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最新パーツ性能チェック 第248回

Ryzen Threadripper 2990WXとエキシビジョンマッチ開催

Xeon W-3175X徹底検証!クリエイター向けIntel最強28コアCPUは32コアに勝つ?

2019年02月20日 14時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ

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CG系ではコア数格上のThreadripper 2990WXを凌駕

 ここからはクリエイティブ系アプリにおけるパフォーマンスを比較していこう。まずはCG系から「Blender」で試してみる。Blenderは公式サイトから取得できる「Gooseberry Production Benchmark」を利用し、1フレームのみをレンダリングする時間を計測した。

「Blender」のレンダリング時間。

 ここでもコア数の少ないXeon W-3175Xがコア数の多いThreadripper 2990WXよりも速く処理を終えた。単純なコア数比よりも若干Xeon寄りということは、CPU内部のスループットや、単純なコアのIPCにおいてXeonは優れていることを意味する。

 とはいえ、値段はほぼ倍(Xeon W-3175Xが約38.9万円で、Threadripper 2990WXは約21.7万円)で16%弱の短縮なのだから、コスパは……と続けたくなるが、そういう話は結論まで伏せておこう。ひとまずインテルにはまだライバルを力技でねじ伏せられる製品があったことを喜びたい。

 さらに確信を深めるために「V-Ray Benchmark」でも試してみよう。CUDAを利用したテストも選択できるが、今回の主題はCPUパワーなので、CPUを使ったレンダリング時間のみを計測する。

「V-Ray Benchmark」のCPUレンダリング時間。

 ここでもXeon W-3175XがThreadripper 2990WXより短時間で処理を終えたが、その差わずか2秒。レンダラー次第で両CPUの差はかなり変わってくることが示唆されている。

 最後にもうひとつCG系から「Houdini Apprentice」のパフォーマンスを比較してみよう。これは“プロシージャル型”のCG制作アプリで、煙や流れる粒子といった物理演算の入ったCGの作成において高い実績を持つアプリだ。

 今回は暴れ馬のように回転する受け皿の上に置いた砂のような粒子がどのように動くかプレビューさせてみた。粒子のpoint数は49万弱、最初のフレームから120フレーム後をプレビューする際の時間を内蔵パフォーマンスモニターを利用して計測した。

今回の計測に使ったシーン。粒子の挙動はすべてCPUを利用して計算され、粒子の速度で色が変化するようになっている。

上のシーンで飛び散る粒子の情報。約49万弱の粒子の物理演算をCPUで実行するので、並列度が極めて重要だ。

「Houdini Apprentice」のプレビュー生成時間(秒)。

 この処理中のCPU負荷は全コア100%に到達するため、CPUのコア数が極めて重要になるのだが、このテストでもXeon W-3175XがThreadripper 2990WXに大差をつけて勝利している。たった120フレームで3分近い差ができるのだから、もっと尺の長いシーンになれば差はどんどん広がるだろう。時間をお金で買いたいプロクリエイターには、Xeon W-3175Xのほうがよりトライ&エラーを繰り返せるので頼りになるCPUと言えるだろう。

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