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業界人の《ことば》から 第344回

日本で正しく著作権が理解される最後のチャンス

2019年05月28日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII

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新時代に対応した知財教育を

 同大学の国際総合科学部は、卒業の要件としてTOEIC730点以上と、1年間の海外大学留学を定めているが、「ここでの取り組みは、国際的に活躍する知財人材や標準化人材の育成モデルと考えており、契約交渉から契約書作成の演習、コーヒーのドリップパックを題材にした特許請求の範囲を考える演習、著作権知識をもとにコンテンツ産業のビジネスモデルを提案する授業など、新時代に対応した知財教育を進めている」という。

 そして、「山口大学は、知的財産権の科目を必修科目としており、授業ノウハウや教材など、著作権教育に関する豊富な知見を保有するとともに、小学校から大学、社会人の知財教育まで、実務部門の実践例を、迅速に教材化することに特色がある。今回の協定により、各組織の強みを生かした著作権に関する普及啓蒙活動が促進されることを期待している」と述べる。 

教育制度の整備も進む

 今回、三者が協定を結んだ背景には、ここ数年の著作権を取り巻く大きな環境変化が見逃せない。

 2017年1月に設立された知財創造教育推進コンソーシアムでは、知的創造教育を推進するための取り組みを開始。

 一方で、2017年3月に公示された初等中等教育の新学習指導要領と、2018年3月公示の高等学校の新学習指導要領においては、すべての学校段階において、「情報活用能力が、学習の基盤となる資質・能力」と位置づけ、情報活用に関する教育を促進。ICT機器の整備が進められている。

 教育現場における著作物の適切な利用や運用に向けて、2018年の改正著作権法において、教育の情報化に対応した権利制限規定も整備。さらに、新たに無許諾で利用が可能となる公衆送信については、補償金制度が設けられているといった整備も行なわれた。

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