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3DCG制作ではスレッド数の多いRyzenが有利!?

3DCG制作スタジオ「SAFEHOUSE」がTSUKUMOのG-GEARを 選んだ理由とは︖

2019年03月12日 11時00分更新

文● 飯島範久 編集●ジサトラ ハッチ

提供: TSUKUMO

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日本とアメリカとでは考え方がまったく違う

 リアルタイムレンダリングやハイクオリティなCGモデルの制作に特化した映像制作スタジオ「SAFEHOUSE」。

 まだまだ海外との開きを感じる3DCG業界において、海外の映像制作会社での経験を活かし、今年の1月に設立した。設立に至った経緯と、制作に必要な機材の条件について代表取締役社長の由良浩明氏と取締役の鈴木卓矢氏にお話を伺った。

 新御茶ノ水駅にほど近いオフィスは、まだ設立して間もないため機材の箱が部屋の片隅に山積みになっていた。出迎えてくれたのは、会社を設立した代表取締役社長の由良浩明氏と取締役の鈴木卓矢氏の二人だ。

代表取締役社長兼プロデューサーの由良浩明氏

 由良氏は、10年ほど前にBlizzard Entertainmentのゲーム『ディアブロIII』の開発に音楽制作で関わっていて、その時出会ったのが鈴木氏だった。しかし、出会って間もなく、2009年にBlizzardでの制作を終え日本へ帰国。その後は国内を中心に音楽制作のプロデュースを行なっていた。

 一方鈴木氏は、大学を卒業して株式会社スクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社。その後海外で働きたいため渡米しBlizzardへ。由良氏が帰国した後も留まり2014年に帰国。日本で再び由良氏と出会い、なにか一緒にやろうという話はしたものの、明確な目的がなくすぐには実現しなかったという。

 CG制作において鈴木氏がBlizzardでの一番影響を受けた大きな点はアーティストの思考だったっという。「今までの考え方とまったく違いました。BlizzardではいちアーティストがCGをテクノロジーとして扱っているというよりも、いちアーティストでもCGをアートディレクターと同じような目線でエンターテインメントとして使っている感じ」と表現する。

 Blizzardで培った経験は、日本で働いてたら絶対に学べないことだと語る鈴木氏。「アートをロジカルに捉えているんです。例えば『これ格好いいな』という印象は、個人が思うことじゃないですか。でも、Blizzardでは、それがなぜ格好いいのかということを分析していて論理的に説明できるんです。そして、所々にそういう格好いい部分を意図的に入れておくことで、人は無意識に映像見てるんだけど、『格好いい』って思わせるような作り方をしています」

 その経験を日本のクリエイターに伝授すべく、帰国後は背景モデリングセミナーを開いて3DCGにおけるエンターテインメント性を教えているという。

取締役でありモデリング・スーパーバイザーの鈴木卓矢氏

 Blizzardでは制作する環境もまったく違っていたそうだ。「アーティストが一番いい環境で制作できる機材が常に揃っていた点は同じですが、なにより日本のブースタイプと違ってオープンスペースになっていて、隣でやってる人の作業が見られるんです。Blizzardのすごいところって、自分の技術をみんなに共有するところですね。しかも、仕事中に教えてもらえたりするんです」(鈴木氏)。

 そこに時間を取る事は短期的には会社にとってデメリットでも、それによって社員が成長すれば将来的に会社のメリットになるという考え方なのだろう。

「しかもBlizzardのやり方はロジカルなので応用が効くんです。感覚的に教える事の多い日本では、経験則でしか育たない事が多いので、5年間学んでも、同じレベルになるには5年かかります。でもBlizzardで経験した教え方なら5年かけて覚えるものを1年2年で覚えられるので、すごく教え方としては合理的なんです」(鈴木氏)。

 鈴木氏もBlizzardで働きはじめて2年ぐらいで、大きく成長したという。制作スキルだけでなくアートスキルも加わったそうだ。由良氏も「音楽的な表現になりますが、日本の先生は、『山のように』とか『海のように』と表現するんです。でも海外の先生は、『弱い』と『強い』、『長い』と『短い』だけで表現しなさいと言われます」。

「そうですね。CGに関しても「もうすこし小さく」と言うのではなく「10%小さくして」と言われます。何でそれがいいのかって、僕はずっと質問するようにしていたんです。そうすると、ちゃんと答えが返ってくるんです。でも日本だと、明確な指示をしなかったり、受け手も説明を求めずに、言われるがままな事が多いです。わからない事を聞き返す事がNGというような風習を感じる気がします」(鈴木氏)。

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