●Apple Card誰が入会できるのか、という問題
クレジットカードは個人の信用力を背景に審査され、入会できるかどうか、限度額が決定されます。米国の場合は利率も変化します。一方、Apple Cardに課されている条件についてはあまり分かっていません。
米国では社会保障番号(ソーシャルセキュリティナンバー)で個人の信用度が管理されており、自動車や住宅のローン、あるいはクレジットカードを使って適切に支払いがされていれば、スコアは上がっていきます。
米国で暮らしはじめる人はクレジットスコアがないため、なかなかクレジットカードが作れないことが多いです。たとえば日本の航空会社の米国版カードが優遇して作れたりするので、それを作ってあらゆる支払いをそのカードに集約してクレジットスコアを作っていく、といったテクニックがあったりします。
比較的良好なキャッシュバック比率、通常より2%程度低い利率、年会費無料、チタン製カードといった好条件は、今までのクレジットカードの常識で考えれば、相当スコアが高くなければ作れないのではないか、と想像してしまいます。
しかし、恐らくですが、Apple Cardのターゲットはこれからクレジットカードを持つモバイルが前提の世代になるのではないか、と筆者は考えており、米国生活での感覚と矛盾している部分になります。
裏を返せば、そうした「好条件」と「クレジットスコアがまだないターゲット層」という矛盾を乗り越えるからこそ、Apple Cardのビジネスとしての勝算があるのかもしれません。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
この連載の記事
-
第317回
Apple
アップル初のApple Parkでの開発者イベント、初公開の「Loop Building」とは -
第316回
Apple
「Mac Studio」アップルの多様すぎる接尾語について考える -
第315回
Apple
アップル「Mac Studio」登場で生じる、ラインアップへの疑問 -
第152回
Apple
アップル「MacBook Pro」ポート増加は敗北なのか -
第151回
Apple
iPhone分解アートと、Appleが目指す未来 -
第150回
Apple
アップル新型「MacBook Pro」どの構成で買うべきか -
第149回
iPhone
アップル「iPhone 13」4つの魅力 -
第148回
iPhone
アップルiPhoneラインナップから浮かび上がる2つのこと -
第147回
iPhone
アップル製品ラッシュふたたび? -
第146回
iPhone
アップルはiOS 15で「時間の支配権」をユーザーの手に取り戻させようとしている -
第145回
Apple
アップル新型「iMac」驚きの電源 - この連載の一覧へ