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中国人頼みの日本の百貨店を直撃、「爆買い消滅新法」の狙い

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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高級化粧品などを買い占めた、転売業者による“爆買い”は過去のものとなりそうだ Photo:アフロ

2月4日に始まった中華圏の旧正月「春節」期間中、今年も中国から多数の観光客が日本列島各地に押し寄せた。彼らの消費力は日本経済にとっては貴重な恵みだが、日本製品を大量購入する“爆買い”は死語となりつつある。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子、重石岳史)

 2月初旬の東京・銀座。春節を迎え、高級ブランド店でウインドーショッピングを楽しむ中国人観光客らで例年通りのにぎわいを見せていたが、その消費行動にはある変化が生じているという。

「家族や友人向けの土産物として化粧品などを買う個人客は相変わらず多い。ただ一昔前のように、明らかに転売目的で大量にまとめ買いをする業者は減った」。百貨店の免税専門フロアにいたスタッフはそう話す。

 その変調ぶりは、百貨店各社の売上高の推移からも明らかだ。

 最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)は1月の全店売上高が前年同月比3.0%減、大丸松坂屋百貨店を展開するJ.フロント リテイリングや高島屋のいずれも同2%台の減少だった。

 減収の大きな要因は、免税売上高の失速にある。三越伊勢丹HDの場合、1月の免税売上高は2017年2月以来の減少に転じた。

 この2年間、国内では訪日観光客の減少につながりかねない災害が相次いだにもかかわらず、免税売上高は伸長を続けた。

 ディスカウントストアやドラッグストアでは、棚にある商品をごっそり買っていく中国人客の姿をしばしば目にした。彼らの多くは、内外価格差を利用して、日本で安く買い、中国で売りさばく「代購」と呼ばれる転売業者だ。

 だが、そうした転売業者による爆買いは終焉しつつある。中国の景気減速も一因だろうが、関係者が指摘する最大の理由が、1月1日に施行された中国電子商取引法の影響だ。

 今回の新法施行により、代購に際して営業許可証の取得が新たに必要となった。さらに許可のない商品が中国の電子商取引(EC)プラットフォームで販売された場合、販売者だけでなく、プラットフォーム業者にも罰則が科される。

 ある中国人バイヤーは、「中国政府の狙いは税収。爆買いは日本で発生するので政府には何のメリットもない。中国の空港では税関検査が明らかに厳しくなり、罰金を払わされている個人業者も多い。転売を続けるうまみはなくなった」と話す。

 転売業者が姿を消した分、前述の通り百貨店の売り上げへの影響が顕在化しているのだ。

 中国本土では昨年秋ごろから、納税を嫌った業者による投げ売りが目立ち始めたという。中国の小売り事情に詳しい関係者によると、特に値崩れが激しいのが日本ブランドの紙おむつだ。

 花王など日本のメーカーとすれば、転売業者による爆買いが激減した上、中国本土では転売品に比べて正規品は割高のために販売が振るわない。そのため販売促進や商品戦略などの軌道修正を余儀なくされている。

「命の母」や「サカムケア」など訪日客向けの売り上げで18年12月期に100億円を突破した小林製薬でも、すでに1月は前年割れとなった。新法の影響はじわじわと出てきているようだ。

 中国ビジネスに詳しいTNCリサーチ&コンサルティング代表の呉明憲氏は「日本企業は代購頼みではなく、正規ルートでの販路開拓を考えていくべきときだ」と指摘する。

越境ECを管理下に置く
中国政府の狙い

 一方、今回の規制強化を“追い風”と見る者たちがいる。大手の越境EC運営業者だ。すでに認可を取得し正規ルートで販売する大手にとっては、転売品が消える分、市場も安定するとみる。

 実は今回の新法施行で中国政府は、越境ECで購入できる制限額の上限を増やしている。ここから透けて見える政府の狙いは、税関経由の正規の越境ECルートはむしろ拡大させる方針であり、越境EC自体を否定しているわけではないということだ。販売ルートを大手に集約すれば、税収はもちろんのこと、市場に出回る商品の品質管理や購買データの取得も容易になる。

 中国で唯一の日本商品特化型ECプラットフォームを運営するインアゴーラは「規制はポジティブな面が大きい。今後ブランド数を拡充し、消費者との接点を増やす取り組みを展開していく」と意気込む。

 日本のメーカー、小売りにとっては、中国人の爆買いはまさに天の恵みであった。多額の宣伝広告費を投じずとも転売業者が中国の消費者にインターネットで宣伝してくれ、日本から帰国後に越境ECで日本ブランドを指名買いしてくれる消費者も生まれた。

 爆買いというバブルが終わった今、日本勢は中国巨大市場での生き残りを懸けた正念場を迎える。割安な現地ブランドの品質が向上する中、ブランド価値を高める努力なくしては、中国人消費者にそっぽを向かれることになるだろう。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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