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シャープ15年ぶりのカメラ市場再参入をオリンパスが歓迎する理由

文● ダイヤモンド編集部,土本匡孝(ダイヤモンド・オンライン

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シャープの試作品
国際放送機器展「NAB Show」で披露されたシャープの試作品(ボディー部分のみ)

 スマートフォンの台頭で縮小が止まらないカメラ市場。そんな逆風が始まるはるか以前に早々と撤退していたシャープが、再参入する見通しが強まってきた。

 今月6日から米ラスベガスで開催された国際放送機器展「NAB Show」で試作品(ボディー部分のみ)を披露したのだ。

 シャープは試作品を「小型8Kビデオカメラ」と紹介。高精細な8K対応で、動画メーンだが静止画も撮影可能。見た目はデジタルカメラ風で、早くも一部カメラファンから「ダサい」と不評だが、発売時には動画撮影に適した形状へ変わる可能性が高い。今年中の発売と、4000ドル(約44万円)を下回る価格設定を目指している。

 シャープにとって、これを民生用ビデオカメラと見れば15年ぶり、民生用デジカメと見れば21年ぶりの市場再参入となる。

 シャープ復活を印象付けるとともに、世界で初めて市場投入した8Kテレビ、世界初の商用化を目指す8K監視カメラなどに続き、8Kの商品展開が膨らむ好材料。親会社の台湾・鴻海精密工業もパソコン(ダイナブック)に次いで家電メーカーとしてのラインアップが増え、喜んでいるに違いない。

オリンパスに福音

 シャープの再参入はカメラ業界が活気づくポジティブサプライズ。さらに、参入したカメラの規格がマイクロフォーサーズだった点が二重の驚きとなった。

 マイクロフォーサーズ規格はオリンパスやパナソニックが採用しており、小型軽量が特徴。同じ規格の製品であればレンズに互換性がある。例えばパナソニックのデジカメ(ボディー、レンズ)を買い、その後気に入ったオリンパスのデジカメはボディーのみ買ってレンズは共用にする。つまり節約して複数のカメラを楽しむことが可能だ。

 ただスマートフォンとの差別化という意味で人気が集まるのは、より高画質なデジカメ(搭載センサーがフルサイズ、APS-C)。それらよりセンサーが小さいため一般的に静止画の画質が劣るマイクロフォーサーズ規格カメラの立ち位置は、「何とも中途半端」(業界関係者)になっていた。

 これまでマイクロフォーサーズ規格に踏みとどまっていたパナソニックは、今年3月、ついに拡大中のフルサイズ市場にも新機種を携えて参戦。残るオリンパスの動向が注目されたが、参入を否定していた。同社のデジカメ事業は赤字が続いており、業界では「今更参入する体力もないのだろう」と同情的に見られていた。

 現時点でシャープには自社でレンズ展開する予定はなく、シャープ製品購入をきっかけに、「レンズはオリンパスでそろえる」といった購買動向も考えられる。シャープの市場再参入を一番喜んでいるのは、実はオリンパスなのかもしれない。

(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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