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ICT企業集積拠点「スマートシティAiCT」にイノベーションセンター福島を移転、機能と規模を拡充

アクセンチュアが会津若松のデジタル化実証事業拠点を強化、その狙い

2019年04月24日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「旧態依然としたモデルとは違う」地方創生モデルを提唱し、実践

 AiCTオフィス棟の1階には、アクセンチュアのイノベーションセンター福島が移転し入居した。フロア面積はおよそ300坪で、ここで250名の従業員が働く予定だという。同日午後に行われたアクセンチュアの記者説明会では、同社 社長の江川氏、センター長の中村氏が登壇し、会津若松市における8年間の取り組みの変遷やイノベーションセンター福島拡充の狙い、従来型の「地方創生モデル」との違いなどについて説明された。

今回のAiCTオープンは、首都圏からの先端技術事業/機能の移転プロジェクトとも位置づけられている
アクセンチュア 代表取締役社長の江川昌史氏同社 イノベーションセンター福島 センター長の中村彰二朗氏

 江川氏は、2011年の東日本大震災をきっかけとして始まった会津若松市におけるアクセンチュアの取り組みを大きく3つのフェーズに分けて紹介するとともに、アクセンチュアが提唱する、従来型とは異なる「地方創生モデル」の特色を説明した。

 同社では東日本大震災発災直後の2011年8月、被災地域の復興と産業育成を支援する拠点として、会津若松市内にイノベーションセンター福島を立ち上げた。2011~2012年当時は“震災復興支援”の色合いが強く、復興に向けた新たな道筋を示すべく、デジタル/オープン/市民中心といったキーワードを軸とする「会津創生8策」を策定。また会津大学でアナリティクス人材育成のための寄付講座を提供するなどして「一歩一歩、会津の土地、皆さんと近づいていった」と江川氏は語る。

 続く2013~2016年のフェーズでは、会津若松市を「全国の先端を行く地方創生モデル都市」とすることが目標となった。震災による経済的ダメージからの復興だけでなく、より一歩踏み込んで「震災前にはなかった価値を会津にもたらしたいという理念」(江川氏)に基づく取り組みである。具体的には、アクセンチュアが仲介役となってスマートシティ領域におけるアムステルダム市との連携協定を結んだほか、全国からデジタル活用の実証事業を会津地域に誘致。その結果、2015年には「地方創生モデル都市」として総理大臣からの認定を受けている。

 そして直近の2017年からは、会津若松市でノウハウを積み重ねてきた地方創生モデルを「スマートシティの共通プラットフォーム」として構築/整備し、全国へ発信/横展開していく活動を展開してきた。オープンAPIを通じたビッグデータプラットフォームを共通基盤として、産/学/官それぞれの取り組みもつなぎつつ、地域産業の活性化や安定的な雇用創出、新しい街づくりにつなげていくというモデルだ。

オープンなビッグデータプラットフォームを構築し、それを基盤としてプロジェクトも展開、幅広い地域産業の活性化と成長につなげる狙い

 そして、アクセンチュアが考える地域創生モデルは「これまでの旧態依然としたモデルとは違う」と江川氏は説明した。具体的には、従来型の「垂直分業モデル」ではなく「水平分業モデル」を志向しているという。

 「従来の『垂直分業モデル』は、事業戦略/企画といった機能は首都圏に、営業/開発拠点を地方中核都市に、そして工場やコールセンター(製造やアウトソーシングの機能)を地方に配置するというものだった。しかしこれでは、地方に割り当てられる仕事はスキルが低く、給与も低いとなりがちで、新興国への雇用流出も容易に起きてしまう。こうしたことを繰り返しても、長期的な視野に立った地方創生はできないのではないか」(江川氏)

 そこでアクセンチュアでは、これまで首都圏に配置されていた高付加価値業務の一部を地方へ移転する「水平分業モデル」を提唱し、自社でもそのモデルを実践している。今回のイノベーションセンター福島では、市内にあった旧センターを移転しただけでなく、東京ソリューションセンターからも一部の業務、人材を切り出して移転し、その機能を拡充している。

アクセンチュアが目指す地方創生モデルは、高付加価値業務も地方に移管する「水平分業モデル」だと説明した

 この水平分業モデルの場合、ある事業の戦略/企画から実装、運用までがひとつの地域に移管されるため、地域ごとに明確な「特色」が持たせられる点もポイントだ。アクセンチュアの場合、会津を「先端デジタル技術の実証フィールド」と位置づけているほか、札幌は「先端クラウドソリューション」、福岡はRPAなどの「業務プロセス自動化」、熊本は「BPOサービス」と、異なる色合いが与えられている。

 「東京でやっていてもおかしくない仕事を、意味ある形で(地方へ)切り出していく。地方での雇用創出や人口増加、さらに国の(ICT関連の)実証事業にも寄与したい。ここで発明されたアイデアやイノベーションが、日本のみならず世界に打って出られるかたちになれば最高だ」(江川氏)

アクセンチュアでは複数の地方拠点に事業を分散させ、さらに各拠点には特色を持たせる戦略をとっている

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