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デキる管理職は知っている「セクハラゼロ職場」をつくる会話術

2019年05月16日 06時00分更新

文● 島野美穂(ダイヤモンド・オンライン

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「セクハラゼロ職場」実現に向けて、管理職が意識すべきこととは?
職場はもちろん、夜の飲み会であっても、リーダーが毅然とした姿勢を見せ続けることが、セクハラを生まない職場づくりにつながる Photo:PIXTA

今の時代、女性社員への接し方は一歩間違えると信用を落とすどころかセクハラトラブルにもなりかねない。デキるビジネスマンは女性社員をどのように指導し、鼓舞しているのか。NASDAQに上場している外資系IT企業「ライブパーソン (LivePerson)」の日本法人代表として働く傍ら、多数のビジネス書籍を出版する金田博之氏に聞いた。(清談社 島野美穂)

優しすぎるのも
女性社員には不満の種?

 デキるビジネスマンが陥りやすい失敗の1つに、「己のコミュニケーション能力を過信する」というものがある。良かれと思った言動が、部下を傷つけていることがあるのだ。今でこそ女性管理職、女性経営者を対象に、自分の能力をどう生かすかというテーマのセミナーで講師を勤める金田氏にも、過去には失敗があった。

 大学卒業後、グローバルに展開する外資系大手ソフトウェア企業SAPジャパンに入社し、30歳で部長に着任した金田氏は、男女8人の部下を持つことになった。良い関係性を築いていると思いきや、部下たちが明かした本音は予想外のものだった。

「部下の女性社員たちから『金田さんは優しすぎる』という評価をもらって驚きました。元々体育会系で育ってきた私は、男性社員は当たり前のように呼び捨てでしたが、女性社員は“さん”付けで呼んでいたんです。要するにそれらが男女を区別していることになり、部下の間にちょっとした不満を生んでいたんです」

 ありがちだが、意外と気が付かないこのケース。この場合は、全員を呼び捨てにするか、あるいは“さん”付けにそろえるという解決法がある。この出来事によって、金田氏は自身のマネジメント力が未熟であることと、無意識のうちに男女を分けて考えていることを知った。

「同じ職場で働く仲間に対しては、『女性だから』『男性だから』という先入観は捨て、同じように指導していくべきです。たしかに、性別による得手不得手がまったくないとはいいません。しかし、デキるビジネスマンに求められるのは、個人の能力を見抜き、伸ばしていく能力のほうです」

 そうはいっても、女性社員と男性社員で、完全に接し方を同じにしろというのは簡単なことではない。金田氏は「会話の質を意識すること」とアドバイスする。

「私が実際に心がけているのは、加点式の会話をすることです。たとえば、部下が『料理ができない』と言ったとします。その際に『なんでできないの?』と言ってしまうのは、減点式。そうではなく、『今覚えている途中なんだよね』と、良い面を引き出すのが加点式です。これは簡単な例ですが、普段から、自分が加点式、原点式のどちらで話すことが多いかを思い出してみてください」

セクハラ重大化の背景に
男性側のメンタルヘルスの問題が

 個人の能力を伸ばす、この加点式の会話術は、セクハラトラブルを防ぐ役割も果たすのだという。

金田博之(かねだ・ひろゆき)/1975年山口県下関市生まれ。大学卒業後、グローバルに展開する外資系大手ソフトウェア企業SAPジャパンに入社。以来、入社1年目で社長賞受賞、29歳で副社長補佐、30歳で部長に着任、35歳で本部長に昇格。SAP全社10万人のなかのハイパフォーマンス(上位2%)を挙げた人物に7年連続で選抜される。2007年、INSEADでエグゼクティブMBAを卒業。日本の大手製造・流通企業ミスミでGMとしてグローバル新規事業を推進した後、現在はNASDAQに上場している外資系IT企業「ライブパーソン(LivePerson)」の日本法人代表。勉強会を定期的に開催し、参加者は累計1000人を超える。現役のサラリーマンでありながら、これまで8冊の書籍を出版。プレジデント、ダイヤモンド、東洋経済、日経ビジネスアソシエなど各種メディア掲載実績多数。オフィシャルメルマガは2017年・2018年それぞれまぐまぐ大賞を受賞。メルマガ:金田博之のたった一冊のノートで出世する「一流のグローバル人材」への確実な道

「セクハラ発言の多くは、『女性なのに◯◯できないのか』『女性だったらもっと◯◯のはず』というふうに、女性を下に見た発言が問題であることが多いような気がします。加点式の会話にするだけで、少なくとも無意識にしているセクハラ発言は防げると思います」

 昨今、セクハラに関するトラブル事例が絶えないが、デキるビジネスマンは、セクハラをどう捉えているのだろうか。

「セクハラトラブルと聞いて、どこかひとごとと思っている人は少なくないと思いますが、決してそんなことはありません。私の身近なところでも、大きなセクハラトラブルになったケースがあり、最終的には会社内では収まらない問題にまで発展しました。この出来事を通じ、セクハラによる大きな問題は、どの職場で起こるものだと感じました」

 セクハラの原因は様々あり、一概に当事者だけの問題と言い切ることはできない。セクハラが発生する環境について、金田氏はこう考える。

「私が知るセクハラトラブルの際は、問題を起こした男性社員に、仕事上の過度なプレッシャーがかかっていたという側面がありました。メンタルヘルスに支障をきたし、普通の人が突拍子もない行動に出てしまうこともあるのです。マネジメントを任される立場にある人間ならば、セクハラをしないことはもちろんのこと、セクハラをする人間を生まない環境づくりも1つの使命です」

 セクハラを生まない環境づくりとは、部下にこんこんと言い聞かせたり、ミーティングをするということではない。まずは、自分のマインドセットを変更することがスタートなのだ。

コミュニケーション術の情報は
常にアップデートすべし

「この記事を読んでくださる人は、すでに部下を率いている上司、あるいはこれから出世していこうと、やる気に燃えているビジネスマンだと思います。であるならば、あなたは、『セクハラを止める』立場です。基本的には自分がセクハラを抑制する言動をすることから始めればいいだけです」

 たとえば、職場での飲み会。アルコールが入り、気が緩むと、言葉でのセクハラが発生しがちになる。そのとき、ただ傍観するのは二流。デキるビジネスマンであれば、いつ何時も、止めに入る姿勢にいなくてはならない。

「状況はさまざまですが、たとえばそれが盛り上がる場面だったとしても、あなたは喜んで乗っかってはいけません。気が大きくなった部下に対し、『言い過ぎるな』と牽制することで、イエローカードを出す。上司であるあなたが、現場で実践していくことが、セクハラを生まない環境にしていくことの第一歩です」

 盛り上げようとしている人が、気づかないうちにセクハラ的言動を行っていることは少なくない。ただ、その陰で我慢している女性がいるとしたら、その人が出すアラートに敏感に察知してこそ、デキるビジネスマンなのだ。

 女性が働きやすい職場は、男性にとっても働きやすい現場であるべきだと金田氏。セクハラに関する話や、男女平等に扱おうという話は耳にタコかもしれないが、だからこそ、常に情報をアップデートしていくのがデキるビジネスマンのたしなみなのである。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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