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「猥談バー」に出資者殺到!クラウドファンディングが開く新境地

2019年03月02日 06時00分更新

文● 松嶋千春(ダイヤモンド・オンライン

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猥談バーをオープンした佐伯ポインティ氏
およそ2ヵ月で700万円を集め、「猥談バー」をオープンさせた佐伯ポインティ氏

日本でも徐々に浸透しつつあるクラウドファンディングだが、先日は会員制「猥談バー」なる店がオープン資金の出資を募り、2ヵ月間弱で700万円もの資金を集めたという。この猥談バーのオーナーである佐伯ポインティ氏にクラウドファンディング成功のための戦略を聞くと同時に、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」に、リターンのトレンドや出資が集まるプロジェクトの傾向も聞いてみた。(清談社 松嶋千春)

会員制猥談バーの出資戦略
2ヵ月で700万集まった!

 ネット上で出資者を募るクラウドファンディングは、金銭的リターンのない「寄付型」、金銭的リターンが伴う「投資型」のほかに、見返りとしてモノやサービス、イベントに参加する権利などを得られる「購入型」に大別される。近年、この中で台頭しているのが「購入型」だという。

 佐伯ポインティ氏がオープンした「猥談バー」のクラウドファンディングも、この「購入型」にあたり、出資者は「猥談バーの会員になれる権利」を得ることができる。

「猥談バー」とはその名前の通り、オープンに猥談を楽しむための店。かなりマニアックな形態であるが、およそ2ヵ月間で700万円もの資金を集めたというから驚きだ。佐伯氏は、どのような戦略で出資を募ったのか。

「出資募集をかける際、最後まで迷ったのが目標金額の設定です。当初はストレートに開店に必要な金額250万円で募集をかけるつもりでしたが、クラウドファンディングに詳しい友人の助言で50万円に設定しました。『猥談バーのクラウドファンディングは購入型だから、上限もなく、欲しい人が買うから目標金額を設定するのにあんまり意味はないよ。日本人は寄付とか募金の文化がまだ希薄なので、250万円募集して『まだ足りません!お願いします!』と言うより、50万円に設定して『1日で目標100%を超えたプロジェクト』にするほうがいい』とアドバイスされたんです。目標金額を200万円減らすのはめちゃくちゃ不安だったけど、確かに自分だったら後者のほうが気になると思ったんです」(佐伯ポインティ氏)

 ふたを開けてみれば、一晩で100万円、3日間で200万円を超え、目標金額を大幅に超える700万円もの出資金が集まった。複数あるリターンのなかでは、会員権に人気が集中したそうだ。

「会員は現在500人ぐらい。会員権というクローズドなリターンだけじゃなくて、猥談バーステッカーや、僕が編集している性癖を取材する週刊メルマガのまとめなどのリターンも用意したほうがいいとアドバイスしてもらい、ラインナップに加えました。また、お客さんとしてだけじゃなくて、猥談バーのバーテンダーや1日店長になれる権利にもたくさんの応募があって、今も手伝ってもらっているんですが、みんな猥談のキャッチボールに積極的ですごく助かってます(笑)」(佐伯氏)

相撲部部員が引っ越しをお手伝い!?
ここでしか得られない特別感がキモ

 一見、マニアックに見える業態でも、潜在的なニーズを掘り起こせる可能性があるのがクラウドファンディングというわけだが、では、他にはどのようなものが募集されているのか。猥談バーのプロジェクトを担当したクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」の茅島直(すなお)さんに、実際にあったユニークな事例を紹介してもらった。

「『相撲部の部員があなたの引っ越しを手伝います』というキャッチーなものから、規模や金額が壮大なものまでさまざまです。たとえば、堀江貴文さんの宇宙開発プロジェクトのひとつ『1000万円でロケットの発射スイッチを押すことができる』権利には、この金額にもかかわらず1人買い手が付きました。『国内民間企業初の宇宙ロケット打ち上げに携われる機会を逃す手はない!』と、半ばノリで購入を決めたそうですが、未来のビジネスを見据えた姿勢に共感し、投資する価値を見出したそうです」(茅島さん)

 福岡県のテーマパーク「スペースワールド」は閉園時の花火イベント開催のため出資者を募り、その一環で「10億円でシンボルのスペースシャトルが買える」というリターンも用意された。

「プロジェクト自体は未達成でしたが、各メディアで取り上げられ、地方の方やファンの方の反響がものすごく大きかったです。反響を元に、スペースワールドが実費で花火イベントを開催する運びになったのも、クラウドファンディングらしい物語の結末だと思います。『ここでしかできない体験』『その時だからこそ共有したい体験』を得られる機会があるのは、クラウドファンディングならではの楽しみのひとつだと思います」(茅島さん)

 成功した猥談バーも、まさに「ここでしか体験できない」ものだろう。

「猥談バーの場合、表に出しづらい題材を、意識的に前面に押し出しました。まだ世にない『猥談できる場』を作るというチャレンジ自体が、世間の『こういう場所が欲しかった』という需要とマッチしたのでしょう」(茅島さん)

「700万円集まった」実績が
お店の評価や安心材料にもつながる

 近年はアニメや映画、企画商品など、企業もPRやマーケティング手法としてクラウドファンディングを活用するようになっており、2017年2月に別府市が実施した『湯~園地』プロジェクト以降、全国の地方自治体も続々とクラウドファンディングに挑戦し始めている。

「『湯~園地』をきっかけに、『クラウドファンディングは一部の人が利用するもの』という考え方が変化したように思います。業界の努力と共に、クラウドファンディングという言葉の活用方法・メリットが世間に認知されてきた結果だと感じています」(茅島さん)

佐伯ポインティ
株式会社ポインティCEO(チーフ・エロデュース・オフィサー)。1993年、東京生まれの25歳。早稲田大学文化構想学部を卒業後、クリエイターのエージェント会社コルクに漫画編集者として入社。2017年に独立し、男女楽しめるエロスのあるコンテンツをつくる「エロデューサー」として活動を始める。2018年、日本初の完全会員制「猥談バー」をオープン。Twitterはこちら

 プラットフォームとして様々なカテゴリーのプロジェクトを扱うCAMPFIREでは、海外のガジェット製品や企業の新しいプロジェクトが注目を集めている。「新しい価値を提供する」という点においては、猥談バーにも共通するといえるだろう。

 また、前出の佐伯氏は、クラウドファンディングを通じて実感したのは「数字の大切さ」だったという。

「700万円って、やっぱりすごく大きい数字で、エロい人たちがこんなにいて、こんなにお金を支援してくれるんだ、という実感が一気に湧いてきました。それに、猥談バーのおもしろさやポインティのかわいさっていうのは目に見えないけど、『700万円集まってる』っていうのはどんな価値観の人にも通じる事実だし、評価や安心の材料になります。数字によって猥談の価値が可視化されるっていうのはとてもうれしかったですね。猥談バーのような、“面白いエロ”が好きな人がたくさんいるからこそ、新規”エロデュース事業”もやっていけます」(佐伯氏)
 
 クラウドファンディングは、資金以外の効果をもたらしている。数値化された価値や信用によって、新たな事業展開の可能性も開けてくる。また、出資する側も、新しいモノや文化と出会うチャンスが増えるというメリットもある。クラウドファンディングの可能性はまだまだ広がりそうだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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