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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第42回

裁判でビジネスにケチがついた:

アップルApp Storeビジネスに暗雲か

2019年05月21日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●競争としての「iPhoneファースト」の実現

 筆者は開発者にインタビューする機会も多いのですが、彼らに話を聞く度に耳にするのが「iPhoneファースト」というフレーズです。アプリ開発のスタートアップほど、このフレーズが当たり前となっていて、iPhoneアプリを先に開発することを意味しています。

 例えば、先日話を聞いた教育アプリを展開するスマートエデュケーションは、3つの理由を挙げてiPad向けのアプリ開発を優先しているそうです。

1. 古いデバイスであっても、処理性能が比較的高い。
2. OSや開発者キットの動作の安定性高い。
3. 最新機能活用がしやすく、デバッグが現実的。

 裏を返せば、Androidタブレットではこれらの要素から実現不可能だったり、時間的なコストの負担が大きくなりすぎることが問題になると指摘していました。もちろん日本や米国といった先進国以外、たとえばアジアを狙う場合は、Android向けのアプリを広告モデルで展開するなど、戦略を変える必要がありますが、ARなどの新しい体験に取り組もうとすると、iOSを優先することになると言います。

 またアップルの審査は、正常かつ安全に動作するかどうかに加えて、機能やアップグレードの正当性、インターフェイスの提案、ビジネスモデルの調整などにまでコメントが及びます。

 たとえば物書堂のように「似たアプリを大量にリリースせず、統合アプリへ移行せよ」という大方針転換を告げられる事例もありますが、議論していくと、ユーザー体験の視点からの指摘で在り、結果としてアプリが分かりやすくなったり、ビジネス上有利になることもあります。

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