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雑用で脳がリフレッシュ!?「仕事の先送り」がなくなる考え方

文● 吉田たかよし(ダイヤモンド・オンライン

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焦る女性
写真はイメージです Photo:PIXTA

新年度が始まってはや3週間。今はまだ緊張感があるものの、だんだん慣れてくると期限を守らなくなったり、面倒なことを後回しにしてしまったりすることはないでしょうか?実は、このように「つい先送りしてしまう」のは意思の弱さではなく、先送りしてしまうクセが脳に染み付いてしまっているのが原因です。前回に続き『「ついつい先送りしてしまう」がなくなる本』(青春出版社)から、そんな「先送り脳」を治す方法について抜粋して紹介します。

「この作業、ムダかも」という不安から先送りする場合…

「がんばってこの企画書を書いたところで、どうせボツになるかもしれないと思うと、いいアイデアも浮かびません。モチベーションもあがらなくて、いつも期限先送りになってそのときに思いついたものを仕方なく出している感じです」

 人間の脳は実によくできていますが、もちろん完璧ではありません。残念ながら欠点もたくさんあるのですが、その中でも最たるものが、直感で確率を扱うのが苦手だということです。たとえば、次の2つのケースを比較してください。

 ケースA:確実に1万円もらえる。
 ケースB:確率95%で1万1000円もらえるが、確率5%で何ももらえない。

 あなたは、どちらを選びますか?論理的に考えれば、Bのほうが期待値は450円高いので有利なはずですが、実験を行うと、Aを選ぶ人が多いのです。こうした不合理な判断をしてしまうのは、人間の脳が、直感で確率を扱うことを苦手としているので、無意識のうちに不確実なものを避ける傾向があるからです。無駄になるかもしれないと思っただけで、途端に先送りしたくなるのは、脳が確率に対してこうした欠点を抱え込んでいることが原因なのです。

 このように人間の脳は確率を直感的に扱うのを苦手にしているわけですから、何らかの形でこうした欠点を補わなければなりません。そのためにやるべきことは、頭を使って確率を論理的に考えるクセをつけるということです。冒頭の例で考えると、まず企画書がボツになる確率を論理的に考えてみてください。そして、作業から得られる期待値を大雑把でいいので計算するのです。作業によって得られる期待値は、以下の式で表されます。

 企画書によって得られる期待値=企画書が採用されたときの利益×採用される確率

 しかし、これは数学の試験問題ではないので、確率を正確に計算できるケースは決して多くありません。そんな場合は、だいたいどれくらいの確率か、大雑把に考えるだけで結構です。このように、1つ1つの仕事に対して普段から確率と期待値を考える習慣をつけると、「先送りグセ」も改善されるでしょう。

スケジュール管理が苦手で何事も先送りする場合…

「時間管理をするためにスケジュールを立てるのが大事なのはよくわかります。でも、そんなことをしてもどうせ時間通りにはできないし…と思うと、なかなか実行できないんです」

 細かな時間管理は面倒だと思われるかもしれませんが、やってみると、メリットがあまりにも大きいので、慣れるとまったく煩わしさを感じなくなるはずです。そのメリットは何かと言うと、時間を有効に使えて、一日がとても充実するということ。時間を高密度に使おうと思ったら、時間管理を高密度にしなければならないのです。

 一日は、どなたにとっても24時間であることに変わりはありません。どんなにあがいたところで、一日は1分どころか1秒だって増えません。大切なのは、みんなに等しく与えられた24時間をいかに最適にそれぞれの作業に割り当てていくかです。そのために最も力を入れたいのが、必要性の低い予定をリストラすることなのです。

 私たちの予定には100%無駄なものはありません。ぼーっとしている時間は脳の休息に役立っているし、同僚と世間話をしているときもコミュニケーションの円滑化に役立っています。だからこそ、予定のリストラは性根を入れてとりかからないと、まったく前には進みません。私がおすすめしている予定のリストラ法は、次のようなものです。A4の紙を用意し、中央に縦の線を引きます。そして一日のスケジュールの項目を左側に箇条書きにします。そして右側には、現在は取り組めていないものの、やったほうがよいと考える行動を思いつくまま箇条書きにしていきます。こうすれば、一日のスケジュールの現状と理想が一覧できるバランスシートのようなものが完成します。

 これをもとに、いよいよリストラの作業開始です。左側に書き出した現状のスケジュールの中で、必要度の低い項目を2割選んでください。それを右側に書き出したやりたい項目の中で優先順位の高いものと入れ替えるのです。このとき重要なのは、リストラする2割の項目と、その代わりに入れる新たな項目とを比較しないということです。すでに日常的に行っていることは、惰性になっているので、まだやっていないことよりは重要に感じるものです。だから、大切に感じる順番に予定を組むという当たり前のことをしていたら、いつまでたってもスケジュールの体質は改善しません。ですから、やりたいことを実行するためには、現状の予定の中で、下位の2割は有無を言わさずリストラするのがポイントです。

 もし、リストラした予定が本当に必要なものであれば、次回の見直しのときに復活させればいいのです。私の経験上、実際これまでリストラした予定の半分は、結局、復活させることになっています。しかし、注目していただきたいのは、残り半分は永久に復活することがなかったということです。いざやめてみると実際には何の支障もないことが、普段のスケジュールの中にかなりたくさん紛れ込んでいたのです。そういう項目はあなたの生活の中にもあるはずです。ぜひ、スケジュールのリストラを断行し、あなたのスケジュールをアップデートしてください。

雑務が多過ぎて溜め込んでしまい先送りする場合…

「経費の精算などの雑務がたくさんあって、その処理にすごく時間をとられてしまいます。いつも、期限先送りまでため込んで一気にバーッと片づけているのですが、もっといいやり方はないでしょうか?」

 経費の精算、資料のコピー、事務的な書類の整理…どこの職場にも、雑用と呼ばれる仕事があるものです。雑用はあなたの生産力の本質ではありません。ですから、次の2つのポイントだけを心がけて行いましょう。

(1)期限までに間に合わせること
(2)極力、短い時間で済ませること

 どなたもお気づきでしょうが、雑用は単純作業が多いので、何度かに分散して行うより、まとめてやったほうが効率的です。ですから、期限先送りまで溜め込んで一気に片づけるというのは、そんなに悪い方法ではありません。しかし、それを締め切り直前にやろうとするのは、やはりリスクが大きいでしょう。

 では、いつやればいいのか。私が出した答えは、脳が疲れて高度な作業が行いにくくなったときです。毎日、仕事をしていれば、脳機能の調子がいいこともあれば、悪いこともあります。脳機能の調子が悪いときは、報告書や提案書を作成するといった高度な作業は、効率が極端に低下します。しかし、こんなときでも、雑用だったらさほど作業効率は落ちません。そんなタイミングを見つけて、雑用をまとめて片づけてしまえばいいのです。

 本質的な仕事は、脳の中にある言語中枢を使って、論理的に思考するというステップが不可欠です。これが、俗に「頭を使う」と呼ばれている現象です。しかし、社内の雑用でいちいち頭を使っていたら身が持ちません。特に頭を使うときに不可欠な脳の前頭前野は、とても疲労に弱いからです。

 ですから大切なのは、雑用にはできるだけ頭を使わないこと。やってみると実感できますが、脳機能の調子が悪くて企画書も報告書も書けず苦しみぬいた後で雑用をすると、ほっとします。仕事が前に進まないフラストレーションが、雑用とはいっても作業が着実に進むことで癒されるからです。面倒なだけの雑用も、使い方によっては、スランプを脱出するための手段になるわけです。ぜひ雑用を有効に利用してください。

「先送りグセ」を治しても、それはまだあなたの人生のゼロ地点に過ぎません。そこからが新しい人生のスタートなのです。2回に渡って紹介した方法はすべて、人生をゼロからプラスに伸ばすためにも有効なものばかりです。ぜひ「先送りグセ」を治して新しいステージに足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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