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英EU「合意なき離脱」懸念がメイ首相方針転換でも消えない理由

2019年04月08日 06時00分更新

文● ダイヤモンド編集部,竹田孝洋(ダイヤモンド・オンライン

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追い込まれたメイ首相
メイ首相は自身がまとめた離脱協定案を3度否決され、野党の労働党との協議に追い込まれた Photo:AP/アフロ

 英国のEU(欧州連合)離脱をめぐり、追い込まれていたメイ首相がついに方針転換をした。それまで、かたくなになり、単一市場や関税同盟に残らないとしてきた離脱方針の修正に応じる姿勢を見せた。

 4月2日、穏健離脱派が多い野党の労働党と協議する方針を示し、EUに対して12日の期限を短期間延期するよう求めることを明らかにした。

 3月29日には、メイ首相がEUとの間でまとめた離脱協定案が下院で3度目の否決をされた。4月1日には、下院で四つの代替案の賛否を問う投票が行われたが、過半数の賛成を得る案はなかった。手詰まり感が強まった中で、メイ首相もこだわりを捨てざるを得なかったといえる。

 本稿執筆時点(日本時間4月3日午前)で、予想される今後のシナリオは複数ある。

 労働党との協議がまとまるとすると、離脱後も関税同盟などに残留する穏健離脱となる。労働党の多数の賛成を得て、離脱までの手続きを定めた離脱協定を可決し、EUに穏健離脱の方針を伝えることになる。

 穏健離脱か強硬離脱かは離脱後のことであり、EUは離脱協定の見直しは認めないとしているが、離脱後の英国とEUの関係については柔軟に対応する姿勢を見せており、穏健離脱の方針は受け入れられるだろう。

代替案の賛否票差は縮小

 もちろん、与野党の協議がまとまる保証はどこにもない。まとまらなければ、再び代替案の採決が行われることになるだろう。

 代替案について言えば、反対と賛成の票数差が縮小してきている。関税同盟残留案については、反対276で賛成273の3票差(前回は6票差)だった。穏健離脱の代替案が下院の多数の賛成を得れば、穏健離脱の方向で進むだろう。

 10日のEU首脳会談までに、多数の賛成を得る案がない場合は、どうなるのか。

 方針が固まらないことを理由に、民意を問うために下院の解散総選挙、または国民投票に踏み切る公算はある。方針を決するために長期延長ということであれば、EUも認めざるを得ないと思われる。

 しかし、解散へのハードルは高い。下院の3分の2の賛成を得る必要がある。国民投票も賛同を得られない公算は十分にある。

 また、労働党との協議がまとまっても、保守党の強硬離脱派はその方針を受け入れないだろう。強硬派の閣僚が辞任し、政局がさらに混迷することもある。12日に合意なき離脱を迎える可能性は残っている。

 市場は、合意なき離脱は回避されると楽観視している。その証拠に、ポンドの対ドル相場は、年始以降政局が混乱する中でも上昇基調にある。合意なき離脱となれば、急落は確実だろう。

(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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