5年で30億ポンドの投資を受ける英国は
ファーウェイのリスクを管理可能と判断?
最新の動きは英国だ。Financial Timesは2月17日、近い筋からの情報として、英国の国立サイバーセキュリティセンターが5Gネットワークにおけるファーウェイ製機器の使用におけるリスクを制御できると判断したと報じた。米国に近い英国がこうした判断を下したことからも、この方針が欧州各国に影響を与えることが予想されている。
その英国では1月中旬、英下院の科学技術委員会はファーウェイに公開質問状を送ったという(https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-01-20/u-k-ministers-urged-to-clarify-position-on-huawei-times-says)。
その中では、
・ファーウェイの製品とサービスが英国の国家保安に脅威にならないことを示すことができるか?
・ファイブアイの国など他の国がとっている行為へのファーウェイの反応は?
・中国の情報機関が英国ベースのハードウェアやソフトウェア、あるいは英国で収集された情報を使うことについて、ファーウェイはどの程度まで支援するのか?
などと、具体的な質問を並べた。
これに対して、ファーウェイのプレジデント兼キャリア事業部Ryan Ding氏は回答を公開した。
その中身をいくつか拾うと、「主要な通信機器ベンダーは中国に研究開発と製造拠点を持っており、これらの施設からの製品はファイブアイを含む世界の市場で販売されている」「ファーウェイが、他の国が情報収集する目的で、英国にあるハードウェア、ソフトウェア、そして英国およびその他世界の国で収集された情報を使うことを支援するようなことは、これまでもなかったし、今後もない。どの国に対しても支援しない」などと説明している。
スパイ懸念の根拠となっている中国の国家安全法についても、中国外務省が「中国の法律には、企業がバックドアをインストールすることを義務付ける法はない」と明確に述べているとし、「ファーウェイはこれまでそのような要求を受けたことはない」と再度主張している。
回答状の終わりに、ファーウェイはすでに発表済みの「2018年から2023年までの5年間に30億ポンド(約4300億円)を英国で投資するというコミットを継続したい」と記している。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
この連載の記事
-
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? -
第331回
スマホ
2023年は世界で5Gが主役になった年 世界の5G契約数は16億に -
第330回
スマホ
iMessageが使えるAndroidアプリが作られ、すぐ遮断 そしてRCS対応 吹き出しの色を巡る攻防 -
第329回
スマホ
10月の世界でのスマホ市場は前年同月比5%増 なんと27ヵ月ぶりで暗黒時代を脱出したかもしれない -
第328回
スマホ
一時はウェアラブルの代名詞だった「Fitbit」が一部の国で販売停止 Pixelにブランド統一か - この連載の一覧へ