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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第507回

USB 4の発表で、USB 3.2はどうなった?

2019年04月22日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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 2013年にUSB 3.1の規格を解説したが、そこからすでに6年。実は2017年にUSB 3.2の仕様策定は完了しているのだが、こちらはまだ普及に至ってない(コントローラーすら存在しない)のにも関わらず、先日USB 4.0の発表があったりと、急にUSBを巡る状況がさわがしくなってきた。そこで、USBの規格を改めて整理しておこう。

そもそもUSB 3.2とは?

 USBの仕様策定を司るUSB-IF(USB Imprementation Forum)は2017年9月25日、USB 3.2の仕様策定が完了したことを発表した。発表によればUSB 3.2とは以下のものとされている。

  • Two-lane operation using existing USB Type-C cables
    (既存のUSB Type-Cケーブルを利用して、2レーンオペレーションを行なう)
  • Continued use of existing SuperSpeed USB physical layer data rates and encoding techniques
    (既存のSuperSpeed USBの物理層とデータレート、エンコード方式などをそのまま継承する)
  • Minor update to hub specification to address increased performance and assure seamless transitions between single and two-lane operation
    (1レーン/2レーン操作の移行をスムーズに行なうため、Hubの仕様は若干アップデートされた)

 要するに、以下の方法で転送速度を倍にした形だ。

  • USB 3.0:5Gbpsの送受信レーンを1対追加
  • USB 3.1:送受信レーンを10Gbpsに増速
  • USB 3.2:送受信レーンを2対に増強(速度は10Gbpsのまま)

 これが可能になったのは、USB Type-Cコネクターとケーブルが、そもそも2対の信号線を持っていたためだ。USB Type-Cでは「コネクターに裏表がない」(厳密に言えばあるのだが、表裏逆に差しても送受信が問題なくできる)という仕組みを実現しているが、これを実現するために、同時に2対の信号を送受信できるようにしてある。

 レセプタクル(Type-Cのジャック)とコネクターの配線レイアウトを下の画像に示すが、表裏(A側とB側)がちょうど180度ひっくり返ったようになっているのがわかる。

レセプタクルとコネクターの配線レイアウト。TX(送信)とRX(受信)が対になる形に配されているのがわかる

信号線の意味
D+/D- USB 1.1/2.0の信号伝送用。双方向伝送。レセプタクル側(Figure 2-1)を見ると一見2対の信号が用意されているように見えるが、プラグ側(Figure 2-2)を見るとわかるように信号線そのものは1対しか用意されていない。
TX1±,TX2±,
RX1±,RX2±
USB 3.0/3.1用の信号伝送用。こちらは速度が高速な関係で片方向伝送となっているので、2対4本で1セットとなる。なのでここでは2セット分の配線が用意されているのがわかる。
VBUS 5Vの電力供給用
GND 5V電源用のGND。片面あたり2本に増えており,1本で500mA,2本あるので片面あたり1Aまで流せる。
SBU1,SBU2 Type-Cで追加された追加の信号線(Side Band Use)。通常の接続では利用されないが、Type-CのAlternate ModeやAudio Adapter Accessory Modeなどではこれを利用することが規定されている。
CC1,CC2 Configuration Pins。これもType-Cで追加されたもので、特にUSB PDを利用する際に電力の供給元/供給先/Dual-Role(電力の供給元/供給先のどちらにもなれるもの)の区別を行うために、このピンを利用して通信する。

 以上のようにケーブルおよびコネクターは2セット分の信号を同時に流せるようになっている。おそらくはType-Cの策定時に、Two-Lane Operationへの配慮があったのだろう。

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