大企業の中には、毎年、従業員の家族を参加させた運動会を開催するところもあるのですが、そのような「非日常業務」の煩わしさに注目し、ビジネスにしたという例です。

 今回紹介した取り組みのように、従来から少し視点をずらした場所に“儲けのアイデア”は隠れているかもしれません。これからの時代、新しい取り組みを始めたいと考えている人は、変化していく社会の需要に合った“儲け方”を探してみてはいかがでしょうか。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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