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JAPAN INNOVATION DAY 2019第46回

スタートアップと産学官が登壇、2030年のHealthTechを考えた「Japan Innovation Day 2019」レポート

“データドリブン”化する医療業界、HealthTechと日本の課題は

2019年04月01日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 平原克彦

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すでに70%の新薬は“スタートアップ発”、大学とVC、製薬企業をつなぐ取り組み

 登壇者それぞれが現在取り組んでいる、HealthTech市場拡大やスタートアップ育成の取り組みも紹介された。

 筑波大の小栁氏は、現在の取り組みについて「ヘルスケアスタートアップを量産するために畑を耕している」と説明する。具体的には、アカデミア(大学/研究機関)とベンチャーキャピタル、製薬企業の間をつなぎ、新薬の創出を促していくプラットフォーム「SPARK(筑波大学ではResearch Studio powered by SPARK)」を日本国内で普及推進している。

筑波大学 つくば臨床医学研究開発機構 教授の小栁智義氏。創薬/再生医療ベンチャーの立ち上げにも関与した経歴を持つ

 小栁氏が示した市場データによると、米国では2008~2017年の10年間で発売された新薬の「70%」が、スタートアップなどの新興企業によって臨床開発が行われたものだったという。つまり新薬の開発が(前述したブロックバスターのような)大企業中心のものではなくなり、スタートアップ中心に変化してきているというわけだ。

 SPARKプログラムは2006年にスタンフォード大学で始まった、グローバルな「ヘルスケア領域のアクセラレーションプログラム」のような取り組みだ。具体的には、アカデミアで生まれる「新薬のシーズ(アイデア/発見)」と、医療現場で実際に医薬品として使われる「臨床化」の間にある大きなギャップを埋めるために、アカデミア~スタートアップ~製薬企業をつなぐ取り組みを支援している。すでにIPOしたスタートアップも出ており、日本でも5年ほど前から参画しているという。

 「早いスタートアップの場合、5年くらいでIPOしている。創薬に10年ほどかかるのは変わらないが、最終製品(医薬品)が出来ていなくても、製薬企業との提携といったディールが何本かあると、収入として数十億になる。そこでIPOをする」(小栁氏)

SPARKプログラムの概要。新薬のシーズを持つ大学(アカデミア)をVCなどにつなぎ、臨床化段階まで育てることを支援する

「大手製薬企業が仕事をするためには、バイオベンチャーの育成が不可欠」

 ジョンソン・エンド・ジョンソン イノベーションの楠淳氏は、現在の取り組みについて「日本のテクノロジーを売り込むセールスマン」だと紹介する。同社がグローバルで展開する「JLab(Jラボ)」などのイノベーションネットワークを通じて、日本のアカデミアやスタートアップとの協業でシーズを育てている。

ジョンソン・エンド・ジョンソン イノベーションの楠淳氏。製薬企業数社で創薬研究に従事した後、アカデミアとの共同研究(基礎研究)を担当。そののちに現職

 楠氏は「米国ではすでに、バイオベンチャーが育った結果として、はじめてわれわれのような大手製薬企業が潤う、仕事ができる」という構図が出来上がっていると説明する。前述の(小栁氏が示した)データのとおり、新薬の多くが“スタートアップ発”になっているからだ。

 その動きに対応して、日本でもバイオベンチャーを育成していくのが楠氏の役割だ。バイオベンチャー数は取り組みを始めた5年前と比べて増え、特にこの1、2年は急速に増えており「肌感覚では5倍くらい」になっていると楠氏は語る。ただし、米国や中国に比べるとまだまだ少なく、さらに取り組みを強化していくと述べた。

 「日本はサイエンスが強いと言われて久しいが、一方でマーケタビリティ(市場性)が弱い。われわれは(取り組みを通じて)そこを助けたいと考えている。国内のバイオベンチャー数、特許知財数、雇用数を増やすことで、最終的には患者や消費者のQOL向上が見込めると考えている」(楠氏)

国別の「バイオベンチャー起源の医薬品開発品目数」データ。現状ではやはり米国が圧倒的にリードしている。また、最近では中国の伸びも著しいと楠氏は説明した


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