このページの本文へ

通勤ラッシュで遭遇する「道を譲らない人」の心理と対処法

2019年05月13日 06時00分更新

文● 岡田光雄(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
「道を譲らない人」の心理は大きく分けて3パターンあります。
「道を譲らない人」の心理には、大きく3パターンある Photo:PIXTA

通勤の混雑時、必ずといっていいほどに道を譲らない人に遭遇する。仕方なしにこちらが道を譲っても、避けるそぶりも見せず堂々と突き進んで行くのだ。道を譲らない人の心理状況と、それに腹を立てないですむ方法を、カウンセリングサービスの代表を務める心理カウンセラー・平準司氏に聞いた。(清談社 岡田光雄)

「道を譲らない人」に
見られる3つのタイプ

 道を歩いていると、猪突猛進という言葉がぴったりな人に出くわすことがある。向こう側から人が歩いて来てもゼンマイ仕掛けの人形のように、相手を全く気にすることなく前進し、半歩すら避けようとしない人間のことだ。

 平氏は、こうした人間は3つのタイプに分類できるという。1つ目は「わが道を行く」タイプだ。

「これは経営者などに多く、普段から『私のやり方で会社が回っている』と自負して生きているような人は、『自分を優先してくれるのは当たり前だ』と思いがちです。悪気はないのですが、道を譲らない傾向にあるようです」

 ただ、こうしたケースは少数派で、最も多いのが2つ目の「劣等感から虚勢をはる」タイプである。

「普段は接客の仕事をしていてストレスを抱えていたり、職場での立場が弱いなど何らかのコンプレックスを抱えている人の場合、リバウンドで『道を歩くときぐらいはワシの自由に歩くで~』とわがままになる傾向にあります。面白いもので、人が証明しようとすることは実は自分が一番信じていないこと。『俺は強いぞ、すごいぞ』と証明したがる人ほど、“弱さ”を抱えている場合が多いのです」

 3つ目は「心にゆとりがない」タイプの人間だ。

「時間や心に余裕がないときは、『どけどけどけ~!』みたいな感じで走ってしまうものです。たとえば、トイレに行きたくて漏れそうなとき、人に道を譲っている場合ではありませんよね。あるいは、常にボーッとしていて、自分の中に閉じこもっているようなタイプの人も、心にゆとりがなく、道を譲ることにまで気が回らない場合がほとんどのようです」

「道を譲らない人」に
腹を立てる心理とは?

 また、道を譲らない人は性別に関係なくいるが、その理由については男女で違いがあるという。

「心理学的にいえば、基本的に男性は“敵”を認識して行動している場合が多く、心にゆとりがないがゆえに道を譲らない。一方で、女性の場合は、男性ほど敵を認知する意識を外に向けていないため、車の運転などでもまっすぐしか見ていないという傾向があるようです」

 ここまでは道を譲らない人の心理について見てきたが、次に「道を譲らない人に腹を立ててしまう人の心理」を解説しよう。

 平氏は、道を譲らない人に腹を立ててしまう人には2種類のタイプがあるという。1つ目は、「自分の心の中にあることを外に映し出して判断する」こと。心理学的に“投影”というが、この働きに起因して腹を立ててしまう人間だ。

「こういう人は、自分が決してやらないようなことを平気でしている人(ユング心理学でいうシャドー)に対して腹を立ててしまいます。『自分は道を譲ったり、人にぶつかったりしないように気をつけているのに、何でお前は気をつけないんだ!』と腹を立ててしまうわけです。この心理のさらに深いところには『あんたねえ、そんなことしていたらいつかどえらいトラブルに遭うから、私と同じように道を譲ったほうがいいよ…』という気持ちも含んでいます」

 2つ目は、「自己破壊的」なタイプの人間だ。これは、前述した「劣等感から虚勢をはって、道を譲らない」タイプと似たたぐいの人種といもいえる。

「自己破壊的な人とは、『俺なんて、もうどうなろうが構わないんだ!』というタイプ。怒りが行動動機なので、ものすごく怒っている。こういう人は他者の怒りにも触発されやすいので、自分と同じようなタイプの人が道の向こうから歩いてきたら『この俺様に道を譲らせるってどういうことだ、コラ!』『てめえこそなんだ、コラ!』とぶつかり合ってしまうわけです」

「俺をわかれよ」という
依存心が喧嘩を生む

 道を譲る・譲らない問題は、しばしば電車内でも起きている。たとえば、ドア付近など、明らかにそこにいたら邪魔というところにふてぶてしく陣取る人と、それに腹を立てて無言で強行突破して降りようとする人の攻防をよく見かける。彼らは双方、どのような心理状態なのか。

「世の中のほとんどのけんかは“愛してほしい、わかってほしい、助けてほしい”が原因で起こっています。つまり、双方の“依存心”がぶつかり合っている状態です。電車内を無言で押しのけて出ていこうとする人は『邪魔だろ、それぐらいわかれよ!』という依存心、それをされた相手は『何すんだ痛えだろ、やめろよ!』などの依存心があるのでしょう」

 では、このようなシチュエーションに出くわした場合、どのように対応するのが効果的なのだろうか。まず平氏は相手を「わかってあげる」ことの大切さ、を指摘する。

「感情的にならずに、『すみません、ちょっと降りさせてもらっていいですか』と言えるのが、人間の“成熟”というものです。そうすればどんなに鈍感な相手でも『ああ、すみません。気付きませんでした』と、どいてくれるものです」

 また、反射的に相手に怒りを感じてしまう人は「世界は敵だ」という独特の思い込みを抱えているものだ。

「『誰も自分を愛してくれないし、わかってくれない。社会は敵なんだ』という思い込みを捨て、『どうすれば人を動かせるんだろう』と考えること。腹が立ったときほど、実は優しく相手をわかってあげることが大切なんです」

腹が立つ心理の裏には
日常生活の我慢が潜んでいることも

 他人だけでなく、“自分”をわかってあげることも重要だ。

「道を譲らない人に腹が立ったときは、『何で自分はこんなことに腹が立っているんだろう…』『最近、我慢していることが多いのかな?』と考えるようにしましょう。そうすれば、自分にこそ“人に道を譲らせたい”という欲求があることに気付くはずです。道を譲る・譲らないでけんかになれば、もっと嫌な気持ちになるし、万が一それでトラブルにでもなったら割に合いません。自分から道をちょっと譲るだけで、そうしたリスクを回避することもできますからね」

 いやいや、そうは言っても、やっぱり道を譲るのは悔しいぞ!という読者もいるかもしれない。そこで平氏に、相手に道を譲らせるご法度の心理学テクニックも教えてもらった。

「人は誰しも、近づかれたら不快に思うパーソナルスペースがありますが、そういった意味で日本人の空間認識力は世界で一番優れているといわれています。たとえば渋谷のスクランブル交差点は、あれだけの人が往来しているにもかかわらずほとんど誰もぶつからない。あの光景に海外の人は驚くそうです。それを踏まえて、『僕は敵じゃないよ。わかってくれるよね、避けてくれるよね』のスタンスで黙って立っていれば、自然と周りはその人を避けていくと思います」

 空間認識力に長けた日本人が、道を譲る・譲らないで対立するのが、そもそも不思議な話なのだ。向こうから迫ってくる人が本当に敵なのかどうか、いま一度自問してみよう。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ