このページの本文へ

50歳で「成功する人」と「やがて使えなくなる人」の違い

2019年05月22日 06時00分更新

文● 本田直之(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
写真はイメージです Photo:PIXTA

“人生100年時代”という言葉が定着しつつある現代日本において、折り返し地点となる50歳は、まさに人生のターニングポイント。そこからの人生を充実させるには、今まで培ってきたスキルや知識をリセットし、変化を受け入れる必要があります。そこで今回は、常に一歩先を行くライフスタイルを実践してきた本田直之氏の最新刊『50歳からのゼロ・リセット』(青春出版社)から、50歳前後のビジネスパーソンに必要な“人生との向き合い方”について紹介します。

“成功する人”と“やがて使えない人”になる違いとは?

 50歳という人生の折り返し地点に立ったときに大切なのは、「試しにやってみよう」という気持ちです。年齢に関係なく、この気持ちを持ち続けないと結果的に損をすることになります。今あるやり方よりも効率的で、生活をより良く変えてくれるツールやテクノロジーが出てきたのなら、その波に乗っていくこと。そのためには、変化に対してアンテナを立て、その兆しに気づいたのなら、今のうちから試して、慣れておくことです。

 とはいえ、人間は本能的に安定を好む生き物です。会社を経営していて感じることですが、従来のやり方を変えようとすると、「ずっとやっているやり方だから続けましょう」「変えるまでの手間、定着させるまでの期間はどうするんですか?」など絶対に社員から反発があります。100人いたら100人が反対するわけではなく、一部の人が強く抵抗してきます。こちらが「ここでシステムを変え、仕事のやり方を変えたら、明らかに作業効率が良くなる。将来のために変わろう」と説明しても、なかなか受け止めてくれません。彼らの中には、新しい考えを受け入れる恐怖があり、変化への単純な拒否反応があります。だから、経営者の説得に対して反発し、最終的に「とにかく嫌だ」という何の理由もない、感情的な拒否反応を見せてしまうのです。

 これは人間の本能の1つですから、その気持ちは私にもわかります。しかし、今のような変化の激しい時代には、変われない人、変えられない人、変わることを恐れる人ほど、危うい安定の中で生きることになります。もし、あなたの中に「変化したくない自分」がいるなら、まずはその事実を認めましょう。そして、変わらないことによる危険がどのようなものかを察知するアンテナを張ることです。

 変化に柔軟に対応できる人に年齢の差はありません。若い人でも変えられない人はいます。年齢を重ねるほどに柔軟さを発揮する人もいます。わたしはこれまでたくさんのビジネスパーソンと出会ってきましたが、変わることに慣れている人ほど成功しています。

 あなたは、50歳以降をどうのように生きていくのか。今までのやり方をずっとキープしていて、対応していけると思いますか?この先の人生をより充実したものにしたいと思うなら、まずは「変化したくない自分」から訣別する勇気を持ってください。

すでにAIに取って代わられている“意外な仕事”とは?

 なぜ50歳以降で変化に対応できる人の方がうまくいくのかというと、時代は流れ、テクノロジーは前にしか進まないからです。この先、あなたを取り巻く仕事のやり方は劇的に変わっていきます。例えば、日本経済新聞社はすでに2017年から、人工知能(AI)を使った記事作成を開始。上場企業が発表する決算データをもとに、売上や利益などの数字とその背景をまとめた速報記事のほとんどをAIが作成しています。しかも、人によるチェック、修正なしで配信までが完全に自動化されているのです。他にも朝日新聞社が高校野球の地方予選の記事作成にAIを導入するなど、あなたが普段目にしている記事の一部分はすでに新聞記者ではなく、AI記者によって書かれたものになっているかもしれません。

 実際、英語圏ではよりマスメディアでのAI導入が進んでいます。ウォールストリート・ジャーナル、ロイター通信など大手各社は「1日に配信するコンテンツの25%にAIを使った自動化技術を取り入れている」と公表しました。ロイター通信の場合、AIによる1本の記事の作成時間は10~30秒。複数のデータを照合するため、通常の短信記事よりも時間がかかるとされていますが、ある程度の経験を積んだ新聞記者が同じ記事を作成する場合、過去データの確認に数十分を要します。

 現時点では、株価や決算情報を中心とした経済ニュースやスポーツの結果を伝える速報記事での活用が中心ですが、決して人の手を離れることはないと思われていた新聞記者の仕事さえもAIに置き換わってきているのです。

 また、2013年に発表されたオックスフォード大学のフレイ&オズボーンの研究レポートは、「9割の仕事が将来、機械により代替される」とし、2015年の野村総合研究所によるレポートは「今後15年程度で現状の労働人口にすると49%分の仕事がなくなる」と発表。15年という具体的な期日が示されたことで、日本でも「AIに仕事が奪われる論」が盛んに報じられるようになりました。

 株価の変動や決算速報、スポーツニュースの記事作成が自動化されているように、長距離の運送、事務処理、翻訳といった定型的な作業から確実に人の手から離れていくでしょう。その後、さらに多くの仕事がAIに取って代わられる可能性があります。この先、5年、10年、15年と働き続けるのであれば、そんな仕事にまつわる環境の変化に対処していく必要があります。

今取り組んでいることを「作業」と捉えるか、「仕事」と捉えるか

 ではこの先、AIに代替されない仕事とはどんなものでしょうか。そのキーワードの1つがオリジナリティだと考えています。人間にしか作り出せないオリジナリティを、いかに身に付けていくか。重要なのは、これまでの経験に胡座をかかず、この先の仕事の変化を見据えて、ゼロベースで自分のやり方を見直すことです。

 つまり、これから仕事と向き合うときに欠かせない基本姿勢は、発想を変え、自分を変えていくこと。身近なところで言えば、「満員電車での通勤から解放されたい」という思いがあるなら「少し早く起きて混む前にオフィスへ行く」「オフィスで働くというスタイルを変えてしまう」といった選択肢が思い浮かぶでしょう。どの道を試すにしろ、あなたが自分で決め、行動しなければ始まりません。そして、不都合が生じたときも受け止める覚悟が必要です。「誰かにやらされている」という発想では、人生を前向きに変化させることはできません。会社に自分の価値を提供しているというスタンスに立てば、依存することもなくなり、愚痴がこぼれることも減っていきます。

 雇われているサラリーマンであるという感覚でいると、受け身の姿勢で言われたことをやるという発想から逃れることができません。同じ仕事をしていても、見方を変える、発想を変える、取り組み方を変えることで、楽しく働くことができるようになります。特に50代以降は会社後の人生も見えてくる時期です。組織という後ろ盾がある状態を活用しながら、次のステップに向けた準備を始めていきましょう。

 また、わたしは、これまで多くの一流と認められている料理人やシェフの人たちをインタビューしてきました。話を聞くと、彼らにも他の料理人やシェフと同じく新人時代があったのだ…という当たり前のことに気づかされます。スタート地点では他の新人と大きな違いはなかったはずが、一流と認められている人たちは途中で進化を加速させていくのです。

 その差はどこにあるのだろう? と疑問に思いながら話を聞いていると、決定的な違いは仕事との向き合い方にありました。たとえば、調理を進めていく上で、魚をさばくという工程があります。進化していく料理人は、魚をさばくことを「仕事」として捉えています。一方、進化できない料理人は、調理の工程上の「作業」として魚をさばいています。今、取り組んでいることを仕事と捉えるか、作業としてこなすか。この考え方の小さな差がキャリアの決定的な違いを作っていくのです。

 というのも、仕事だと捉えている料理人は、アクティブに試行錯誤を繰り返していきます。魚の切り方で味が変わるのではないか?包丁の研ぎ方を工夫したらもっとおいしくなるのではないか?保存時の温度を変えたらどうだろう?と。一方で、「先輩からさばいておくよう指示されたから」と作業をこなす料理人は、先輩が指示したやり方で一定の水準を保つことに注意を払い、クレームがなければ満足します。

 さて、職場でベテランと目される存在になっているはずのあなたは、日々の業務にどちらの姿勢で向き合っていますか?もちろん、すべての業務を仕事と捉える必要はありません。オフィスワークには、作業と割り切って淡々とこなしたほうが効率的な業務は山ほどあります。

 それでもあなたの成長を助けるのは、「もう一歩先に行けないか?」「アプローチの仕方を変えたら、若手がもっとやる気になるんじゃないか?」と考え続けることです。仕事と作業を見分ける判断基準は「それが成果につながるのか?」「自分の成長につながるのか?」という問いかけです。50歳、あらためて「仕事」と「時間」に着目した働き方を見出していきましょう。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ