もう会えない猫もいる
一期一会なのがこの連載である
続いて2010年は珍しく可愛い子猫写真。場所は箱根。芦ノ湖畔で発泡スチロールの箱の中に2匹並んで入ってたのだ。別の雑誌の取材というか撮影で行ったのだけど、猫と出会ったのでちょっと撮らせてもらった。カメラはニコンのD7000。これはよい一眼レフだった。
6枚目は2012年、杉並区のとある商店街で、当時は猫に会える商店街として(わたしの中で)有名だったのだ。今はもうなかなか出会えないけど。ソニーのNEX-5Nを地面すれすれに置いて、道ばたで寛ぐ姿を撮影したもの。通行人がいい感じで映り込むタイミングを見計らって撮影した。
同じ2012年の写真。写真だけを見ながら選んだらなぜか2012年ものが多かったのである。こちらは都心も都心。東京都中央区。都心部でも古い住宅が残る区画にはときどき猫が棲息しているのだ。大通りから少しはずれた路地に水の入ったペットボトルが並んでたのである。ちょうどその前に猫がいて、どうするのかなと思ったら、気にせず歩いて行ったのだ。
昔、水の入ったペットボトルを猫は嫌う、という都市伝説が流行、いろんなところに置かれたのだった。効果はないんだけどね。ただここの場合、猫よりも壁沿いの駐輪を嫌ったんじゃないかと思わないでもない。カメラはオリンパスのE-M5。この頃からわたしの中でミラーレス一眼が主流になっていくのである。
2012年ものをもう1枚。同じくE-M5で撮った店前猫。場所は神奈川県鎌倉市。開店前のおそばやさんだったか、扉の前に白黒の猫がいて、その奥にお店の人がくつろいで談笑していて、その光景がいいな、と思って撮った記憶がある。街の猫は人との共存してはじめて存在できるわけで、写真に人の影がはいるだけでそれが際立つのである。野生の猫はいない、ただ飼い主を持たないイエネコがいるだけなのだ。
お次は2013年もの。1枚は東京都文京区。古いビルとビルの間、人は入れない、というか勝手にはいったらダメな狭い隙間に猫がいたのである。正確にいえば、ビルとビルの隙間があり、人が中に入れないよう扉があり、その扉の下の隙間から猫が入っていくのが見えたので、扉の下にカメラを置いて撮ったもの。
え、ばれた? って感じの表情と、超ローアングルならではの構図が気に入った。カメラはオリンパスのコンパクトデジカメXZ-2。なかなか良いカメラだったが後継機が出なかった。
最後は2014年。広島県福山市の鞆の浦のはずれの高台にあるおうちの屋根の上にあるバルコニーというか、洗濯物干し場? 奥に海と古い神社が見える非常によい散歩路地なのであるが、このときは屋根の上に猫がいたのだ。散歩しているわたしに気づくと、ととととと屋根を歩き、ぴょんとこの物干し場に飛び乗ったのである。ありがたや、である。猫に似合う場所にちゃんと猫がいてくれることって希だから。
海の向こうに島がうっすらと見えるのが瀬戸内海ならではでよい。
そんなわけで、なるべく古い猫写真を中心に振り返ってみた。こうしてみると、今年もまた新たな猫との出会いを求めて新しいカメラを手に散策にでかけたくなりますな。そんな感じで今後ともよろしくお願いします。
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老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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