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「めんどくさい」は脳のクセだった!タイプ別“先送りグセ”を直す方法

文● 吉田たかよし(ダイヤモンド・オンライン

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ついつい面倒なことを後回しにしてしまうのは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新年度が始まって早2週間。今はまだ緊張感があるものの、だんだん慣れてくると期限を守れなかったり、面倒なことを後回しにしてしまったりすることはないでしょうか? 実は、このように「つい先送りしてしまう」のは、意思の弱さではなく、先送りしてしまうクセが脳に染み付いてしまっているのが原因です。そこで今回は、『「ついつい先送りしてしまう」がなくなる本』(青春出版社)から、そんな「先送り脳」をなおす方法について抜粋して紹介します。

あなたの“先送りグセ”はどのタイプ?

 人を待たせてしまったり、面倒なことを後回しにしてしまったり「どうして自分はこんなにだらしがないのだろう」と反省するものの、なかなかそんな自分を変えることができず悩んだことはないでしょうか。なかなか自分を変えることができないのは、決して意志が弱いからではなく、先送りがクセになっている脳になってしまっているのが根本的な原因です。

 まず、「先送りしてしまう脳」のクセはいくつかのタイプに分けられます。自分がどのタイプに該当するのか次のページのチャート図で診断してみてください。

 では、なぜあなたは“先送り”をしてしまうのか。チャート図で診断した脳のタイプ別に原因を見ていきましょう。

気がのらないことをつい後回しにする「めんどくさ脳」

「仕事のトラブルの解決を図らないといけないのに、ついつい目の前の仕事に追われてズルズルと遅れてしまった…」などと、気がのらないことをつい後回しにしてしまうのは、一番多くの方が陥っている問題です。なぜなら、それは「めんどさ脳」が蔓延する社会的背景があるからです。

 本来、脳には、手に入れられないものを努力して手に入れたり、壁にぶつかってもそれを乗り越えたりすると、A10神経が刺激を受けてドーパミンというホルモンが分泌されます。そのときドーパミンは「やった!」という快感を脳に与えるので、私たちはこの快感を得ようと、その行動をとり続けようとするのです。

 ところが現代のIT社会ではスマホやPCの普及により、自分が努力してA10神経を働かさずとも、それで得られる以上の快感が受動的に得られてしまいます。こうして自分の意思で能動的に物事に取り組むことに不慣れな脳のクセが身に染み付いてしまい、すぐ「めんどくさい」と感じて先送りするわけです。

 この「めんどくさ脳」の改善するための対策が、「お試し5分法」です。これは、先送りしたくなったとき、試しに5分間に限定して取り組むという方法です。たとえば、やる気が出なくてずっと先延ばしにしてきた仕事なのに、いざ始めてみると、だんだん興味がわいてきて、気がついたら2時間くらい没頭していたなんて経験はありませんか?これは、脳の中で「作業興奮」と呼ばれる特別な脳のしくみが効果を発揮してくれたからなのです。5分間作業していると、脳内のやる気の中枢である側坐核が興奮状態になり、その結果、やる気が後から高まってきます。これが作業興奮と呼ばれる現象なのです。

 もちろん、5分やっても、やる気が出ないときはあります。この場合は、作業興奮の力をもってしても、やる気は出せなかったということですから、きっぱりと作業を打ち切ってください。そこを無理して続けるクセをつけてしまうと、「お試し5分法」自体をやらなくなってしまうので要注意です。

何事もきちんとしないと気が済まない「キチキチ脳」

「企画書をしっかりしたものにしようとしたら、締め切りに間に合わなくなった…」「もらったメールに丁寧に返信をしようとしたら、返信が遅くなった…」このように、完璧にしようと思ったことが仇になり、期限に間に合わなくなってしまうというのも、仕事や日常生活の現場ではよく見られる現象です。こうしたケースでは、仕事そのものより、特に対人関係が関わってくると完璧を目指したい傾向が高まります。

 通常、幼少期に、子ども同士でケンカしたり仲良くなったりを繰り返すことで、脳は対人関係を柔軟に処理できるようになっていきます。ところが、今はゲーム、スマホの普及によって、対面で遊ぶ経験が少なくなったり、高層マンションなどの人工的な空間で育ち、感覚がデリケートで過敏に反応してしまう脳になる人が増加しています。そういった変化から、最近では傷つきやすい人が社会にあふれてるのです。

 つまり、「キチキチ脳」の根本的な原因は、対人関係が未熟かつ過敏になっていることです。そのため、企画書を出す場合も、細かいところまでとことん突き詰めないと気が済まず、大雑把なものでもいいから期限内に出したほうがいいとわかっていても、先延ばしにしてしまう。そして、結局は締切を守れず上司に怒られてへこみ、それがまた恐怖感情となって、ますます大雑把に自分の行動をデザインできない…そんなネガティブなサイクルを何度も繰り返すことになってしまうのです。

 このようなタイプの方に即効性があるのが「デッサン法」という方法です。これは、絵のデッサンと同じように、まずラフを描きます。次に、全体の枠組を描き、細かい描写はあとからゆっくり行うというやり方です。

 たとえば企画書を書く場合、1行目の書き出しから完成度の高いものにしようと思いがちですが、この考え方が先送りを招く悪の元凶です。そうではなく、頭から順にアプローチするのはやめて、全体の大まかなデッサンから始め、あとは時間が許す限り、葉っぱの産毛、枝葉末節まで書けばいいのです。この方法なら期限までに最低限、何かは必ず提出できます。

 これは、やってみるとわかりますが、はじめから身を生み出すのは難しい作業ですが、骨に身を足すのははるかに簡単です。デッサンを描いたあとに色をつけたほうが絵は描きやすのと同じ理屈です。

自分の力を過信して期限オーバー!「なんとかなるさ脳」

「私は仕事が速いから、今からやらなくても大丈夫…」「いつもの調子なら、前日にプレゼンの準備を始めても間に合うはすだ…」こうして自分の力を過信して先送りしてしまうというのも、よく見られる現象です。

 実は、こうしたタイプの先送りをしてしまう人の深層心理には、意外にも幼児期の親子関係が大きく影響していることもわかってきました。幼児期は、誰しも親に自分のことをきちんと見てかまってほしいと思うものです。しかし、親が試験の点数など子どもの表面的な部分しか関心を持たないと、心のうちに実態のない空虚な自信と欲求不満を抱え込みながら成長することとなります。そういう環境で育つと、大人になってからも現実にもワクワクするようなドラマチックな体験をして心の穴を埋めようとするのです。

 最近よくあるアルバイトの問題行動「バイトテロ」は、ほぼすべてこのタイプだと見ています。普通にバイトしているだけだと世間はかまってくれないから、表面的に目を引くことをやって動画を拡散してしまう。あれは「ヒーローになりたい願望」の現れであり、もっと言うと、幼児が親の愛情をつなぎとめるために困らせることを本能的に行う「試し行動」そのものなのです。

 このタイプの先送りを繰り返す脳には「メイクドラマ法」が効果的です。先ほど説明したように、このタイプの脳は常にドラマを求めているわけですから、それを逆手に取れば、無理なく楽しく先送りをなくすことができます。

 このタイプの先送りは、努力だけではなおりません。たとえば、上司から「企画書を出せ」と言われたら、ありきたりのものを期限内に出そうという考えは捨て、何かドラマを巻き起こす野心的な目標を立てるのです。こうしてワクワクドキドキすることで、心にポッカリ空いている穴が埋められ、渋々ではなく前向きに取り組めるようになります。コツは、今すぐ無性に始めたくなるような良い意味で能天気なストーリーを仕立て上げることです。

 もちろん、通り一遍のものを提出するより、ドラマを巻き起こすものを提出するほうが、はるかに作業量は多くなるため、かえって期限に間に合わないのではないかと心配されるでしょう。しかし、「なんとかなるさ脳」の人は期限に遅れたら、そもそもドラマが台無しになるため、期限はきっちり守れるようになるので安心してください。

失敗するのでは…と心配症の「ネガティブ脳」

「報告書にこんなことを書いたら、上司から大目玉を食らうに違いない…」「プレゼンにこんな資料を出したら、みんなに笑い物にされるんじゃないか…」こうした不安が次々に襲ってきて、結局、一向に作業が進まないというケースも少なくないはずです。実はこうしたタイプの人の脳の中は、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」という最近増えているメンタル面の病気と似た状態になっています。もちろん、失敗するんじゃないかと心配になって先送りするといった程度では、PTSDとは言えません。しかし、脳の働き方という点では共通点が多く見られます。

 さらに、このタイプの先送りをする人は自己肯定感が低く、やればできるという自信が欠如している場合が多い特徴があります。丁寧にカウンセリングを進めていくと、子どもの頃に受験に失敗したとか、スポーツの試合に負けたなど、ネガティブな体験に強いこだわりを持っている場合が多く、これが本人も気づかないうちに小さなトラウマになっていて、先送りグセを生み出す原動力になっているのです。

 失敗のトラウマが脳に残りやすい「ネガティブ脳」の人におすすめな対策は、「デブリーフィング」です。ベトナム戦争のとき、デブリーフィングを行っている兵士のほうが、その後、PTSDが起こりにくいというデータが出たため、メンタル医学でもトラウマを克服するためにデブリーフィングが取り入れられるようになりました。

 重いPTSDの場合は別ですが、ネガティブな感情を心の中に押しとどめるのではなくて、吐き出すことが感情の整理に役立つのです。その手段がデブリーフィングで、失敗したときの感情を表に出す、つまり誰かに愚痴を聞いてもらうのが一番いいのです。

 そういう意味で、サラリーマンの「赤ちょうちん」は大変結構なデブリーフィングになっています。お酒を飲んで愚痴をこぼすのは、メンタル医学的には大正解です。しかし、このタイプの人はそもそもあまり飲みに行きませんし、愚痴をこぼしちゃいけないと思って、むしろ他人の愚痴ばかり聞いあげて、自分はよけいため込んでしまうというのも、このタイプの特徴です。その場合は、必ずしもお酒飲みに行かなくてもいいのです。昼飯をいっしょに食べているときに、それとなく悩みを聞いてもらうといった程度でも、十分に愚痴はこぼせるでしょう。

 また、誰かに聞いてもらわなくても、紙に書きだしたり、スマホに録音するという方法もあります。そうすることで、脳は感情を吐き出せたことをさらに明確に認識できるので、デブリーフィングの効果も高まるわけです。とにかくネガティブなことを心にとどめることなく、全部言葉として吐き出そうと常日頃から心がけておくことが重要なのです。

 これまで4つの脳のタイプを紹介してきましたが、血液型のように自分の脳のタイプが4つのうちのどれか1つに限定されるというわけではありません。先送りしてしまう状況によって、同じ人であっても脳機能のクセが複数のタイプにまたがる場合が多いのです。たとえば、タイプ1の先送りをして、その1週間後にタイプ3の先送りすることは十分ありえます。1つのタイプに決めつけず、今までの“先送り”経験に照らし合わせながら、自分の脳のクセに気づいていただけたらうれしいです。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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