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「Insight Pro」でマネージドサービス展開など、新たなビジネスチャンスやメリットを紹介

ネットギア、販売店向けに4つの法人製品分野の最新動向セミナー

2019年03月04日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ネットギアジャパンは2019年2月26日、米国本社から来日した4人の法人向けネットワーク製品担当マネージャーが登壇する販売パートナー向けセミナーを開催した。

 4人のマネージャーは、それぞれ「マルチギガビット/10ギガビットスイッチ」「SDVoE/業務用AVデータ伝送」「Insight Proによるマネージドサービス」「Orbi Pro」といった担当製品における市場動向や米国での導入事例などを紹介した。今回はその概要をレポートしよう。

販売パートナー向けセミナーは東京・京橋のネットギアジャパン セミナールームで開催された

スイッチ:PoE、マルチギガ/10ギガの豊富なラインアップで最適な選択肢を提供

 スイッチ製品のプロダクトライン・マネージャであるイフィ・チェン氏は、市場ニーズが高まっているPoEスイッチ、マルチギガスイッチ、10ギガスイッチの各ジャンルを取り上げ、それぞれの市場動向とネットギア製品の優位性を説明した。

米ネットギア スイッチ担当プロダクトライン・マネージャのイフィ・チェン(Iphie Chen)氏

 PoE(Power over Ethernet)スイッチは、これまで主に無線LANアクセスポイントやIPカメラ、IPフォンなどを設置する際に利用されてきた。Ethernetケーブルを介してデバイスへの給電ができるため、設置場所に電源がなくてもスマートに設置できる。電気工事士の資格が必要な電源敷設工事も必要ない。

 PoE規格にはこれまで、1ポートあたり最大15.4Wの給電が可能なPoE(IEEE 802.3af)、同じく最大30Wの給電が可能なPoE+(IEEE 802.3at)が存在した。そして現在、新たに標準が策定されようとしているのが、1ポートあたり最大60W/90Wの給電能力を持つIEEE 802.3bt(一般に“PoE++”と呼ばれている)である。

 チェン氏はPoE++の最新動向をふまえつつ、PoEがより幅広いネットワークデバイスの接続と電源供給に使われるようになる将来像を紹介した。供給電力が大きくなれば、これまでは別途電源接続が必要だったデバイスも「Ethernetケーブル1本」で接続できるようになる。新たな適用先の一例として、チェン氏はスマートビルディングのドアロックコントローラーやLEDライト、センサーなどを挙げた。またネットワークのエッジスイッチも、PoE対応のコアスイッチから給電を受けて動作できるようになりそうだ。

これまでPoE接続できるデバイスは限定的だったが、供給電力が拡大することで幅広いIoTデバイスがPoEを採用する可能性がある

 PoEスイッチ市場におけるネットギアの優位性は「豊富な製品ラインアップ」だとチェン氏は説明する。給電ポート数/総給電容量/ネットワーク速度/機能カテゴリ(アンマネージドからフルマネージドまで)と、あらゆる面で幅広い選択肢を持っており、顧客は設置環境や予算に応じて最適なモデルを選びやすい。さらに曜日や時間帯に応じた給電のスケジューリング、リモートからクラウド経由で給電のオン/オフ操作(Insightスイッチ)など、高度な機能を備えるモデルも提供している。

PoEスイッチ市場におけるネットギアの強み。幅広いポートフォリオがあり、顧客の選択肢が広い点が特徴

 マルチギガビット(2.5/5Gbps)/10ギガビットスイッチについては、「販売パートナーの皆さんも、お客様から『ネットワークが遅い』と相談されることが増えたのでは」と切り出した。PC搭載のネットワークポートは1ギガビットEthernet(1GbE)のものが標準的になったうえ、11acの無線LANアクセスポイントでは1ギガビットを超える伝送速度が実現している。また、ファイルサーバー(NAS)周辺でも高速なネットワーク接続が求められるようになっている。複数のクライアントPCからのアクセスを高速に処理するだけでなく、仮想化環境やiSCSI SANのストレージとして利用する際にも大容量トラフィックが生じるからだ。

 特にマルチギガスイッチについては、多くのオフィスで敷設済みのCAT 5e Ethernetケーブルを取り替えることなく、そのままネットワークを高速化できるメリットがある。チェン氏は「コストセーブしながら、11acのアクセスポイントなどを設置できる」ため、マルチギガEthernetが普及しつつあると現状を説明する。

 そしてマルチギガ/10ギガビットスイッチ製品でも、ネットギアでは豊富な製品ラインアップを強みとしている。すでに2000年代初頭から中小企業(SMB)向けの10GbEスイッチ製品をリリースしてきており、アンマネージドからフルマネージドまでの幅広い製品ポートフォリオを持つ。ネットギアの10GbEスイッチ(10万円以下クラス)市場シェアは61%に達する。マルチギガスイッチについても同様で、「他社もマルチギガスイッチ製品を投入し始めたが、ネットギアはすでに幅広いポートフォリオを有しており、今すぐにでも導入できるのが強みだ」とチェン氏は述べた。

SDVoE:10ギガネットワーク技術でビデオウォールをコスト効率高く実現

 ネットギアにとって新しい市場となるのが、映像や音声(AV:Audio and Visual)のデータをIPネットワーク経由で伝送する“AV over IP”分野だ。SDVoEアライアンスに加盟するネットギアの取り組みや、販売パートナーにとってのビジネスチャンスの広がりについて、ダグ・チェン氏が説明した。

米ネットギア ストレージ/サービス担当シニアプロダクトライン・マネージャーのダグ・チェン(Doug Cheung)氏

 チェン氏は、ビデオウォール(多数のディスプレイで壁面を構成して映像を表示する)やデジタルサイネージなどの業務用AV市場の技術について、システム規模拡大時のコスト面に難があることを指摘する。たとえばビデオウォールシステムの場合、「9画面から36面、64面などに拡大しようとすると、既存の技術ではコストが跳ね上がってしまう」(チェン氏)のが現状だ。さらに映像ソースも4Kや8Kへと高画質化=大容量化しており、従来技術だと複数本のケーブル接続が必要になるなどの課題もある。

 ここにIP/Ethernetという標準技術を適用することにより、コスト効率の高いAVデータ伝送を実現しようというのがAV over IPだ。「Ethernetは30年以上前からある標準技術で、この既存技術の上にAVデータ伝送を乗せることで、コスト効率の高いソリューションが実現する」「AVデータの伝送分野では、標準化されたIP技術を『使わざるをえない』時代になってきている」(チェン氏)。

 このAV over IP分野向けに新たな標準規格を策定しているのが、ネットギアも創立メンバーとして参画するSDVoEアライアンスである。映像機器メーカーやエンコーダー/デコーダーのチップメーカーなど現在は50社以上が参画しているが、10GbEスイッチメーカーとしてはネットギアが唯一の参画社だ。

 チェン氏は、SDVoEの標準仕様によって「映像ソース>エンコーダー>データ伝送>デコーダー>表示デバイス」という一連のプロセスをIP化/シンプル化し、コスト効率の高い映像/音声システムが構築できるメリットがあると説明した。「たとえばIPフォン(VoIP)やビデオ会議など、IP技術はこれまでさまざまな既存技術、既存市場に対して『コスト効率の高さ』で勝利してきた。今回のAVデータ伝送においても同じだ」(チェン氏)。

標準仕様のSDVoEによって、幅広い映像ソースと表示デバイスを柔軟に組み合わせられるようになる。その中間でデータ伝送を担うのが10GbEスイッチだ

 SDVoEが可能にする新ソリューションとして、チェン氏はアライアンスメンバーであるクリスティー・デジタル社の2製品を紹介した。ひとつは14インチディスプレイを大量につなぎ合わせることで曲面にも構成できるビデオウォール、もうひとつは直接10GbEネットワークに接続できるデコーダー内蔵の大型プロジェクターである。

クリスティー・デジタル社のSDVoE対応ソリューション。いずれも10GbEネットワークのおかげでシンプルに設置できる点が大きなメリットでる

 ネットギアでは「M4300シリーズ」を“SDVoE Ready”の10GbEスイッチと位置づけ、SDVoEのエンコーダー/デコーダーを接続すれば、設定変更なしですぐに利用できるようにしている。M4300シリーズは、ハーフラックから2Uサイズ/96ポートまで豊富なモデルが揃っており、スタック接続でポート数を増設するのも容易だ。ちなみに、SDVoEでは通常の10GbEネットワークを用いるので、映像ネットワークと通常の(PCなどの)データネットワークと共存させることもできる。

 チェン氏は、現状のAVデータ伝送市場はまだ旧来の製品(マトリクススイッチ)が大半を占めており、これがAV over IP/SDVoE技術で置き換えられていくため大きなビジネスチャンスがあると説明。セミナーに参加していた販売パートナーに対し「皆さんと一緒に、新しいビジネスチャンスを取りに行きたい」と語った。

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