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社会貢献へのハードルを下げる「成果の見える化」サービスとは

文● 藤崎雅子(ダイヤモンド・オンライン

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個人の社会貢献のかたちを変えるかもしれないと期待されています
個人の社会貢献のかたちを変えるかもしれないと期待される「actcoin」の仕組み。iOSアプリは1月末にリリース済みだ

信頼性の高いボランティア情報を網羅、他のボランティアたちや企業・団体ともつながれ、さらに行動するとポイントのような独自コインも付与されるという、ユニークな社会貢献の無料サービスが誕生した。個人の社会貢献活動に新しい息吹をもたらすサービスだ。

社会貢献に新潮流を
もたらすサイトがオープン

「社会に対して何か貢献したいが、何をすればよいかわからない」

 そんな人のための、ボランティア活動や寄付などの社会貢献活動を可視化する無料サービス「actcoin(アクトコイン)」が登場し、話題となっている。

 同サービスは、「より良い世界を作るために 愛と勇気とお金の等価交換を実現する」ことを目指し、ソーシャルアクションカンパニー株式会社が開発。プラットフォームに登録されている社会貢献活動情報をもとに何か行動を起こすと、ポイントのような独自コイン「actcoin」(仮想通貨ではない)が付与される。

 特徴は、社会貢献に関する「3つの見える化」にある。

 その1つ目は、「企業・NPO・行政が募集している社会貢献活動の見える化」だ。

 内閣府の「平成28年度 市民の社会貢献に関する実態調査」によると、ボランティア活動参加を妨げる要因の第2位は「ボランティア活動に関する十分な情報がない」(39.8%)だ。

 そこで同サービスは、NPOなどの活動を支援する日本財団CANPANプロジェクトとの連携によって、信頼性の高い企業・NPO・行政のプロジェクト・寄付情報をプラットフォームに掲載し、「いつ・どこで・どんな社会貢献活動ができるか」を簡単に入手可能とした。これまで「ボランティア活動に関心があっても、どこで情報を得たらよいかがわからなかった」という人たちも、行動を起こしやすくなっている。

 掲載されているプロジェクト情報は、「障がい者スポーツ教室のボランティア」「途上国の教育格差に挑むNGOの活動報告会」「高校生と関わるボランティアプログラム説明会」など多彩だ。

参加者同士のつながりが
活動のインパクトを高める

 2つ目は、「個人の社会貢献の見える化」だ。

 同サービスを通じてボランティアやセミナーなどのプロジェクトに参加すると1時間あたり1000コイン、プロジェクトをSNSでシェアすると100コイン、団体へ寄付すると寄付額の10%分のコインがもらえる。活動すればするほどコインが貯まっていく。また、自分の活動内容の履歴もシステムに蓄積されていくため、あとから振り返ることも可能となる。

2月に環境省と横浜市が主催した「行動に着目した社会問題解決のための官民協働フォーラム」にて、「actcoin」についてプレゼンテーションをする佐藤正隆さん。行政からの注目度も高い

 社会貢献活動は本来、自分のためではなく、困っている誰かのための行動だろう。でも、そんな行動をするたびにポイントがもらえたら、ちょっぴり嬉しい気持ちになり、一層やりがいが持てるのではないだろうか。

 そして3つ目は、「参加者全員で起こすインパクトの見える化」だ。

 同サービス利用者同士は、他のSNSのようにプラットフォーム上でつながることができる。この機能の可能性について、非営利業界特化ITベンチャー経営の経験・実績をもとに「actcoin」開発に取り組むソーシャルアクションカンパニー代表取締役の佐藤正隆さんは、大きな期待を寄せている。

「1人でできることはささやかですが、集団を作って一緒にやっていくことで社会に対して大きなインパクトを起こすことも可能です。個人として利用するだけでなく、ぜひ多くの参加者や企業・NPO・行政とつながってほしいと思います」

ブロックチェーンの技術を活用し
2030億枚のコインを配布

「actcoin」にはブロックチェーン3.0という最新技術が使われている。ブロックチェーンは「仮想通貨のこと」と誤解されやすいが、そうではなく、単に「分散台帳を実現する技術」を指す。技術が進化するなかで金融分野以外への応用も進んでおり、「actcoin」は公益性の高い新たなブロックチェーン活用方法といえる。

 このシステム上では現在、「actcoin」が2030億枚、発行されている。「actcoin」普及の第1フェーズとしては、それを2020年までにユーザーへすべて配布することが目標で、現時点でマネタイズ(収益化)は狙っていない。根本にあるのは、一方が利益を得たらもう一方は同じだけ損をする「ゼロサム」ではなく、みんなが利益を生む「プラスサム」の考え方だ。

「参加するユーザーも、企業・NPO・行政も、誰も損しないように設計しました。2030億枚の「actcoin」配布が完了した時、社会貢献に積極的な人がたくさん増え、社会は少しだけ良くなっているはず。まずはその状態を目指して、『actcoin』の存在価値を高めることに注力していきます」(佐藤さん)

 今年1月末にiOS版アプリをリリースしたばかりで、まだ発展途上にある同サービス。近々PC版も完成予定だ。今後、利用者の声を取り入れながら、新機能を追加するなど充実を図っていくという。

 ユーザーとして気になるのは、貯まった「actcoin」は将来どうなるのか?だろう。

 今後、貯まったコインは、NPOや個人の活動などに寄付できたり、環境や社会に配慮したエシカルな商品と交換できたりするよう開発を進める予定だ。

 通貨も仮想通貨もトークンも、最初から価値があるわけではなく、社会の多くが必要とした時や価値を感じた時、はじめて「価値」が生まれるもの。「『actcoin』も今は無価値だが、将来的に価値を生む可能性がある」と語る佐藤さんは、2030億枚配布完了後の第2フェーズも見据えて準備中だ。

 さて、「actcoin」はどんな価値を生み出すか。それも楽しみの1つとし、まずは利用を通じて「actcoin」を育てていってはどうだろうか。

(藤崎雅子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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