このページの本文へ

「新入社員が仕事しない」と嘆く前に上司がやるべきことは何か

2019年05月28日 06時00分更新

文● 大平信孝(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
新入社員が「指示待ちで自ら仕事をしない」と嘆く前に… 
新入社員が「指示待ちで自ら仕事をしない」と嘆く前に…(写真はイメージです) Photo:PIXTA

5~6月になると、4月に入った新入社員について、「仕事の覚えが悪い」「指示されるまで動こうとしない」など、いろいろと不満が出る頃だ。嘆く前に、職場の上司は新人を早く成長させるために努力すべきである。そのシンプルな方法を伝授しよう。(株式会社アンカリング・イノベーション代表 大平信孝)

新入社員を
育てるシンプルな方法

 この4月から、新入社員が入ってきたという職場も多いでしょう。入社からもうすぐ2ヵ月が経ちます。この時期、新入社員の教育に悩み、新人育成がストレスになっている上司や先輩の立場にある方から相談を受けることがあります。

・電話はとらないし、挨拶もできない
・指示待ちで一向に動かない
・何を考えているのかわからない
・パソコンが使えない
・できない仕事を一人で抱え込んで大騒ぎする
・ミスが多すぎて、フォローするのが大変
・反応が薄い
・教えても、何度も同じことを聞いてきてうんざりする
・自分で調べればわかることでも、いちいち聞いてくる
・文句や言い訳が多いわりに、打たれ弱い

 もしかしたら、あなたも同じように新人育成に悩み、「いったいどうしたらいいのか」「何から変えていけばいいのか」と途方にくれているかもしれません。

 この記事を読まれているということは、真剣に部下のことを考えているリーダー、自分のこと以上に部下のことを考えているリーダーだからこそだと思います。

 今回は上司と部下のミスマッチを解消し、部下を戦力に育てるための誰でも実践できるシンプルな方法をお伝えします。

動かないのではなく
「動けない」だけ

『新入社員は「動かない」のではなく、動きなくても「動けない」だけ』と指摘する大平信孝氏
大平信孝氏は『新入社員は「動かない」のではなく、動きたくても「動けない」だけ』と指摘する

 実は、新入社員は「動かない」のではなく、動きたくても「動けない」だけなのです。自転車に乗れない段階で「自転車に乗れ」と指示してもできないのと同じです。新入社員は内心でこう思っています。

・自分で仕事を進めても、勝手に進めるなと怒られるから指示を待っている
・指示だけ出してやり方を教えてくれないからできない
・指導を放棄している上司が悪い
・いつも忙しそうでイライラしているから話しかけづらい
・なにを期待されているのかわからない
・自分の思っていた仕事と違いすぎてやる気になれない
・「わからないこと」がわからないから、質問できない
・年の離れた先輩や上司にどう接したらいいかわからない
・気をつけているつもりだけれど、何度も同じ失敗をしてへこんでいる
・覚えることが多すぎてツライ

 そもそも、なぜ新入社員はなかなか戦力に育たないのでしょうか。指示待ち部下が生まれる根本原因は、たった2つしかありません。

(1)技術や経験不足のせいで自ら動けない→スキルの問題

(2)自身の業務を「やらされ仕事」だと感じていて、イヤイヤ仕事をしている→モチベーションの問題

 自ら考え動く部下を育成し、成果を出していくためには、この2つの原因を潰せばいいのです。

 もしかしたら、「自分にも余裕などないのに、とてもじゃないが新人のモチベーションを上げることなんてできない」「新入社員のスキルアップの手ほどきをする時間なんてない」と思った方もいることでしょう。

 まず、なぜ新入社員が「モチベーション不足」と「スキル不足」に陥ってしまうのかを簡単に説明しておきましょう。

新入社員との
関わり方を見直す

“上司”といっても、日本企業の場合、プレイングマネジャーであることがほとんどです。上司は自分の仕事を抱えつつ、新入社員をはじめとする部下の育成もしなければならないのが現実です。

 産業能率大学が2017年に実施した「第4回上場企業の課長に関する実態調査」アンケートによれば99.2%の管理職がプレイングマネジャーなのです。

 仕事が忙しくなり、上司に余裕がなくなると職場は殺気立ち、上司と部下との間のコミュニケーションの量が激減します。

・朝のあいさつ以外会話がない
・連絡事項はメールやチャットですませる
・部下が相談したくても、上司が忙しそうで相談できない

 こんな状態になってしまうのです。そのせいで、上司と部下の間に溝ができ、シンプルな業務連絡ですら伝わりにくくなっていきます。しかも、上司側に余裕がなくイライラしていることが多いため、部下が勝手に仕事を進めてミスをすると、不機嫌になったり、叱責したりします。すると、新入社員は萎縮し、自分で考えて仕事を進める気がなくなってしまう。つまり、新入社員のモチベーションが下がってしまうのです。

 さらに、新入社員とのコミュニケーションの量が減ると、上司は新入社員のできること、できないことを把握できなくなります。そのせいで、適切な指導ができなくなり新入社員のスキルが一向に上がらないのです。

 部下のできないことまで指示してやらせようとするわけですから、指示通りに動けないのは当たり前です。指示通り動かない部下は、動かないのではなく、動けないのです。それに気づかない上司は「なんでこいつは仕事ができないんだ」とイライラし、新入社員にきつくあたります。すると、新入社員のモチベーションはますます下がり……という負のスパイラルに陥ってしまうのです。

 指示待ち部下や、指示通りに動けない部下はこうやって生まれるのです。

 まだ泳げない新入社員に、「プールに入れば自然と体が浮くから、まずは飛び込め」という指示だけ出しても泳げるようにならないのは、新入社員のモチベーションや能力の問題ではありません。ましてや、上司であるあなたのマネジメント能力の問題でもないのです。

新入社員のスキル不足を解消する
「成長の5ステップ」

 私の経験からいうと、指示だけで動ける新入社員はそれほど多くはありません。

 そもそも、「指示だけ」でできるシンプルな「作業」のみであれば、上司も新入社員も苦労しません。でも実際は、そんな仕事は少ないのです。ですから、上司のほうが、新入社員との関わり方を見直し、新入社員を「指示待ち」状態から救っていく必要があるのです。

 新入社員との関わり方。これを変えるだけで、部下は自ら考え動くようになります。といっても、部下を自ら考え動く人材に育てるのは、それほど大変なことではないのです。順を追って練習すれば、誰でも自転車に乗れてしまうように、新入社員育成もポイントを押さえれば、誰にでもできます。

 そうすることで、部下は驚くほど変わり、自ら動き出します。部下指導の一連の流れを定型化し、順番通りにステップを踏むだけで部下のスキル不足を解消する仕組みが、これから解説する「成長の5ステップ」です。

「成長の5ステップ」とは、仕事を「作業」と「スキル」に分類し、さらに新入社員1人1人について「できていること・できていないこと」を判別。そして、各人に必要な訓練をしたうえで、人に教えることができるくらい習熟させていく仕組みのことです。

 ただ、これらを機械的に行えばいいというわけではありません。部下育成には順序があります。その順序を間違えると、新入社員は伸び悩むことになるのです。

 では、5つのステップを見てみましょう。

『指示待ち部下が自ら考え動き出す! 』かんき出版(刊)、大平信孝(著)、192ページ『指示待ち部下が自ら考え動き出す! 』かんき出版(刊)、大平信孝(著)、192ページ

【成長の5ステップ】

◎ステップ1:できていることを完璧にできるようにする

◎ステップ2:できていない「作業」をできるようにする

◎ステップ3:できていない「スキル」をできるように訓練する

◎ステップ4:「作業」を教えられるようにする

◎ステップ5:「スキル」を教えられるようにする

 特に「ステップ1」の「新入社員が今できている部分」をしっかり承認することは、新入社員の居場所作りにもつながりますし、モチベーションアップにもつながります。

 もし今、新入社員に対して、なかなか仕事ができるようにならない、仕事覚えが悪い、何度も同じようなことを質問してくる、一刻もはやく戦力になってほしいという悩みがあるのであれば、まずは、モチベーション不足なのかスキル不足なのかを見極めることからはじめてみてください。

◎大平信孝(おおひら・のぶたか)
株式会社アンカリング・イノベーション代表。目標実現の専門家。中央大学卒業。長野県出身。脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。オリンピック出場選手、経営者、トップモデル、ベストセラー作家など1万人以上の目標実現・行動革新サポートを実施。多くのリーダーに、研修、講演、個人サポートを提供している。8冊の著作は累計18万部を超え、中国、台湾、韓国など海外でも翻訳されている。著書に、『「やめられる人」と「やめられない人」の習慣』、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』などがある。自社ホームページはhttp://a-i.asia/

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ