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いびきで高血圧、糖尿病、認知症リスクまで!病院に行くべきこれだけの理由

2019年06月06日 06時00分更新

文● ジョージ山田(ダイヤモンド・オンライン

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睡眠時無呼吸症候群のみならず、いびきが引き起こす病気は少なくありません
いびきが原因で家庭内別居...そんな話もよく聞くが、さらに恐ろしいことに、高血圧や糖尿病、うつ病など、思いもかけない病を引き起こすこともある Photo:PIXTA

就寝時のいびき音で悩む男性は多いが、自身だけでなく、家族やパートナーのいびきに迷惑している人も、なんとなく諦めているパターンがほとんどだろう。しかし、いびきはほうっておくことで大きな病気に発展する可能性を秘めているという。いびきに潜む「怖い病気」について、いびき治療を得意とする銀座コレージュ耳鼻咽喉科の都筑俊寛先生に話を聞いた。(清談社 ジョージ山田)

スター・ウォーズのレイア姫の死因にも
発生のメカニズムは口蓋垂の振動

 2016年12月、映画『スター・ウォーズ』シリーズでヒロインのレイア姫を演じたキャリー・フィッシャーさんが60歳で亡くなった。飛行機の中で心臓発作を起こし、病院で息を引き取ったという。フィッシャーさんの死因については諸説あるが、ロサンゼルス郡検視局の正式発表は「睡眠時無呼吸症候群が死因のひとつ」というものだった。

「睡眠時無呼吸症候群」とは就寝時にいびきをかく人が発症する病で、いびきとともに呼吸が何度も止まる症状のこと。このように、いびきは放っておくと深刻な事態に陥る可能性があるのだ。

 そもそも就寝時にいびきをかく人と、かかない人の違いはどこにあるのだろうか。

「いびき音は、のどちんことも呼ばれる口蓋垂と、その周囲が振動することで発生します。口蓋垂の大きさには個人差があり、一般的に口蓋垂が長い人はいびきをかきやすいことがわかっています。肥満気味の人は気道が狭いために口蓋垂が振動しやすく、いびきをかきやすくなりますが、口蓋垂の形は体質なのでやせ形の女性でもいびきをかくことは往々にしてあります」

 そう説明するのは、銀座コレージュ耳鼻咽喉科の都筑先生だ。

 ホースで想像してもらえればわかりやすいが、細いホースを通過する水は勢いが増すのと同様に、狭い気道を通過する呼吸のスピードは自然と上がり、ゆえに口蓋垂が振動しやすくなり、いびきが発生するのだという。また同様のメカニズムで適正な高さの枕を使っていないこともいびきの原因になる。

いびきが高血圧やうつ病に
つながるメカニズムは?

 酒を飲むと、いつにもまして大きないびきをかいてしまう…という人も多いだろう。これは飲酒による筋肉の弛緩で、舌が自然と下がり気道を狭くするというメカニズムに起因している。いずれにせよ口蓋垂が振動しやすい状況が作られてしまうと、いびきは発生するわけだ。

 いびき自体は身体の不調ではなく、あくまで生活習慣や体質の個人差。しかし、だからといって、安心していびきを放置することは「寿命を縮める」と都筑先生は警鐘を鳴らす。

「あれだけ大きな音を常に出すわけですから、いびきは体力を使う行為なんです。睡眠中にいびきをかくとそれだけ身体にストレスがかかり、血圧が上がってしまいます。さらに、そのストレスを和らげるために分泌されるステロイドホルモンは、出過ぎると血糖値を上昇させる作用を持つ。つまり、いびきをかき続けていると、糖尿病を引き起こす可能性があるのです」

 いびきをかく人は、かかない人に比べて就寝中に無駄な体力を使っており、結果的に高血圧や糖尿病を招く要因の1つとなるのだ。前述の「睡眠時無呼吸症候群」にいたっては、酸素の供給が一時的に止まることで脳が酸素不足になるというダメージが蓄積され、認知症のリスクを高めるといわれている。さらに就寝中にかかったストレスは、日中の精神状態にも大きく影響するという。

「寝ても寝ても眠気がとれない、目覚めが悪い…そんな症状を抱える人は、もしかしたらいびきが関係しているかもしれません。いびきをかくことで就寝中も体はしっかり休めず、それが翌日の眠気や集中力の低下につながります。身体がだるいから気分も落ち込む。いびきを放っておくと、うつ病や不安障害などの合併率も高いことが調査でわかっています」

保険診療にもなっている
レーザー手術とは

 最近の言葉で言えば、いびきは「睡眠負債」につながってしまうわけだ。いくら睡眠時間を確保していたとしても、いびきによる睡眠の質の低下は、日常に大きな支障を生む可能性がある。さらに、いびきで体力を使ったことは、起床時や夜中に起きたときの空腹感となって返ってくる。さらに空腹感が肥満を生み、いびきを悪化させるという悪循環にはまってしまう人も少なくないと都筑先生は言う。

 重篤な病気だけでなく日々のメンタルにも大きな影響を与えるいびき。改善するためにはどのような方法があるのか。まず改善すべきは枕の高さである。

「高いサイズの枕を使用していると、首が曲がるので気道が狭くなる。いびき防止のためには寝やすい枕ではなく、横向きで寝たときに背骨がまっすぐになるぐらいの、大体10センチ程度の高さの枕で眠ることが理想です」

 市販のいびき対策グッズは数多く存在するが、効果には個人差がある。そこで都築先生が薦めるのは、レーザー手術によるいびき治療。口蓋垂周辺を切り広げるレーザー手術は、最も迅速かつ効果的な方法だという。

「レーザーで音源である口蓋垂の周辺部分を切って広げることで振動しにくくなり、いびきがなくなる、または軽減されます。手術といっても日帰りで、かかる時間は10分程度。痛みや出血も少なく、保険診療で行えます」

 いびき音のもとを根本的に切除することで、劇的な改善が望めるというわけだ。手術後の痛みは個人差があるが、大体2週間程度で収まり日常生活に支障は出ないという。それに加えて生活習慣を見直すことも大切だ。

「やっぱり一番いびきをかきやすい人は太っている人。たとえば禁酒が難しくても炭水化物をカットすれば体重は落ちますし、ダイエット指導も当院では行っています。あらゆる病に発展する前に、諦めずに治療することをお勧めします」

 身体の心配や周囲への迷惑を考えて都筑先生のもとを訪れる患者のなかには、いびきが原因で家庭内別居状態だと嘆く人もいるという。たかがいびき…そう甘くみていると痛い目に遭うかもしれない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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