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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第498回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー CMOSの導入でオフィスコンピューターの覇権を握ったIBM

2019年02月18日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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性能的にも価格的にも
ECL回路はそろそろ限界

 このES/9000もベースはECL(Emitter Coupled Logic)であるが、下位モデルに関しては性能は落ちるが消費電力がずっと少なくて済むDCS(Differential Cascade Current Logic)と呼ばれる回路が利用されている。

 問題はECLの方で、こちらもIBM 3090同様にICとして製造され、それをパッケージサブストレートに載せた上で、TCM(Thermal Conduction Modules)に収める形で実装されるわけだが、ES/9000の1つのCPUにこのTCMが6つ使われた。

TCMと呼ばれる巨大なヒートシンク。手近な例で言えば、CPUパッケージに簡易水冷キットの水冷ヘッドを一体化させたような形だ

 TCMは1つあたり最大2KW、6つ合計で12KW分の発熱が扱えることになっていた。model 900の場合はこれが6つだから、合計72KWもの消費電力である。さすがにここまでくると、そろそろなにとかしないといけない感じになってきた。

 TCMそのものもIBM 3090のものより大型化しており、1つあたり60×70cmの大きさがあったそうで、またTCMあたり2KWもの電力を供給するため、基板の上の電源配線層は2oz(=70μm)の厚みがあったという(通常の信号配線は1oz=35μm)。

 ちなみにDCSを利用した場合、数千ゲートでの消費電力は5W以下に収まったそうで、それもあってES/9000の中でも速度がそれほど必要ない部分はDCSで構築されたらしい。これは、TCMを搭載したパッケージサブストレート上には、ECLのICとDCSのICを混在できたからだ。

 また下位モデルはそもそも全体をDCSで構築し、その結果として空冷で運用ができる(ECLを利用する方はすべて水冷)といったメリットも出てきた。Amdahlのようになにがなんでも空冷で、というふうに行かなかったのは賢明であるが、性能とオペレーションコストをはかりにかけると、そろそろECLに代わる素子が必要と判断された。

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