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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第503回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー サーバー事業が現役のIBM

2019年03月25日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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2017年にリリースされた現行モデル
POWER9

 さて最新の物が、2017年にリリースされたPOWER9である。まず基本的な特徴が下の画像だ。24コア構成で120MBの3次キャッシュeDRAMと48レーンのPCIe Gen4、さらにCAPI 2.0対応I/Fなどを搭載、総トランジスタ数は80億個に達している。

これはスケールアップ向けのPOWER9ダイ。ついに1ダイあたり24コアを集積することに。製造プロセスはGlobalfoundriesの14nm FinFETプロセスである

 ただこれはあくまで最大構成であり、しかも実際にはいろいろとバリエーションがある。

用途別にコアとSMT、周辺回路の構成を組み替えているのがわかる。8way SMTもVMを多用する環境はともかく、Linuxサーバー向けとしてはやや多すぎたらしい

 上で24コア、と書いたがそれぞれのコアは4way-SMTに対応する形になっており、8-way SMTの場合には2コアがまとめて動作するので、見かけ上12コアとなる。なんかAMDのBulldozerを彷彿するような構成である。

この2つはダイナミックに切り替えられるわけではない模様。また4-way SMTの構成の場合、2つのコアで2次キャッシュを共有するのは機構上仕方がないだろう

 命令パイプラインにも大幅に手が入り、大分パイプライン段数が減った。

パイプラインを減らした理由の1つには、14nm FinFETプロセスの素性が良く、パイプラインを短縮しても動作周波数をそれなり(4GHz近辺)に確保できる、というあたりがあったものと思われる

 POWER9を搭載した製品は、2017年12月に発表されたIBM Power System AC922が最初のものである。

 これは“Accelerated Compute Server”と呼ばれるが、要するに上で書いたSummit/SierraというHPCシステム向けのベースとなるシステムで、1台のシャーシに16/18/20/22コアのPOWER 9プロセッサーを2つと、NVIDIAのTesla V100を2~6枚装着できる構成になっている。

 これに続き、2018年にPower System S9xx(スケールアウト向け)、L9xx(Linux向け)、H9xx(SAP HANA向け)/E9xx(スケールアップ向け)と多数のラインナップが用意されており、現在も販売中である。

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