価格帯の異なる製品も交えた書き比べで
パイロットの「Vペン」の実力を実感
比較ついでに、我が家の引き出しにあった国内各社の“廉価版なんちゃって万年筆”の数種類とも書き比べをしてみた。悪ノリで廉価版とは言えないが、パイロット社のキャップレス万年筆とルイヴィトンの「ドック・キュイール」(オマス製)の両者も加えて、同じ比較をやってみた。
数倍から10倍以上も値段が違うパイロットのキャップレスやルイ・ヴィトンのドック・キュイールとの比較行為は愚の骨頂だが、実際の書き味やそれを支えるインクフロー、ペン先のフレキシブルさ、テンションなどは、市場で300円少々で入手可能なパイロットの「Vペン」のほうが、明らかに「ツバメノート×SAILOR」のコラボ万年筆を上回っている印象だ。
さんざん筆記比較をやって疲れ果てたころ、ネットでの評価などを見てみようと検索していたら、なんと今回筆者が衝動買いした「ツバメノート×SAILOR」のコラボ万年筆は、昨年末に開催された「文具女子博2018」で初お披露目。先行発売され、本年2月中旬より一般発売されたものらしいことを知って驚いた。
「ツバメノート×SAILOR」のコラボ万年筆は、文具女子博に参加される若い女性向きの低価格帯の“ガーリープロダクト”だったようだ。どうも売るべき対象セグメントではない、ミーハーなおじさんが間違って衝動買いしたイメージが強い。残念感、ガッカリ感が半端ないのは当然のことのようだ。
もし近い将来、再び「ツバメノート×SAILOR」のコラボ万年筆を企画することがあれば、次回はガーリーセットとは別に、黒澤明とアニエスベーのイメージの伝統的かつ実用的、合理的なツバメノートと、クロスコンコルドを生み出した伝統のセーラー万年筆の技術力とブランド力を生かした真のコラボ万年筆に期待したい。
オトナの事情が満載されたイメージの「ツバメノート×SAILOR」のコラボ ガーリー万年筆だが、セーラー万年筆の創業者である阪田久五郎氏は、どう感じているのだろうか、無理を承知でそこは何としても聞いてみたいものだ。
今回の衝動買い
アイテム:「ツバメノート×SAILOR」のコラボ万年筆」
・購入:アトレ上野内「アンジェ ビューロー」
・価格:7452円(6900円+税)
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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