■ストリーミングが権利者団体に打撃か
これまで、権利者団体はオーディオ用CD-Rなどが売れれば、それだけ補償金を得られていた。しかしここ最近、わざわざCDをレンタルしてCD-Rにコピーするという人は相当、減少している。
時代はすでに音楽のダウンロード配信からApple MusicやLINE Musicといったストリーミング配信に移行しつつある。
権利者団体にとってみれば、黙っていても補償金が入っていたにも関わらず、ストリーミング配信が中心となれば、そうした補償金も減少していく。「過去には40億円程度の収入があったが、いまでは3千数百万円程度に落ち込んでいるようだ」(業界関係者)と見られており、権利者団体にとってみれば死活問題なのだ。
そこで、新たな補償金を確保しようと動き出したのが「対象を拡大する」という戦略だ。
CD-Rだけでなく、iPodやウォークマンなどの専用機器に「補償金」を積めば、権利者団体の収入が増える。そこで権利者団体が水面下で、補償金を載せられるように動いているというわけだ。
「iPodやウォークマンも昔に比べれば人気は下火であり、さほど影響はないのではないか」という見方もできるが、仮に専用機が対象となった場合「将来的にはスマホやパソコンなどの汎用機も補償金の対象にしよう」という議論につながる恐れもある。
結果、音楽や録画データを保存できるあらゆる機器が補償金の対象になることも考えられる。スマホやパソコンを販売する際、補償金を載せるということは、消費者はそれだけ値上げされた製品を買わざるを得なくなる。
我々消費者が補償金の負担をさせられないよう、今のうちにこの流れを食い止める必要があるのだ。
この連載の記事
-
第196回
トピックス
F1の裏に“レノボ”あり 500TBのレースデータを高速処理 -
第195回
トピックス
格安スマホ、キャリアより「シンプルで安い」とふたたび注目 -
第194回
トピックス
中国スマホメーカー、日本への攻勢強める 格安折りたたみスマホで勝負 -
第193回
トピックス
ドコモが狙う“スマホの次“ iPhoneから「Vision」の時代へ -
第192回
トピックス
KDDI「povo」世界進出へ “黒子に徹する”新ビジネスとは -
第191回
トピックス
スマホ基地局を安くする ドコモとNECが世界展開する「オープンRAN」とは -
第190回
トピックス
KDDI対ソフトバンク “快適な5G”競争に本気出す -
第189回
トピックス
ドコモはユーザーの期待を裏切らないよう、品質改善に資金をつぎ込んでいくべきだ -
第188回
トピックス
楽天・三木谷氏、モバイルの次は“AI” アマゾンとの違い強調 -
第187回
トピックス
能登半島地震、携帯キャリア“異例”の共同会見 ライバル同士が手を取り合い、復旧活動する時代に? -
第186回
トピックス
ソニーのXRは圧倒的に解像度が高かった アップルと違い、クリエイターに特化した作りに - この連載の一覧へ