このページの本文へ

マラソンブームをひそかに支える「ランナーズ銭湯」大人気の秘密

2019年05月04日 06時00分更新

文● 戸田一法(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
ランステやランナーズ銭湯はランニングのブームを支えている
写真はイメージです Photo:PIXTA

各地で開催される市民ランナー向けのマラソンは主要な大会がほぼ終了し、季節的にはシーズンオフに入った。それぞれのランナーは秋から春にかけた大会シーズンに備えて練習に励む方、大会にはさほど関心がなく自分のペースで楽しむ方などいろいろいる。一方で、マラソンに挑戦したくても、平日の日中に働く一般的なビジネスパーソンの中には「走った後に汗をかいたまま電車に乗りたくない」「荷物を置く場所がない」などの理由で諦めている方もいるのではないだろうか。特に前者は女性にとって切実な問題だろう。そういう方々にお勧めなのが「ランナーズステーション(ランステ)」「ランナーズ銭湯」だ。こうした施設を利用して今から準備すれば、マラソン経験のない方でも今秋以降の大会出場には十分間に合うはずだ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

ブーム支えたランステ

「マラソンブーム」も一時の勢いが落ち着いた感がある。続けている方は日常生活に習慣として根付き、続かなかった方はシューズやウエアを使わなくなってしまい込んだままという話をよく耳にする。

 一方でブームに乗って自分も始めたかったが、前述のような理由で「なかなか一歩を踏み出せなかった」という声もよく聞く。

 実は10年ほど前から、東京や大阪、名古屋など大都市圏のオフィス街を中心に、シャワールームやロッカー、休憩スペースなどを完備した「ランナーズステーション」という施設が登場している。

 主にスポーツ用品メーカーやスポーツクラブなどが運営し、24時間営業の施設もあるため、出勤前や後に気軽に利用できるとユーザーが増えた。東京では現在、「ランナーの聖地」皇居周辺に約20ヵ所が営業している。

 入会金が必要な施設もあるが、1回500~1000円程度で利用が可能だ。1ヵ月単位で2000~3000円の会費を支払えば使い放題という施設もある。女性向けに、パウダールームを充実させているところも多い。

 利用方法はだいたいどこも同じで、受付で代金と引き換えにロッカーキーを受け取り、ウエアに着替えたらそのまま荷物をロッカーに預けて走り出せる。走った後は、シャワールームに備え付けのシャンプーやボディーソープで汗を流してさっぱり。カフェで飲み物や軽食を提供している施設もある。

 タオルのほか、ウエアやシューズの貸し出しをしている施設もあるので、手ぶらで立ち寄って走ることも可能だ。地方のランナーが東京出張のついでに「聖地」を走ってみたいと思い立ち、ビジネスホテルからふらりと寄って利用したという話も聞く。

 皇居ランナーで職場にシャワーなどがなければ、ランステのお世話になっている方が多いと思う。このランステの存在が、実はマラソンブームを支える大きな役割を果たしたといえるかもしれない。

 仕事の後で電車に揺られて帰宅し、そこからウエアに着替えて走るのは億劫(おっくう)だが、職場からランステに寄ってジョギングし、心地よい汗をかいた後でビールを一杯飲んで、さっぱりした気分で帰宅…。

 すでにシャワーを浴びているので、帰宅後は夕食を取ってあとはぐっすりと眠るだけ。週に1~2回利用したとしても、飲みに行く回数を月に1~2回減らせば済むので、財布がそれほど痛むこともない。

「健康のため」というならば、1ヵ月に1万円前後の会費が必要となるスポーツジムに通うより、はるかに安上がりといえる。

銭湯で荷物「一時預かり」

 一方、大阪ではここ2~3年、皇居と同様にランナーが多い大阪城周辺に「応援します!銭湯ランナー」のポスターや幟(のぼり)を目にすることが増えた。いわゆる「ランナーズ銭湯」だ。

 ランナーズ銭湯では、入浴前に荷物を預かってくれる。元々は皇居周辺の銭湯が始めたとされ、現在も千代田区などで5軒前後がサービスを提供している。

 説明が前後したが、皇居にランナーが多いのは1周約5キロを信号で足止めされず、ストレスなく走れるからだ。

 大阪城周辺も同じ理由でランナーが多いのだが、皇居と違って大阪城公園の内部も走れるため、いろんなコース設定ができる。皇居はビジネスパーソンが多いが、大阪城周辺は実にさまざまな速度、年齢のランナーが思い思いにジョギングを楽しんでいる。

 そして、大阪城周辺は昔ながらの銭湯が多い。またサウナを併設していたり、意外かもしれないが街中に温泉があったりもする。それでも利用料は普通の銭湯料金(440円)なので、ランステよりもさらにリーズナブルだ。

 15年末に大阪府公衆浴場組合が銭湯の利用者を増やそうと、ランナーズ銭湯の普及に協力を呼び掛けたところ、府内60数軒から協力の申し出があった。組合のHPによると、現在も70軒前後あり、大阪城周辺では10軒前後がサービスを提供している。

 軽く汗を流すだけではなく、どっぷりとお湯に入って温まり、それから冷えたビールを堪能したい方は、ランステよりこちらがお勧めかも知れない。

 もちろん大阪城周辺にもランステはあるし「銭湯はちょっと苦手」という方や女性は、そちらを利用しているようだ。

 東京都公衆浴場業生活衛生同業組合は大阪のように組織的な取り組みはしていないが、各銭湯を紹介するHPの「東京銭湯マップ」で、「荷物一時預かり」という項目のある銭湯がランナーズ銭湯ということだ。

 暖かくなり、これからジョギングにうってつけのシーズンを迎える。ジョギングはシューズとウエアさえあれば、すぐに始められる。費用もお小遣いの範囲で十分に収まるだろう。

 本稿では一例として皇居と大阪城周辺の状況をお伝えしたが、もちろん、それ以外にもランナーのジョギングコースになっている地域に「ランステ」「ランナーズ銭湯」は数多く存在する。

 健康促進とおいしいビールを飲むため一念発起、こうした施設も利用することで、ゆっくりと走り出してみてはいかがだろうか。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ