プロセッサーの構造を大幅に変更
プロセッサーの構造そのものが大幅に変わるのは、次のSystem z10である。当初このSystem z10のCPUはIBM z6と呼ばれていたが、最終的にz10プロセッサーとなっている。なぜz6だったかというと、POWER6と設計情報をだいぶシェアしているためだ。
コアは4GHzオーバー(最終的には4.4GHz)で動作し、それぞれ独立した2次キャッシュを持つ構造で、1ダイあたり4コアの構成となる。
画像の出典は、IBM z6 - the next-generation mainframe microprocessor
ちなみにPOWER6との比較が下の画像で、コンポーネント(ラッチとかSRAM、レジスタファイル)の論理構造や物理構造のほか、基本的なパイプラインの「考え方」が共通とされる。
画像の出典は、IBM z6 - the next-generation mainframe microprocessor
その一方で、そもそも命令セットが異なるので、当然ダイは異なる。またz6は1ダイに4コアの構成だったが、POWER6は1ダイあたり2コアの構成である。ただ命令セットが異なると言いつつも、さすがにCISCをそのまま実装するのではなく、CISCの命令セットをデコード段で命令変換をかけてRISC風にし、これを処理するという昨今のx86と同じ実装方式になっている。
パイプラインは14段であるが、POWER6が7命令同時発行のスーパースカラー+SMT(Simultaneous Multithreading:同時マルチスレッディング)という構成なのに対し、z6はもう少し控えめな構成で、SMTもサポートされていない。その代わりPOWER6と比較しても圧倒的に充実したRAS機能が搭載されるという具合に、狙いどころが明確に異なるものに仕上がっている。
このz6(のちにz10に改称)プロセッサーを搭載したSystem z10 Enterprise Class(EC)は2008年2月に発表された。プロセッサ数は最大64に増強され、z990ベースのシステムと比較して1.5~1.6倍高速とされた。
また同じ2018年の10月には普及帯向けとして動作周波数を3.5GHzに絞り、プロセッサー数も減らしたSystem z10 Business Class(BC)も追加されている。
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