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「メンタル」の相談を会社に知られず相談できる新サービスが登場

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身体の悩みだけでなく、仕事や人間関係、家庭内の悩みに関する相談も受け付けている。
ほぼすべての診療科目に対応しているが、特に多いのはメンタル系の悩みだという(写真はイメージです) Photo:PIXTA

従業員50人以上の事業所には産業医を置くことが義務付けられているが、従業員側は相談内容を会社に知られたくないなどの理由で、利用はなかなか進んでいない。そんな中、会社を通さずに直接、メールで産業医に相談でき、相談したことも会社に知られずにすむという新サービスが登場した。

匿名で産業医に
メールで相談できる

 今年4月に「働き方改革関連法」が施行される。長時間労働の是正や有給休暇の消化義務、高度プロフェッショナル制度の新設など、ニュースで耳にされた方も多いだろう。この制度の中には、「産業保健の強化」も盛り込まれている。平たく言うと、職場の「健康経営」を促進することが義務づけられているのである。

 具体的には、過労死やメンタルヘルスの対策、病気になった場合の治療と仕事の両立支援。これらを企業に義務づけることになる。大手企業の社員が過労で自殺に追い込まれ、裁判になったニュースも記憶に新しい。そういった職場環境を改善していくための制度ともいえる。

 企業には、従業員の相談窓口として「産業医」がいる。労働安全衛生法により、従業員50人以上の事業所には、産業医を置くことが義務づけられている。

 しかし残念ながら、産業医がいても、利用している従業員は少ないのが現状である。理由は、「業務時間内に面談をするのがむずかしい」「会社の担当者を通して予約を取らねばならない」「相談していることが会社側に知られて、仕事に影響が出るかもしれない」など。働く側がこんな不安を抱いているため、産業医の利用を躊躇してしまうのだという。

 こういう状況を改善しようと、2018年11月に始まったサービスがある。「ELPIS-ケアーズLite(エルピスケアーズライト)」だ。

 これは会社を通さずに、従業員が直接産業医に相談できるサービスである。完全匿名制なので、名前や相談内容が会社側へ知られる心配はない。どのような仕組みになっているのか、運営会社であるメンタルヘルステクノロジーズの代表取締役、刀禰真之介さんに取材をした。

「ELPIS-ケアーズLiteは、従業員が企業IDを使って外部の産業医・専門医に相談できるサービスです。やり取りはメールですので、予約は不要。いつでも相談が可能で、専門の医師が回答を返信します。匿名性保持のため、会社のメールアドレスではなく、個人のアドレスを使ってもらっています。料金に関しては、従業員が利用した都度、費用が発生し、会社側に請求が行くという仕組みです。その際も誰がどんな相談をしたのかは、会社は一切知ることができませんので、従業員の皆さんが安心して相談ができるプライバシーが守られた仕組みになっています」

従業員のメンタルヘルスへの
意識はまだまだ低い

 これまでの同種のサービスは、月額の定額制が大半だった。そのため従業員が利用しない場合でも料金が発生してしまうという問題があった。それを都度課金にすることで、企業側のコスト負担を減らすことができるという。

 ELPIS-ケアーズLiteは、ほぼすべての診療科目に対応しており、医師からは24時間以内に返信が届く。その内容を見て自分で対策を講じたり、病院・クリニックに行ったりするなどの判断を行う。

「身体の悩みだけでなく、仕事や人間関係、また家庭内の悩みに関する相談も受けています。ご本人だけでなく、ご家族に関する相談やご家族の使用も結構です。最近の風潮を反映してか、メンタル関連の悩みを相談される方が多いようです。メンタル系に関しては他社の相談サービスと比べたら、弊社は割安だと自負しています」

 昨年11月に始まったばかりのサービスだが、すでに大手企業が導入しており、現在約30社が検討中である。

 厚生労働省は、「労働者の心の健康保持増進のための指針」の中で、企業の健康管理に関して、「4つのケア」を提唱している。少し説明すると、まずは「セルフケア」。これは従業員が自分のストレスに気づき、それを予防すること。企業は従業員を支援する義務がある。次に「ラインケア」。管理職が職場の環境を常に把握し、改善に努めること。また部下の相談に応じることも重要視している。

 そして「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」。名称は複雑だが、要は企業の産業医や保健師、人事労務管理スタッフが行うケアのこと。そして最後は「事業場外資源によるケア」。会社以外の専門的な機関や専門家を活用し、その支援を受けることである。
 
「厚労省は企業のメンタルヘルス不調の予防を提唱していますが、実行している企業はまだ非常に少ないのが実情です。そもそも認知されていない状態です。私たちは、4つのケアを広めていくと同時に、どんな企業でも、従業員が気軽に相談できる窓口を作る支援をしていきたいと考えています」

 従業員が心身ともに健康であることが、企業の根幹と言って良い。こういったサービスを活用し、健康経営を実践することこそ、企業が最優先に行うことではないだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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