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3年ごとの1ヵ月休暇に奨学金肩代わりも!超ホワイト企業に見る働き方改革

2019年04月03日 06時00分更新

文● 真島加代(ダイヤモンド・オンライン

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3年に1度、1ヶ月のリフレッシュ休暇が取得できるなど、驚きの制度を次々導入しています。
3年ごとに1ヶ月のリフレッシュ休暇が取得できるなど、驚きの制度を次々導入している(写真はイメージです) Photo:PIXTA

政府が企業の労働環境改善や生産性向上などを目的に「働き方改革」を掲げてはや幾年…とはいえ、実際に「働き方改革が進んでいる」と胸を張れる企業は少ないかもしれない。そんななか、革新的な働き方改革を実施して成果を上げている、あるブライダル企業に話を聞いた。(清談社 真島加代)

華やかなイメージの裏で
激務をこなすブライダルの立役者たち

 ブライダル業界と聞くと、新郎新婦の幸せをサポートする縁の下の力持ちというイメージのほかに、過酷なサービス業で有給休暇の取得は夢のまた夢…華やかさの裏で激務をこなしている姿を想像する人も多いはず。しかし、ブライダル業界においてスタッフの働き方改革に邁進して結果を出しているのが、ノバレーゼだ。

「ノバレーゼでは『スタッフが幸せでなければ、お客様の幸せをサポートすることはできない』という企業理念のもと、長期雇用や、社員のモチベーションアップなどにつながるさまざまな制度を導入しています。福利厚生制度を充実させて、過去5年間で社員の離職率を7ポイント下げることに成功しました」

 そう話すのは、ノバレーゼ総務人事部長の小高直美氏。同社の取り組みのなかでも注目を集めたのが「有給休暇取得率100%義務化」だ。

「2014年の下半期に試験的に導入し、2015年からは本格的に有給休暇取得を義務化。2013年度は44.1%だった有給休暇取得率が、義務化後の2017年度には約80%を達成しました」

 厚生労働省が発表した「年次有給休暇の取得状況」では、日本人の平均取得率は51.1%。ブライダル業が含まれる生活関連サービス業・娯楽業に至っては36.5%にとどまっていることを見ても、同社の取得率約80%が、いかに大きな数字であるかがわかるだろう(データ参考:「平成30年就労条件総合調査の概況」)。

「有給休暇取得を義務化する前に社員にアンケートを取ったところ『有給休暇を取るのは後ろめたい』という声が多くありました。有給休暇の“後ろめたさ”を払拭するために、有給休暇取得率が未達成の社員が多い部門の部門長は、人事評価の査定対象になることを決定。同時に、部門長が全正社員・契約社員の有休取得希望日をヒアリングして、1年の初めに『休むための年間計画』を立てることを定めました」

 そして、導入した年には、年間計画に沿って「休暇取得達成率」を部署ごとに管理し、3ヵ月に1度、達成率をランキング形式で発表。個人の業務内容はチーム内で共有し、担当社員が休んでいる間も、外部とのやりとりに支障がないように対策を講じている。

「また、新卒社員の研修でも『有給休暇取得の大切さ』をしっかり伝えています。義務化後には『有休を取りやすくなった』『家族と過ごす時間が増えた』などの好意的な意見を社員から聞いています。これからも全社員の有給休暇100%取得を目指して、仕組みづくりをしていく予定です」

 ノバレーゼは多忙なブライダル企業でありながら、他業種でも難しい「有給休暇取得率の向上」で着実に成果を上げる、稀有な存在なのだ。

30日間休暇制度や
奨学金肩代わり制度も!

ノバレーゼ総務人事部長の小高直美氏

 同社では、そのほかにもさまざまな「働き方改革」を行っている。3年に1度、社員がリフレッシュするために30日間の休暇が取れる「リフレッシュ休暇」や、勤続10年を迎えた社員を旅行に招待する「勤続10周年旅行」。2017年には勤続5年以上の正社員のうち、奨学金を返済しているスタッフに最大で200万円を支給する「奨学金肩代わり制度」を実施し、話題になった。

「2018年9月からは、社員の副業を一部認める『パラノバ』の運用をはじめました。本業に支障のない範囲で、社員が社外で収入を得る活動を認めています。副業の内容は人それぞれですが、本業とは関係ない新天地で働くスタッフも多いですね。会社としては、社外での活動を通して視野の広い優秀な人材を育てる狙いがありますが、スタッフの“自分磨き”のサポートもパラノバ導入の大きな目的です」

 副業の条件は、雇用契約を結ばない個人事業主やフリーランスとして活動することのみ。なかには「希少クワガタのブリーダー」として二足のわらじを履く社員もいるという。小高氏は「個人が得意分野を生かしているので、想定よりも副業のバラエティーが豊かになりましたね」と笑う。

 ここで紹介したノバレーゼの取り組みはほんの一部にすぎず、今後も積極的に制度を増やしていく予定だという。そんなノバレーゼが、本格的に職場環境改善に取り組むようになったのは2014年頃。政府が「働き方改革」を推進するよりも以前から改善に努めるようになった背景とは?

まずは制度化することが
改革促進のコツ

「私は2005年に他業種から転職してきたのですが、入社直後はブライダル業界の過酷さを目の当たりにしました。当時は、職業上、土日祝が忙しく勤務時間がまちまちで、結婚や出産などのライフステージの変化で退職を余儀なくされる女性スタッフも多くいました。また、福利厚生制度は充実しているのに使う人がいない、という実情もありましたね。今後、会社が成長するためにも職場環境の改善の必要性を感じたのが始まりです」

 スタッフにとって“働きやすい環境”を模索するノバレーゼでは、「すぐに制度化してみる」ことを実践しているという。

「新制度を導入する際『リスク』や『問題点』を考えて二の足を踏む企業は多いと思います。しかし、当社には『まずはやってみる。やりながら改善していけばいい』という考え方が浸透しているので、ストップがかからないのが特徴ですね。何より、スタッフのみんながとても素直で、チャレンジ精神にあふれた社風も、新制度の導入を後押ししてくれています」

 そして「会社とスタッフの間に信頼関係が築けているからこそ、奨学金返済支援など革新的な試みも受け入れてもらえたのでは」と、小高氏は話す。

制度を作るだけでは
利用者は増えない

 世の企業のなかには新たな制度を作ったものの、社員に使ってもらえないことを嘆くケースも多い。ノバレーゼでは、どのような方法で制度の運用を活性化しているのだろうか。

月に1度配布される、ノバレーゼの社内報『ノバビタ』。勤続10年ハワイ旅行の模様から、福利厚生制度を紹介するコラム、新人紹介コーナーなど、多くのスタッフが掲載され、読み応えのある1冊だ

「毎月1日に発行している『ノバビタ』という社内報に制度を紹介するコーナーを掲載しています。同誌は広報担当者のひとりが、副業制度や福利厚生を利用しているスタッフに取材をして記事化しています。社内報は、制度の周知と同時に、社員のナマの声も伝えることができる、重要な手段になっていますね」

 社内報のほかにも、社内のイントラネットで使用事例を多く公開するなど、あらゆる施策を講じて運用につなげているという。新制度の定着は、一朝一夕にはいかないのだ。そんな同社が、今年1月からスタートしたのが「社員のベビーシッター利用の無償化」制度だ。

「婚礼業界は土日祝の仕事が大半を占めるのですが、育児世代は土日祝日に子どもを預けることができない、という悩みを抱えているスタッフがたくさんいます。育休後の復職ハードルを下げて優秀な人材を確保するためにも、育児と仕事の両立のサポートは必須。そこで、ベビーシッター利用の無償化を導入しました」

 小高氏は「今後は、男性スタッフの育休制度をしっかり整備していきたい」と、意欲を見せる。
 
「スタッフに長く働いてもらって企業の成長につなげるには、個人のライフステージや働き方に柔軟に対応していく必要があります。働き方改革に終わりはないですね」

 ノバレーゼの「働き方改革」は、決して付け焼き刃ではない。社員を大切にする、という確固たる信念を持っているからこそ、成果を出すことができるのかもしれない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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