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私たちとAzure

Azureでキャリアを拓く ~クラウドに出会った4人の物語~

2019年04月05日 12時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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Azureを武器にフリーランスエンジニアとして独立

 大平かづみ氏は、2019年にフリーランスエンジニアとして独立した。Azureの開発スキルと、IoT領域の知識、PHPなどOSS系言語での開発経験を活かし、現在は様々な企業の開発プロジェクトに関わっている。「私は、組織の中にいるより、プロジェクトメンバーと一定距離をとって仕事をするほうがエンジニアとしてパフォーマンスを発揮できるタイプかもしれないと思って独立しました。今はいい距離感で技術に集中できています」。

Microsoft MVP for Azureのフリーランスエンジニア 大平かづみ氏(写真●曽根田元)

 高校生の頃から趣味でWebサイトを作っていた。「当初はWebデザインを学べる学校へ進学したかったのですが、事情があり大学では情報工学を専攻しました。結果、今の本職であるプログラミングを学ぶことができました。大学では、Web系の技術としてASP.NETを習いましたが、私はOSS系言語のほうが需要があると思って、独学でPHPも書いていました」。大学卒業後、システム開発会社の組み込み系エンジニアとして、携帯電話のミドルウェア開発に6年間従事した。大平氏のいた当時のモバイル開発の現場では、新機種のリリースサイクルに合わせて半年ごとに担当プロジェクトの異動があったという。スキルや実績が蓄積されない環境に焦りを感じ始めていた時期、先輩エンジニアに誘われて参加したコミュニティ勉強会「JAWS-UG/JAZUG合同女子会」で初めてクラウドに出会う。

 「クラウドのテクノロジーやコミュニティの熱量に魅了されました。以降、趣味でAWSをさわるようになりました。Azureにも興味はあったけど当時はまだMacから使えなかったので。その後、プログラマがコードで操作できるPaaSにフォーカスするようになり、AzureやBluemixを使うようになりました」。

 クラウドを使うようになって、エンジニアコミュニティに積極的に参加するようになった。「初心者のときにコミュニティでたくさんクラウドを勉強させてもらったので、ご恩返しで、自分も登壇してアウトプットするようになりました」。それによって、大平氏のキャリアは大きく動き出す。コミュニティで知り合った人脈で何度か転職し、AzureやAWSを基盤としたPHP開発、Azure上でのHPC環境構築を経験。また、コミュニティ活動が評価されて、MicrosoftのAzure MVPを受賞した。

 すべて順風満帆だったわけではない。「Ruby言語の習得に挫折したり、転職先のクラウドインテグレーターで直接技術に関われない部署に配属されてしまったり、クラウドの世界に入ってから落ち込むことも多かったです。でも、PHP言語は独学で習得できた、組み込み出身だからIoTがわかる。そういう小さな自信と、Azure MVPとしてのクラウドへの自信を掛けあわせてみたら、自分にはちゃんと強みがあると思えて、前を向くことができました」。

 OSS系言語、IoT、クラウドを強みとするエンジニアとして独立した大平氏。「最近、おばあちゃんになるまでコードを書いて生活していたいという思いが昔より強くなってきました」と話す。「私はフルスタックなエンジニアではないけど、コードが書けてクラウドを知っていることで今のところ十分に仕事があります。クラウドに出会って、この先も好きな働き方で好きな仕事が続けていけそうだと、明るく展望しています」。

Azureが私を本物のデザイナーにしてくれた

 クラウドは、エンジニア以外のキャリアにも変化をもたらしている。福岡のIT企業オルターブースで働く松本典子氏は、Azureが使えるデザイナーだ。「コードは一切書けません」という松本氏だが、AzureポータルのGUIからAzure App ServiceなどのPaaSを操作して、Webサイトのフロント、バックエンド、インフラまで構築する。ノンコーディングiPaaS(Logic Apps)を使って、外部システム連携システムやAIを実装するWebシステムの設計・構築も得意とするところだ。

オルターブース デザイナー 松本典子氏(写真●国松あずさ)

 学生時代は、SEやプログラマを志望して専門学校へ通っていた。しかし、どんなに勉強してもプログラミングが理解できず情報系の国家資格はすべて不合格。「このままだと就職は無理だと学校側にサジを投げられて、デザイナーに方向転換しました。幼稚園から小学校まで通っていた絵画教室の先生に“君は将来デザイナーになるかも”と言われたことをふと思い出して、プログラマに向かないならデザイナーになろうと」。印刷会社にデザイナーとして新卒入社し、IllustratorやPhotoshopの使い方、デザインの基礎を現場で身に着けた。その後、いくつかの会社でWebサイトや印刷物のビジュアルデザイン制作などを担当しながら、デザイナーとしてのキャリアを重ねていく。やがて、デザイナーとして独立することになった。

 「独立するとき、福岡は敏腕Webデザイナーが多くいる地域なので、他のデザイナーと差別化できるものがないかと探しました。そこで出会ったのがAzureです」。レンタルサーバーを使ってWeb制作を手掛けるデザイナーはいるものの、クラウドで高トラフィックに耐えるWebサイトを構築したり、クラウドならではのアーキテクチャでWebをデザインできるデザイナーは多くない。学生時代にプログラミング習得に挫折した苦い経験がある松本氏だが、Azureはコードを書かなくても実現できることが思いのほか多かった。「App ServiceやAzure Blob StorageはWeb制作者にとっても使いやすいサービスです。Logic Appsを一緒に使えば、サイトの多言語対応や様々な処理の自動化など、これまでエンジニアによる開発が必要だったものも非エンジニアが構築できてしまいます」。

 ノンコーディング開発にこだわる一方で、クラウドのシステム設計手法やアーキテクチャパターンについては専門的な内容を猛勉強した。「デザイナーは綺麗なビジュアルを作るセンスの職業と思われがちですが、実際は、レイアウトやカラーなど視覚的な作用を使って“問題を解決する仕組みを作る”のが仕事。エンジニアと同様にシステム設計のプロなんです」。

 Azureと出会ったことで、はじめて“デザイナーの本来の仕事”を遂行する力を手に入れたと感じているという。「デザイナー視点のシステムを自ら設計して構築できるようになりました。エンジニアと協働する際も、言われたものを作るだけのデザイナーではなく、システム開発についての共通認識をもってデザイナー側の考えを伝えることができるようになりました」。また、これまでWeb系デザイナーばかりだった人脈が広がり、エンジニアとディスカッションする機会が増えた。「世界が広がり、デザイナーとしても成長している実感があります」。

 松本氏は現在、MicrosoftのAzure MVPとして、Web制作者視点でのAzureの使い方や、非エンジニア向けのAzureのノンコーディング開発について情報発信を行っている。また、短大の非常勤講師として「Webデザイン論」を教えている。「クラウドを使えばノンコーディングでも高度なシステムが開発できることが、まだ知られていません。システム開発のスキルは、今後あらゆる職業の強みになる。私のような非エンジニアにももっとクラウドを使ってほしいと思っています」。

(提供:FIXER)

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