目標は未達も今後に変更なし
協業やオープンイノベーションにより、新たなプリンティングサービスを創出する考えも示した。
「低コストで大量に印刷でき、高い耐久性をもつ大容量インクタンクプリンターは、メンテナンス回数が少なく済むなどの利点がある。このような特徴を活かして、無人のキオスクで、スマートフォンからSNS経由で写真を印刷するなどのプリントサービスに利用されている。
今後、パートナーのサービスやアイデアをもとに、モバイルクラウドサービスのプラットフォームであるEpson Connectを活用し、協業やオープンイノベーショを進め、新たなプリンティングサービスを創出し、印刷の社会インフラ構築に寄与したい」とする。
これまでのプリンターの枠を超えたサービスの創出に臨む考えを示す。
一方で、残る3つのイノベーションについては次のように示す。
ビジュアルイノベーションでは、レーザー光源エンジンを活用した高光束モデルのラインアップ拡大やライティングモデルによる空間演出需要の創出、これまで手つかずだった小型プロジェクターの商品化などにより、新市場の開拓を進める。
ウエアラブルイノベーションではスマートウォッチよりも、エプソンの独創技術を生かせるアナログウオッチ領域に経営資源を集中。
ロボティクスイノベーションでは、協業を視野に入れた商品力とソリューション提案力を強化。AIの活用による使い勝手の向上や、ヒト協調市場への参入などにより、将来の主柱事業に向けて成長を加速させるという。
第1期中期経営計画の目標は未達となった。第2期中期経営計画の目標は、為替前提は異なるものの、売上収益、事業利益は、第1期中期経営計画で掲げた目標に再度挑戦することになる。ROS目標は10%から8%に引き下げる。だが、Epson 25で掲げた2025年度の目標には変更がない。
碓井社長は「Epson 25達成に向けた進捗に遅れがあることについては忸怩たる思いがある。従来のやり方だけでは不足している部分も多かったと反省している」としながらも、「第1期で仕込んだ基盤は確固たるものが築けた。今回の計画では、環境変化への的確な対応や執行スピードの向上に取り組み、第3期に向けて収益力を回復するという強い意志を込めた」とする。
第3期中期経営計画のテーマは、「高収益体質の確立」である。それに向けた加速がどこまでできるかが、第2期中期経営計画において注目されるポイントになる。
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